このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第53時
実験5 凸レンズの焦点距離

     2012 
     理科室

はじめに
 凸レンズを持参するように指示しました。かなり大きなレンズを100円ショップで購入できるので、自宅に1つあっても悪くないと思ったからです。物理の実験だけでなく、生物やいろいろな物体、物質の観察に使うことができます。凸レンズのはたらきと焦点距離を知り、毎日の生活が豊かなものになれば幸いです。

関連ページ
実験7 凸レンズの焦点距離 1年(2002年)


上:3人で協力して、持参した凸レンズの焦点距離を計る生徒達


本時の目標
・凸レンズを持参する
・凸レンズの焦点距離を正しく測定する
・凸レンズのはたらきを理解する
・凸レンズを正しく操作し、紙を焦がす

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 凸レンズ
  • 定規
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 凸レンズ
  • 30cm定規
  • いろいろな色の画用紙

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

(2) 持参した凸レンズの焦点距離を測定する        (15分)
 持参した凸レンズを使って、白い紙の上に天井の蛍光灯の像をつくらせます。凸レンズの焦点距離は、像がきれいにできたときの凸レンズを紙の距離です。

焦点距離を測定するポイント
1:蛍光灯(光源)の真下に移動する
→光源、紙、凸レンズが鉛直線上に並ぶので、簡単にピントが合う
2:白い紙を使うと、良く映る

右:測定する様子

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(2) 持参した凸レンズで、風景を映す       (5分)
 次に、窓の風景を紙に映します。紙と凸レンズを平行にして持ち上げます。その距離が焦点距離になれば、窓の風景が紙に映ります。この場合、窓の風景は光源として考えることができます。かなり面白い実験なので、是非行ってください。

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上2枚:紙に窓の風景を映している様子

(3) 凸レンズの焦点を作図する       (15分)
 下図を見てください。一番上に先ほど調べた凸レンズの焦点距離が示されています。これは、生徒が持参した凸レンズの種類によって違います。その下にある凸レンズの図2つのうち、上は正しいもの、下は中学生用です。いきなり中学生用を教えると、これまでに学習した内容と整合しませんので、必ず正しい図を紹介してください。

凸レンズの焦点を指導する手順
1:光軸を教える
2:光軸と一致する光は直進する
3:光軸と平行で、レンズの中心を通る光は直進する
4:光軸と平行で、レンズの中心を通らない光は2回屈折する
5:4の光と光軸が交わる点を、焦点という
6:光軸に平行な光は、すべて焦点を通る
7:中学生用は簡略化し、レンズの中心で1回屈折するものとする

(4) ヒトが物体を見るmodel       (8分)
 ここで、ヒトの眼球レンズを紹介します。詳細は2年生で学習しますが、ごく簡単にレンズ、網膜にある光を感じる細胞、視神経、脳を紹介します。生徒に発問すれば、何人かがそれらの名称やはたらきを正確に説明してくれるでしょう。

ヒトが物体を見るmodelを指導する手順
1:ヒトの眼球にあるレンズは凸レンズ
2:眼球レンズは、その厚み=焦点距離を変えることができる
3:近視のヒトは遠い物体、遠視は近い物体の焦点が合わない
4:メガネやコンタクトのレンズは、眼球レンズを助ける形をしている
5:近視用は凹レンズ、遠視用は凸レンズ
6:乱視のヒトは、眼球レンズが歪んでいる(完全なヒトの方が珍しい)
 ※上図右上に、乱視用コンタクトレンズを示した

(5) 凸レンズで紙を焦がす実験      (8分)
 最後に、凸レンズで紙を焦がす実験を行います。直径10cmの凸レンズを使えば、わずか数秒で燃え始めるでしょう。鮮やかな演示実験で生徒のやる気を引き出してください。演示しならが下記のポイントや注意を行いますが、わざと紙を発火させることも有効です。万一、発火した場合は、紙を立てて持ち、水道のところまで移動して水をかけます。時間がない時は床に置いても構いません。いけないのは、息を吹き掛けて消そうとすることです。これは逆効果です。いずれにしても、僅かな量の紙が燃えるだけなので、慌てる必要はありません。落ち着いて対応するように指導します。とくに大きな凸レンズを持ってきた生徒は、簡単に発火させるので特別に見守ってください。また、焦がした紙は学習プリントに添付させます。自分の名前やオリジナルなデザインができれば、それが実験の技能ポイントなることを知らせます。紙が燃える=実験の技能ポイントゼロ、であることを知らせることも有効です。

紙を早く焦がすポイント
1:大きな凸レンズを使う
→ 同じ大きさの凸レンズを何枚重ねてもダメ。むしろ、光が散乱したり、吸収されたりして弱くなる

2:集めた光は、できるだけ小さくする
3:集めた光は、正円にする
→ 凸レンズと紙を、太陽光線と垂直にする

安全上の注意
1:太陽を直接見ない
2:レンズを通して太陽を見ない
3:合焦した光を見つめない
4:皮膚に合焦させると重大な焼けどする
5:頭はとくに危険

6:自宅で実験しても良いが、実験する時は大人と一緒に行うか、声をかけてから行うこと

右:太陽光線を求める生徒達

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上:紙を焦がしながら、文字を書かせる。

右:楽しく実験する生徒達

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(6) 後片付け、考察     (8分)

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上2枚:生徒2人の学習プリント


授業を終えて
 今日の授業は日常生活に役立つ情報もたくさんありました。メガネやコンタクトレンズは身近なものですが、そのはたらきを科学的に理解することは重要です。これから先、人類がさまざまな道具を発明し、より豊かな生活ができるようになることを願っています。ただし、原子力発電は絶対にダメです。制御する方法が科学的に確立されていないからです。福島の爆発事故は、50年に1度の割り合いで爆発レベルの事故が発生し、国土と国民の命を奪うことを示しました。放射線は今も流出してます。今後2万年以上、放射線が放出され続け、動植物のDNAは突然変異をくり返します。変異した動植物は周辺地域→全国、と拡散、交配、新しい種を生むことでしょう。日本の美しい自然をDNAレベルで壊すもの、それが原子力発電の本当の姿です。

 またまた原子力ことを書いてしまいましたが、原子力は絶対にダメです。日本政府がウラン濃縮を続ける原因の1つは、アメリカに核爆弾を材料を提供することです。ウラン濃縮技術は難しく危険なものです。第二次世界大戦に負けた日本は、その開発をアメリカに押し付けられました。原子力発電はその隠れミノであり、核廃棄物の処理方法は確立していません。地面に穴を掘って埋めているだけです。中学生のみなさん。君たちは穴を掘り返して廃棄物を取り出し、それを処理することになっています。それを絶対に阻止してください。声に出して怒り、今の政権に対して反対行動を起こすべきです。

関連ページ
実験7 凸レンズの焦点距離 1年(2002年)
 ・ 太陽で紙を燃やす(平行光線が1つに集まる点)
 ・ 焦点の作図方法(レンズに平行な光、レンズの中心を通る光)
 ・ 持参した虫メガネの焦点距離を調べる

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第5章 目で見る 光   凸レンズで紙を燃やす  p.96、p.97
 散歩しながら実像を作ろう   p.98、p.99

第52時 ←
実験4光の直進→屈折→全反射

→ 第54時
実習6 光の直進、屈折、全反射の作図

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