このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第79時
観測4-2 太陽の1日の動き(透明半球) のまとめ

     2018 10 22(月)、23(火)
     運動場→ 第3学習室

はじめに
 『観測4 太陽の1日の動き』で記録した透明半球による太陽の動きをまとめます。


図1:教卓に置かれたセロハンテープをもらおうとしている様子


本時の目標
・透明半球に記録した太陽の動きを調べる
・1時間あたりに動く速さ(透明半球上の長さ)は一定であることを確認する
・日の出・日の入の位置を確定する
・透明半球を外し、太陽の動きをセロハンテープで立体的に残す

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 油性サインペン
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 透明半球(1 /人)
  • セロハンテープ (5/組)

授業の流れ
(1)実習:最後の太陽の位置の記録 (0分〜5分)

 理科学習係に、『授業前の休み時間、最後の太陽の位置を記録してから透明半球をもって第3学習室に集まる』ように連絡させます。先生は、休み時間から校庭に出て、活動の様子を見守ります。


図2:太陽の位置を記録する様子
 透明半球の使い方・記録方法については前時『観測4 太陽の1日の動き』をご覧ください。


図3:同上

 図3の記録15:50を見ると、かなり低く、太陽が地平線に近い位置にあることがわかります。日没は50分後の16:50です。

(2)太陽が天球上を動く速さ(15分〜17分)
 太陽が透明天球の上を動く速さは一定です。太陽が動くように見える原因は地球の自転ですが、その速さは一定です。1時間ごとの記録は、すべて等間隔になります。


図4:太陽が透明半球上を、1時間に動く長さに関する板書

 自分の透明半球の記録から、1時間に動く長さを求め、それを発表させます。透明半球の大きさ(直径20cm)は同じなので、全員同じ長さになるはずです。


図5:自分の記録を発表する様子


図6:発表された記録とそれらの平均値

 図6の学級では、平均値が2.6cmになりました。

 図7は透明半球の円周を数学的に求め、さらに、それを24(時間)で割り、1時間あたり長さを計算したものです。その結果は2.6cmなので、みごとに図6の平均値2.6cmと一致しています。しかし、よく考えてください。太陽が透明半球の円周を通るのは、1年に2回だけです。春分の日と秋分の日だけです。その他は、2.6cmよりも短くなるはずです。


図7:数学的に求めた直径20cmの円の円周

先生のためのワンポイント
 太陽や星など、天体の動く速さは『角速度』で表現します。透明半球上の長さで表現することはありません。透明半球は、中学生の学習用に考えられたもの(昔の天文学者が考え出したもの)です。したがって、半球上の動く長さに大きな意味はないので、深入りしないことが大切です。日の入や日の出や南中時間を求めたり、テスト用計算問題にしやすいのですが、中学生が学ぶべき天体の本質からズレています。

 なお、角速度は一年中いつでも同じです。ただし、角速度を中学生にあえて教える必要はないでしょう。北極星を中心にして1時間に15度動くように見える、で十分です。文科省や教科書出版社の方はご留意ください。

(4)透明半球を外し、記録を整理する(25分〜30分)
 これまで個人に貸し出してきた透明半球を回収します。しかし、せっかく記録してきたものを無駄にしたくないので、図8の方法で残します。


図8: 透明半球の記録を転写する方法


図9:同上(クリックすると、黒板上に掲示した私の見本が拡大します)

 見本はご覧頂けたでしょうか。立体的な記録になっていることがわかると思います。作業手順は、実演しながら詳細に説明します。ポイントは図8、図9の板書通りですが、重要項目を再掲しておきます。

  1. 日の出、日の入りの位置を決める
  2. 長い1本のセロハンテープ上に、すべての記録を転写する
  3. 転写したら、そのテープの糊面と、別テープの糊面を合わせて貼る

(5)生徒実習:記録の転写 (20分〜30分)


図10:転写前の記録(いろいろなペンを使いましたね!)


図11:長いセロハンテープを貼り、その上に転写する生徒


図12:転写後、透明半球を外す様子

 日の出と日の入りの場所を、きっちりおさえるようにします。

 図13、図14は透明半球から外してから、さらに清書している様子です。ここまでできるAさんはさすがです。


図12:転写したものを、さらに清書するAさん


図13:図12の続き(クリックすると部分拡大します)


図14:もう1枚のセロハンテープで裏打ちする様子


図15:教師用教卓で仲良く作業する生徒たち


図16:最終段階


図17:完成作品(クリックすると拡大します)


図18:同上(クリックすると拡大します)

(6)本時の感想、考察 (5分)


図19:終業後の第3学習室(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 楽しい実習時間でした。完成したもの(台紙&セロハンテープの記録)は、2つ折にしていつものファイルに綴じさせました。それを開けば、いつでも立体的な記録を見ることができます。実は、南中高度も求めることができるので、12時の高さ(cm)も記録させておくとよいでしょう。

 なお、日の出&日の入の方位はかなり不正確になってしまいました。原因はいくつかありますが、一番大きなことは、毎回の観測の正確さを優先させるために、台紙と校舎と平行に設置させたことです。前述の通り、校舎は正確に南を向いていないので、日の出&日の入の方位だけでなく、南中時の方位もずれてしまっているのです。

 本校は兵庫県明石ではなく、名古屋市に位置します。さらに、南中=12:00にするためには、日時計の補正表にしたがう必要があります。詳細を知りたい方は各自でネットでお調べください。日時計で検索! がんばってください。

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