このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第14時
演習14:1年理科1学期中間テスト

     2012 5 24(木)、25(金)
     普通教室

はじめに
 来週から、中学で初めての定期テストが始まります。定期テストは1年間で6回ありますが、毎回生徒の様子を見ながら最適なテーマを決めて訓練する予定です。授業タイトル『演習』は、学校の定期テストで得点を取ることを目的とした訓練、という意味です。生徒主体の通常授業と一線を画した、点を取るためのものです。理科というより、数値で評価される一般社会で生き残るための1つの方法を学びます。


上:これまでに学習した重要語句


本時の目標
1 定期テストは特別な学習が必要であることを確認する
2 教科書で漢字にあるものは漢字で答えることを知る
3 教科書で最終確認する方法を知る
4 問題集での問題点を明らかにする

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 問題集
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 検印、スタンプ


授業の流れ

(1) 始業のあいさつ、本時の内容紹介
 今日は理科室ではなく、各クラスのホームルームで行いました。そして、本時はテストのための特別授業、演習であることを知らせました。

(2) 問題集、および、理科セットの確認
 予告した問題集、および、いつもの理科セットを持参しているかの確認です。点検は、各自の机上に持参したものを並べさせ、私が机間を順に歩く方法です。

 生徒は持参した道具の氏名、および、学習プリントの検印欄が見えるように置きます。全て揃っていれば、合格印2つがもらえます。問題集で1つ、教科書と理科便覧とファイルで1つです。2つもらえなかった生徒は、各クラス2人まででした。忘れた生徒には再登校のチャンスを与えましたが、チャンスを使わなかった生徒もいました。

 写真右:学習プリントに押された合格印

 また、問題集をやってあるか、という内容点検はしませんでした。問題集を持ってくれば合格です。事前の指示は、『問題集をできるとろこまでやって持ってくる』です。私は、答えを見て写したり、まるでそれを自分で解いたかのように間違えた部分まで作る生徒がいることを知っています。問題を見ずに答えを写す行為は、心を貧しくするだけです。せっかくの問題集も台なしです。私は、そのような行為を誘発することを嫌います。答えを写すことは価値ある行為ですが、今回のような『点検合格印をもらうために写すこと』は自分を欺く行為です。それより、きちんと学習してきた友達をみて、自分はやっていない、という事実を突きつけられる方が子どもの成長になります。真面目にやってきた生徒を誉めたたえれば、それで必要十分です。なお、本時の誉めたたえる時間は、終業10分前に予定しています。

 問題集で点検できることは、問題集を持ってきた、という事実だけです。どこまで真面目に取り組んだか、どれだけの時間をかけたかなど、それ以上の内容まで踏み込むことは通常不可能です。家庭での努力量を客観的に評価する方法、(誰もが認める)数値に変える方法をご存じの方は、お知らせください。

 本当に興味関心がない生徒は、問題集すら持ってきません。それを調べる価値はあります。ただし、本当に大切なのは、問題集を持って来ない事実が分かったときにどうするか、どう教育するか、です。通知表の関心意欲に『C』をつけるだけなら、教育者でなくてもできます。

(3) これまでに学習した漢字テスト
 定期テストでは、漢字でかかなければ正解にならないものがあります。答えはわかっていても、漢字が違うとバツになるわけです。漢字がかけなくて理科が嫌いになった、という不幸な生徒をつくらないようにしましょう。今回出題する漢字は、教書にある太字の語句、および、教科書の重要語句です。難易度に関係なく、掲載されている全ての漢字を同じように出題します。数は決まっていませんが、およそ黒板2面分になるでしょう。

 手順は次の通りです。

1) 教科書を見ながら重要語句(問題)を探す
2) ひらがな(問題)を黒板に書く
3) 縦6行、横4列とする
4) 合計24問になるが、これを前半戦とする
5) 答えを生徒に板書させる
6) 問題番号=出席番号とする


上:自分の答えを発表する生徒
 正解がわからなくても、できるところ、分かる部分を書く。教科書を見たり、友達に聞いたりしてはいけない。


上:あるクラスでの問題、および、生徒の解答
 クラス毎に出題順は違いますが、最終的に同じものを出題することになります。クラスによって異なるのは、問題を出しながらヒントを出すからです。これは単純な漢字テストではなく、クラスの実態に合わせた復習をしているからです。生徒がわからない、という顔をしたら、補足説明をしたり、どのようなヒントが欲しいが聞いたり、次の問題は何が良いか聞いたりします。出題範囲は同じなので、結果は同じです。

7) 答え合わせをする
8) 教師は板書の文字を1つずつ点検していく
9) 判別し難い文字はバツとする
10) 消しゴム(黒板消し)で消していないものはバツとする
11) よく間違う部分を確認する
 ※ 写真上はピンク字で確認している


