このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 3年(2018年度)です |
第42時
観察10 ウイルス2018 9 12(水)
普通教室はじめに
本時で『生殖・遺伝』に関する内容を終了します。最後の1時間なので、生物と非生物の境界線上にあるといえるウイルスについて学習します。その中で、ウイルスはDNAの複製を行う物質(生物)であることを紹介し、DNA構造を子どもたちの能力が許す範囲で教えようと思います。
図1:ウイルスとは何か、その定義を黒板に発表するこどもたち
本時の目標
・ウイルスの活動を知り、それが生物であるかどうか議論する
・生物とは、生命活動とは何か、みんなで話し合う
・DNAの構造、および、その複製方法について知る準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 本日の学習プリント(1 /人)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)ウイルスとは何か (15分〜20分)
ウイルスとは何か。ヒントなしで子どもたちに発表させてみましょう。普段の生活でも聞くことがある言葉なので、面白い意見が飛び出すことと思います。
図2:ウイルスの定義を発表するこどもたち
図3:A組で発表されたウイルスの定義図3のように発表されたものは、1つずつ学級全体で検討していきます。明らかに全員同じ意見であるものは、さっと採用してください。形式はいりません。
「賛成・反対、それらの理由、付け加えなどがある人は挙手して発表してください」
「この意見に賛成の人は挙手してください・・・ぼぼ全員ですね」学級全体で話し合ったら、もう一度、黒板に発表させてください。より深い考えが出てくるはずです。
図4:2回目の発表
黒板をよく見ると、1回目の発表について◎・◯・△・×の記号でみんなの評価を記してある。これを受けることで、2回目の発表が面白くなる下図6と7は、挙手によって発表&話し合いを行った学級の板書です。子どもたちが疲れていて、活発な意見が出ないときは、一番初めの意見が出るように先生が誘導します。
図6:ウイルスの定義(B組)(3)生物とは、生命活動とは何か (5分〜10分)
生物や生命活動の定義は、はっきりと決まっていません。生物学者は、それぞれの違う意見をもっています。私は中学生に教える教師の立場から、次の3つの生命活動をするものを生物、としています。
Taka先生による3つの生命活動、および、生物の定義
(1)呼吸すること
呼吸とは、酸素を使って栄養分を燃焼させ、生きるために必要なエネルギーを作り出すことです。この活動は、リボソームという細胞内小器官で行われています。
(2)恒常性を維持すること
いつもの自分の状態を保とうとすることです。 ヒトは自律神経やホルモンによって調節しますが、単細胞生物であっても細胞内環境を保とうといろいろな活動をします。
(3)連続性があること
新しい子孫を残すこと=生殖活動、ともいえます。その活動の基本は、細胞分裂で行われるDNAの複製です。以上3つの生命活動をするものを生物とします。そして、1つでも足りないものは境界線上にあるもの、全てないものは物質、とします。
図8:A組で発表され、そして、私がまとめた生物の定義
図9:C組で発表され、そして、私がまとめた生物の定義(4)ウイルスはDNAという物質 (5分〜8分)
ウイルスは細胞膜がないので、細胞がありません。細胞の中心といわれる核についても核膜がないので、核があるとはいえませんが、DNAはあります。DNAは、自分と同じ構造のDNAを自動的に複製することができます。自動的とは、まるで磁石のN極とS極が引き合うように、電気のプラス極とマイナス極が引き合うように行われることをいいます。それは物理的・化学的反応であり、そこに生物らしさを感じることはできません。
図10:DNA、および、DNAにある4つの塩基とその組み合わせ
DNA(デオキシリボ核酸)という化学物質の特徴的な部分は、4種類の塩基です。それらはアルファベットの『A』『C』『G』『T』で表されます。これらは磁石(NとS)や電気(+とー)がひっつように、単純に引き合います。互いに結びつくものは『AとT』、および、『CとG』です。なお、ある形質(遺伝子)は、4つの塩基配列によって決まります。さて、ウイルスはDNAだけからできています。その他のものは何もありせん。ウイルスといわれるDNAは、その周りの条件が整い、複製に必要な材料が揃うと、複製を開始します。例えば、ヒトの細胞内に入ったウイルスは、その細胞質にあるアミノ酸を使って複製を開始します。そのスピードは速く、細胞質の材料を使い果たし、その細胞を殺してしまいます。その結果、ヒトが死ぬこともあります。
図11:生物の細胞に侵入したウイルスが、機械的に複製することを示した図図6はDNAの説明した板書です。詳しく書いてないのは、深追いを自粛するためです。最低限の内容を商会してから、学級の声に合わせて学習内容を追加していきましょう。
(5)本時の感想、考察 (5分)
図12:C組の板書(クリックすると拡大します)
授業を終えて
境界線上、という言葉が流行っています。実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学』
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(C) 2018 Fukuchi Takahiro