このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第51時
実習7 生物どうしの関係

     2018 10 4(木)、5(金)
     普通教室

はじめに
 生物どうしの関係は、同種間と異種間の2つにわけることができます。それらの関係は、いずれにおいても存在するもの、どちらかのみに見られるものあります。

 私は授業構成を考えているうちに面白いことに気づきました。自然界にみられる生物どうしの多様な関係は、人間社会で全て観察できる、人間社会と比較できる、ということです。これは「私たちが認識できないものは認識できない」という単純な事実に由来します。これで私の授業プランは決まりました。ずばり、その子とその子に関わる人間関係を洗い出すことで、複雑な生物どうしの関係を類推させる、という計画です。


図1:いろいろな相手との人間関係


本時の目標
・自分といろいろな人との関係を調べる
・同じ相手でも、時間と場所によって変わることを認識する
・生物どうしのいろいろな関係(捕食者-被食者、共生、寄生など)を理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)あなたと私(Taka先生)の関係 (3分〜5分)
 あなたが私と直接話したことがないなら、私との関係はweb上だけのことでしょう。あるいは自然界に見られない、かなり特殊なものです。関係している時間は、あなたがインターネットに接続したりページを読んだりしている時だけです。関係を持つかどうかは、あなたの意志に100%依存しています。場所は限定されていません。あなたは私に影響を与えることはできませんが、私はあなたに影響を与えています。ただし、私はあなたにどのような影響を与えたのかわかりません。あなたが幸せになることだけを願っているのですが、その結果を知るためにはあなたからの行動を待つしかありません。

 授業では、子どもたちに私との関係について教えました。場所は校内だけであること、時間は平日8時15分から16時までに限られていることです。子どもたちにとって、この事実確認は驚きだったと思います。そして、生徒-先生、という関係を確認します。

余 談
 この関係は二度と繰り返されることはありませんが、この事実は卒業後も変わりません。私は、二度とない時空を確認させることが大切だと思います。私は子どもたちを自分と同じように大切にし、尊重・尊敬しています。卒業後も新しい関係を気づきたいと切望しています。しかし、その思いがどれだけ伝わるか、その願いがどれだけ叶うかは私だけで決めることはできません。二者の関係だからです。私は、他人との良好な関係、それを築こうとする意志こそがホモサピエンスという種の定義にふさわしい、と思います。

(3)学校の先生との関係 (2分〜3分)。
 学校の先生を1人選ばせます。できれば、授業時間以外にも関係がある先生が良いでしょう。部活動の先生はおすすめです。時間と場所によって関係がかわる先生を選ぶことができれば、最高です。


図2:福地先生、◯◯先生との関係

(4)友だちとの関係 (3分〜5分)
 親しい友だちを選び、その友だちとの関係を記述します。これまで無意識に付き合っていた友だちとの関係を再認識することは、理科の学習を超えた高い意義があります。短時間の作業ですが、価値あるものです。

いろいろな友だち(相手)の例
(1)同級生
(2)遠くへ引っ越してしまった友だち
(3)先輩、後輩
(4)他の学校の友だち
(5)有名人や漫画のキャラクター

友だち(相手)との関係の例
(1)話し相手(対等、共同、協力
(2)互いに何でも相談できる関係
(3)学習や部活動でのライバル(競争
(4)勉強を教えてくれる友だち(寄生
(5)ピアノ塾で同じ時間に練習する相手
(6)休み時間に嫌がらせをしてくる友だち?(天敵

(5)家族(兄弟姉妹、両親)との関係 (5分〜7分)
 中学生にとって、家族との関係はとても重要です。(4)までに客観的姿勢を十分にとらせることで、家族との関係も冷静かつ客観的に分析させてください。重要な発見があると思います。本時のメインともいえる部分です。


図3:いろいろな相手との関係


図4:同上

(6)その他の人との関係 (1分〜3分)
 その他、いろいろな人との関係を自由に記述させます。


図5:同上

(7)他の生物種との関係 (5分〜8分)
 ここからは、他の生物種との関係を調べます。自宅でペットを飼っている人は、それを書きます。どこの家庭にも見られるダニについて記述しましょう。土の中の生物で顕微鏡レベルの生物について学習しているので、抵抗感なくまとめることができるはずです。自分の部屋で大きなクモを見たことがあるか、聞いてみましょう。大きなクモは肉食性で、小さなダニを食べています。クモを追い払うことより、部屋の掃除をしなければいけないことを教えてください。


図6:その他、他の生物種との関係


図7:同上

 ヒトの腸内細菌についても紹介します。腸内細菌にはたくさんの種類があり、それらのいくつは消化・分解を助けます。

(8)生物どうしの関係 (10分〜15分)
 下図8のように、生物どうしの関係をまとめます。


図8:生物どうしの関係

 もっと詳しくまとめるつもりでしたが、子供たちはそれぞれ死力を使い果たしてしまったようなので、簡単にしました。

(9)本時の感想、考察 (5分)


図9:A組における板書(クリックすると拡大します)


図10:B組における板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 私の予想以上に、子どもたちはたくさんの人たち、たくさんの生物種との関係を記述していました。理科の学習を超えた、意義ある時間だったと思います。

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

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