このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第62時
実験8 塩酸の電気分解

     2018 10 30(水)、11 1(木)
     普通教室

はじめに
 7年前に本校で行った同じ内容の記録『塩酸の電気分解(3年)2011年』、他校の記録『実験11 塩酸の電気分解(2年)2000年』もご覧ください。このページは写真を中心した記録スナップです。


図1:実験中のスナップ
 大きな袋いっぱいに詰め込んできた色ペンを使って塩素の脱色作用を確かめる


本時の目標
塩酸電離式そのモデル図を理解する
・塩酸の電気分解の化学反応式とそのモデル図を理解する
塩素の脱色反応、および、水素の爆発を確認する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 保護メガネ (1 /人)
  • 塩 酸 (100g /班)
  • H 管 (1 /班)
  • バット (1 /班)
  • 50cmリード線 (2/2人)
  • ろ 紙 (0.5/人)
  • 試験管 (1/1人)
  • 電源装置(1 /班)
  • セロハンテープ(1 /班)


図2:本日の化学反応式2つ(電離式、電気分解の式)


図3:電気分解における電子の流れ

電気分解における電子の流れを指導するポイント
 ポイントは電源です。電源を乾電池、に例えるとわかりやすいでしょう。

 −極には電子がいっぱいあり、−極からは電子が飛び出そうとしています。リード線をつけると、それを伝って電子がどこまでも移動していきます。逆に、+極はからっぽです。何もありません。電子があれば、それを剥ぎ取って、−極へ移動させます。

 電源(乾電池)はその内部で、電子を+極から−極へ移動させています。外部に対しては、+極から電子を奪い、−極は与えようとしています。2年生で学習する電流の流れ『+極から出て−極へ入る』は実態がないものです。

 電源は『電子を強制的に動かす装置』です。 電圧は『電子を動かす圧力』です。

 塩酸の電気分解の場合、−極は水素イオン(H+)に電子を与えます。その結果、−極からは水素(ガス、気体、H2)が発生します。+極は塩化物イオン(Cl-)から電子を奪います。その結果、プラス極からは塩素(ガス、気体、Cl2)が発生します。

 
 図4:塩酸の電気分解の化学反応式
(塩化水素ガス:水素ガス:塩素ガス=2:1:1
 塩化水素水溶液=塩酸


図5:水素と塩素の発生量は同じでも、水素はよくたまり、塩素はたまらない
 塩素は水によく溶ける性質を持っていて、溶けた分だけ水が黄緑色(塩素色)になる


図6:塩素赤、プラス極)は水によく溶けるのでなかなかたまらないが、水素黒、マイナス極)は水に溶けないのでよくたまる。H管内に発生している気体をよく見ると、の方は上から下まで同じ量の気体を観察することができる(クリックすると拡大します)。

H管を使った実験手順
 H管にはいろいろなタイプがありますが、本校にあるものは使い勝手がよくありません。かなり苦労します。図7は、その操作手順です。


図7:H管の操作手順

 H管に塩酸を入れるために、操作(1)〜(4)を行います。電源を入れる前に留め具(2)を開けないと、電極(1)が外れたりゴム栓(4)が飛んだりして危険です。安全メガネは絶対に必要です。さらに、留め具(2)&ビニール管の下にビーカーを置き、それでやっと電圧9Vをかけることができます。


図8:(プラス極)塩素、(マイナス極)水素


図9:塩素がたくさん溶けた液体を取り出す様子


図10:塩素を含む水をつけている様子


図11:塩素による脱色作用


図12:みごとに脱色された某社赤ペン


図13:塩素による脱色作用


図14:同上


図15:同上


図16:脱色かにじんだだけかを判断する(クリックすると拡大


図2:実験を2つのステップに分ける(クリックすると拡大します)
 まず、水に溶かす(電離させる)、次に、電流を流す(電気分解する)


授業を終えて
 H管を使った実験は正確な結果が出るので、絶対におすすめです。最近流行りの手軽な装置では、化学好きな子どもが育たないように思います。

note:生徒と先生の会話
「先生見て、完璧に脱色しました!」
「素晴らしい。完全に無色になっていますね。さてさて、ペンの表示をみてどこ産か調べてください。国産ではないと思います。その他必要な表示もメモしておきなさい」

参考・関連ページ
塩酸の電気分解(3年)2001年
実験11 塩酸の電気分解(2年)2000年
塩酸の電解のしくみ(3年)2001年

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

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