このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第63時
実験9 食塩と食塩水の電気分解

     2018 11 1(木)、2(金)
     普通教室

はじめに
 実験方法は、前時『塩酸の電気分解』とほぼ同じです。H管に入れる水溶液を食塩水に変えるだけです。

 今日のポイントは、食塩と食塩水の違いです。食塩は塩化ナトリウムという化合物、食塩水は水素イオンと塩化物イオンを含む水溶液です。それらに電流を流す場合、当然、違いがあります。

 固体の食塩は電流を流しませんが、高温に加熱して液体にすれば、電流を流します。−極にナトリウム+極に塩素が発生するはずです。中学の理科室で行える実験ではないので、化学反応式とそのモデル図でまとめます。一方、食塩水は、−極に水素+極に塩素が発生させます。−極に引き寄せられるイオンは『Na+』と『H+』の2つがありますが、イオン化傾向が小さい『H+』がイオンでなくなります。イオン化傾向の大きい『Na+』は、そのまま水溶液中に残ります。


図1:実験中のスナップ


本時の目標
・食塩と食塩水の違いを考える
・食塩を加熱して融解させ、電気分解したときの化学反応式とそのモデル図を理解する
・食塩を水に溶かして電離させ、それに電流を流したときの化学反応式とそのモデル図を理解する
・塩素の脱色反応、および、水素の爆発を確認する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 保護メガネ (1 /人)
  • 食 塩 (30g /班)
  • H 管 (1 /班)
  • バット (1 /班)
  • 50cmリード線 (2/2人)
  • ろ 紙 (0.5/人)
  • 試験管 (1/1人)
  • 電源装置(1 /班)
  • セロハンテープ(1 /班)


図2:左は食塩の電気分解、右は食塩水の電気分解


図3:食塩30gをに水を加え100gにする(正確でなくて良い)


図4:H管にセットして電流を流す


図5:図4の部分(クリックすると拡大します)

 前時『塩酸の電気分解』と同じ気体が発生します。−極『水素』、+極『塩素』です。発生する気体の量は同じですが、水素はよくたまり、塩素はたまりません。塩素は水によく溶ける性質を持っているからです。しかし、塩素が飽和状態となると、水素と同じ速度でたまるようになります。塩素の飽和水溶液の色は、かなりはっきりわかる黄緑色(塩素色)です。


図6:水素の爆発実験をする生徒


授業を終えて
 塩酸(塩化銅水溶液)の電気分解はわかりやすい実験ですが、食塩水(塩化ナトリウム水溶液)も同じようにわかりやすい実験です。時間があれば、ぜひ行ってください。子どもたちはゆとりをもって理解し、実験を楽しむことができます。水素爆発も塩素による脱色もかなり上手くなります。

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

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