上:第2回戦で答えを書きにきた生徒達

12) 第2回戦を行う
13) 解答者は、第1回戦で指名されなかった生徒、および、希望者


上:間違えた漢字を5回ずつ書いて練習する生徒

14) 間違えた漢字を5回ずつ書く
15) 5回ずつ書いたかどうかの確認はするが、点検はしない

(4) 教科書の確認
 定期テストは、授業で詳細に教えなったことでもテスト範囲になっていれば出題される可能性があることを確認します。範囲の始めから最後まで、1ページずつめくりながら確認していきます。質問があればその場で答えます。

(5) 問題集の確認(誉めたたえる時間)
 問題集も教科書と同じように出題されます。範囲を1ページずつ確認していきますが、このとき、家庭学習してきた生徒を誉めたたえます。

 「次に問題集を確認しましょう。テスト範囲は何ページからでした? ・・・そうですね。@ページを開いてください。では、@ページと@+1ページをやってきた人? ・・・素晴らしい! 完璧です。すべでにやってある人は期待できますね。間違えたところをもう一度確認するだで大満足の結果になると思います。で、何か分からないことがあった人? ・・・ ゼロ。さすがです。ま、このページは基本なので大丈夫でしょう。次に、1ページめくって、@+2ページと@+3ページがやってある人? ・・・大変よろしい。ちょっと周りを見てご覧! やっぱり、ですよね。できる人は手の挙げ方も違います。手を挙げられない人は、必ず今日、家でやってください。明日はありません。・・・(後略)」

(6) 今回のテストに対する気合い調査
 「最後に、今回のテストの目標点を発表してください。目標ですから、大きくしましょう。目標をみんなの前で発表できる人は、それだけで目標に近づきます。100点、80点以上、60点以上、40点以上のどれかでお願いします。では、100点満点が目標の人! ・・・おおー、何と6人もいますね。大変よろしい。がんばってください。次に、80点以上の人! ・・・ほとんど手が挙っていますね。目標はやっぱり大きい方が良いと思います。まっすぐ挙げている人ほど、気合いが入っていると思うので達成できると思います。次に60点以上の人! ・・・3人。オッケーです。60点以上でも十分です。自分の力に合わせて目標を作れる人は、本当にすばらしい人です。自分も周りも見えている、ということです。次は40点以上! ・・・立派です。ここで手を挙げるのは勇気がいりますが、ここで手を挙げられる人は、学習だけででなく毎日の生活でもリーダーになる才能を持っているので、しっかり勉強もして、学習にも自信が持てるようにしてきてください。学習もできるようになれば、オールマイティーのリーダーです。では、来週からの中間テストがんばってください。みなさんの頑張りを拝見させていただきます。楽しみにしています。」


授業を終えて
 本時のタイトルに演習、という語を使いましたが、先生が主導権を握り過ぎてしまったようです。少しずつ、生徒主体の内容になるように工夫したいと思いますが、それには3年かかるかな。

 それから、問題集をやってきた生徒に挙手させた場面では、70%以上の生徒がすべてのページで挙手していました。何度も挙手するのは大変なように感じますが、生徒レベルでは何度も手を挙げられるのは嬉しいことです。是非、一手間かけて何度も聞いてください。毎回、高いテンションで誉めたたえてください。なお、1度も手を挙げられなかった生徒は各クラス数人でした。

 テストの目標点調査の目的の1つは、みんなの前で自分の目標を発表しようとする態度を育てること、です。テストの得点は個人情報であり、確定した点の発表は控えるべきです。テスト後の得点調査は危険ですが、テスト前の目標なら希望があります。発表することで、より強い学習意欲が生まれます。

 また、生徒はお互いのおよその学力を知っています。自分の現在位置を知り、やれること、やるべきことをする、それが学校教育の目標の1つです。子どもどうしが教えあう学校をつくりましょう。テストで100点ばかりなのに、誰にも教えない。そんな子どもをつくってはいけません。1人ひとりが自分の立場を知り、自分にあった目標をもち、それに向って努力する態度を育てたいものです。高得点、100点さえ取ればよい、という指導は間違っています。現在から未来に向って、1歩前進するために努力を楽しむ。そのためにも、互いの目標点の確認は意義あることです。中学に入学し、純真な心を少しでも保っているときに育てていきたいと思います。

 そのためには、先生の姿勢が鍵を握ります。テストだから、個人情報だから、といってびくびくてはいけません。学校は人を育てる場所です。たくさんの人が集まり、いろいろな考えや個性があることを知り、それぞれを認め尊重しあい、互いに協力したり助け合う場所です。これらの活動の基礎が、各教科の学力です。基礎づくりから、いろいろな力や個性があること知り、それぞれを認め尊重しあい、互いに協力したり助けう姿勢を育てていきましょう。それが先生の目標です。

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