このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第80時
観測5 日本から見た星の動き(日周運動)

     2018 12 6(木)、7(金)、10(月)
     普通教室

はじめに
 日本(地球)から観測すると、太陽も星も、もう少し後で調べる月や惑星も、1日に一回転しているように見えます。原因はいずれも地球の自転です。地球は1日に1回自転しているので、全ての天体が日周運動しているように見えるのです。

 さて、本時のポイントは『天球を使ったの図』と『地上から見たの図』、これら2つの図を関連づけることです。いずれも観測者を中心におき、星が動くものとして考えた図(いわゆる天動説です。前者『天球を使った図』はすでに学習した『地球から見た太陽の動き』と同じなので、ゆっくり復習しながら学習を進めれば理解できるはずです。しかし、後者『地上から見た図』は一手間かかります。

 東西南北、それぞの方向における『地上から見た星の日周運動』は、視点を変えて観測する必要があります。私はこの問題について、各学級で延べ6〜8人の生徒に教壇で説明させました。同じ言葉や説明でも、話す人によって理解度が変わります。さらに、同じ説明を繰り返すことで、それが当たり前のようになっていきます。先生一人だけの説明とは別次元レベルまで到達できると思いますので、是非、生徒を教壇へ招いてください。


図1:「フラフープの輪があると考えてください! その輪が回転するのです」と説明したAさん

ジェスチャーを交えた素晴らしい説明だったなあ。

 なお、このページは、本年度の子どもたちのスナップを中心にまとめてあります。学習方法については、別ページ『日本から見た天体の日周運動3年(2011年)』『天体の南中高度、1日の動き3年(2011年)』をご覧ください。


本時の目標
・日本(北緯35度)から見た星の日周運動を理解する
・『天球図』と『東西南北それぞれの方向の図』を関連づけて説明する
・すべての星は『東から南を通り西へ沈む』ように見える

ワンポイント
 上記目標達成に集中させるため、混乱を回避するため、地球の自転方向にはあえて触れないように気をつける

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)君は星を見たことがあるか、星を知っているか(5分〜10分)
 「君は星を見たことがあるか」「星を知っているか」と発問してください。光害によって、全く星がみえない地域の学校では、特別な導入が必要になると思います。冬のオリオン座、夏の大三角、天の川、北極星、北斗七星など、代表的な星を見たことがあるか聞いてみてください。

 本校では、大多数の生徒が見たことがないので、自分の誕生月の星座の話、ビーナス(金星、一番星)の話、サザンクロスの話、などをしました。星について興味を持たせると同時に、ざっくりとした星の位置や動きに触れることで、今後の展開がスムーズになります。

(3)天球を使った星の日周運動(15分〜20分)
 下図2、下図3のように、星の日周運動を描かせます。前時も同じような図を描きましたが、できるだけ美しい図がかけるように時間をたっぷり与えてください。すべての線は『平行』『直交』、あるいは、35度か55度の角度を作っています。


図2:天球に張りついているように見える星の日周運動


図3:同上

(4)地上から見た星の日周運動 (15分〜25分)
 東西南北4つの方向について、地上から見た星の日周運動を図示します。指導上のポイントは説明順序です。北、西、東、南の順に行ってください。これがベストだと思われます。

 下図4は北の空です。北の空を観測すると、北極星は動きませんが、他の星は北極星を中心に反時計回りに日周運動します。なお、この図の観測者の位置は、北緯35度です。したがって、北極星の高度は35度になります。


図4:北の空における日周運動を説明するBさん

 天球の中央に立ち、そこから北極星の方向を指差し、指を反時計回りに動かす! 素晴らしい説明でした。

 2つめに調べる方向は西です。西は、天球図に示した方向と同じなので、そのまま写すだけです。写すだけですが、写すだけであることを確認することは簡単ではありません。初めてのことは、きちんと確認することがとても重要なのです。


図5:西の空の動きを板書するC君
 完璧な星の動きを書いてくれました。地面への入射角度は55度です。計算式は、90度-35度=55度、です。


図6:西の空の動きを板書するDさん
 ジェスチャーが最高でした!


図7:完璧に説明したE君

 3つめは東の空です。一番難しい方角です。


図7:東の空の解説をするEさん


図8:東の空を動きを板書するF君
 真東における上昇角度は55度。かなり正確です。


図9:手のひらの角度を使って解説するG君


図1:「フラフープの輪があると考えてください! その輪が回転するのです」と説明したAさん

ジェスチャーを交えた素晴らしい説明だったなあ。

 最後は、南の空です。


図10:サザンクロスを中心にして日周運動する南の空
 黒板の下にサザンクロスを書いたのは私です。授業後、濡れ雑巾で拭いておきます。

 さて、黒板下に書くねらいは、 生徒から簡単に見えないようにすることです。まるで、地平線の下にあるかのように表現することです。「見えない人は席を立ちなさい。見えるとところまで移動しなさい!」と指示します。

 実際、名古屋からサザンクロスを見ることはできません。沖縄やオーストラリアなど南へ移動する必要があります。地平線の下にある星座であることを示すために、意図的に書いたのであって、決して悪ふざけではありません。よろしくご理解ください。


図11:東西南北4つの方向における星の日周運動

図11の東西を入れ替える
 図11の東西を入れ替えると、南の空の動きと一致するようになります。それが下図12です。


図12:地上4方向における星の日周運動

 ここで、もう一度図11を見直すと、その東西は北の空の動きと一致してることがわかります。


図13:図11に矢印を加えたもの

(5)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 今日もいろいろな生徒の説明が聞けて楽しかったあ。

 おっと、重要なことをメモしておかなければいけません。2018年、名古屋市瑞穂区のとある中学校では、自分の目でオリオン座を見たことがある生徒は15%、北斗七星は5%、北極星においては2%でした。授業導入において、この世のには星があるんだよ! ロマンを語れるよう人になろう! と叫んでください。子どもたちは星を見たことがなくても、笑いながら授業に入っていきます。

note:生徒と先生の会話
「それが説明できたら通知表7ですか!」
「うん、中学生の空間認知能力&説明能力としては確実に5以上ですね」

関連ページ
日本から見た天体の日周運動3年(2011年)
天体の南中高度、1日の動き3年(2011年)
観測8 星の日周運動3年(2004年)
観測9 1日の星の動き(年周運動) 3年(2004年)

第79時 ←
観測4-2 太陽の1日の動き
(透明半球)のまとめ

→ 第81時
観測6 星は1日に360度+1度動く
(日周運動+年周運動)
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