このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第30時
実習24 エネルギー変換

     2018 7 4(水)
     第3学習室

はじめに
 エネルギーは目で直接見ることができないものですが、いろいろな自然現象として確認したり調べたりすることができます。力学エネルギーは『実験19位置エネルギー』『実験20運動エネルギー』『実習21力学的エネルギー』、熱エネルギーは『熱量の違う2つ水を混ぜる』で学習しました。弾性エネルギー・音エネルギー・光エネルギーは1年、化学的エネルギー・電気エネルギーは2年で学習しています。

今日は、これらのエネルギーが互いに移り変ることを学びます。


上:A組での板書


本時の目標
・自然界にあるいろいろなエネルギーをまとめる
・エネルギーは互いに移り変わることを理解する
・熱エネルギーの伝導、対流をまとめる
・いろいろなエネルギーの変換効率を調べる

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

 「今日は、自然界にはいろいろなエネルギーがあること、そして、それらが互いに移り変わっていくことを学びます。前回学習した熱エネルギー、力学的エネルギー、その他小学生でも知っているエネルギーがあるので、それらが移り変わることをプリントにまとめていきましょう。プリントは2つに折らず、開けたまま書くようにしてください。みなさんの発表によって、どのように関係付けられ、図が膨らんでいくかわからないので、先生も楽しみにしています。

(2)力学的エネルギーの移り変わり(3分)
 「プリント中央に力学的エネルギーをまとめます。力学的エネルギーは2つのエネルギーのことでしたが、何と何でしたか? ・・・そうですね。位置エネルギーと運動エネルギーです。では、それを早速書いてみましょう(下図のように板書する)


上:力学的エネルギー(位置エネルギーと運動エネルギー)

(早足で机間巡視し、ぼおーっとしている子どもに刺激を与えるために筆記用具を持たせたり、書き終えた子どもの名前を発表して褒めたりしながら教卓に戻ったら。所要時間30秒)では、全員書き終えたようなので、この2つのエネルギーの移り変わりを説明するための装置は何だったでしょう? 天井からつるしたものですが・・・ そうですね。『振り子』です。では、プリントに振り子と書いてください(下図)


上:エネルギー変換の核となる、力学的エネルギーについてまとめた板書

先生のためのワンポイント
 力学的エネルギーは、エネルギー変換の核になるものではありません。それを中心にした理由は以下の3点です。
(1)中学3年生で学習したばかりの内容
(2)2時間使い、それらのエネルギーの仕事量をグラフ化した
 『実験19位置エネルギー』『実験20運動エネルギー
(3)振り子の授業『実習21力学的エネルギー』で、力学的エネルギーが他のエネルギーになってしまうことを学習している

(3)振り子の力学的エネルギーは、どうなるか(5分〜)
 「振り子の実験を思い出してください。理想的な振り子の場合、永遠に動き続けますが、だんだん振れ幅が小さくなり、やがて止まってしまいました。いくつかの原因がありましたが、今日は、エネルギーが力学的エネルギー以外に変わってしまった、と考えてください。では、質問します。振り子のエネルギーは、何エネルギーに変わったのですか? 手を挙げて発表してください!
 ・・・(A君が答える)そのとおり、音エネルギーです。他にもありますが、まず、音エネルギーについてまとめましょう」


上:力学的エネルギーと音エネルギーの関係

 「ところで、音エネルギーでは小学生っぽいので、もう少しカッコよく言うことはできないでしょうか! 音ではなくて、何とかエネルギー。わからない人は、音の正体を考えればわかると思いますが・・・音は空気が・・・そうですね。音は空気という物質の振動です。つまり、振動エネルギーです」

 「振り子が風を起こす。振り子が空気を動かしています。また、天井に固定している部分がギシギシ音を立てていたとしたなら、そのリズムは振り子の振動と完全に一致した音(振動)エネルギーと考えることができるわけです」

 「次に、力学的エネルギーを音エネルギーに変換する装置を考えてみましょう。振り子はダメです。振り子にとって、音エネルギーに変わってしまうことは無駄であり、音が出るような振り子は安物、失敗といえます。そうではくて、初めから音を出すために作られた装置です。・・・(中略)・・・『太鼓(手の運動エネルギーを変換)』、『バイオリン(手の運動エネルギーを変換)』

先生のためのワンポイント
 振り子がだんだん止まる主な原因は、以下の通りです。
(1)空気との摩擦(空気を振動させる、音エネルギー)
(2)いろいろな摩擦によって発生する熱エネルギーへの変換

(4)その他のいろいろなエネルギー(15分〜20分)
 (3)と同じように、いろいろなエネルギー、および、エネルギー変換のための装置を発表させます。以下は授業で発表された語句の一覧です。

本日の重要語句
(1)力学的エネルギー(位置エネルギー、運動エネルギー)
(2)音エネルギー(振動エネルギー)
(3)光エネルギー(振動?エネルギー)
(4)弾性エネルギー(変形させられている物体が元に戻ろうとするエネルギー)
(5)電気エネルギー
(6)化学的エネルギー(石油・ガスなどの有機物に多く含まれる)
(7)熱エネルギー
(8)核エネルギー
(9)水を温めるための核分裂(核→熱)
(10)タービン(熱→力学)
(11)タービン、手回し発電機(力学→電気)
(12)光合成(光→化学)
(13)燃焼、呼吸(化学→熱)
(14)エンジン、筋肉(化学→力学)
(15)LED、電球、蛍光灯(電気→光)
(16)太陽光パネル(光→電気)
(17)電子レンジ(電気→水分子の振動)
(18)モーター(電気→力学)
(19)石油ストーブ、ガスヒーター(化学→熱)
(20)太鼓、バイオリン(力学→音)
(21)オルゴール(弾性→音)
(22)マイク(振動→電気)
(23)スピーカー(電気→振動)
(24)摩擦(力学→熱)
(25)ヒーター、炊飯器(電気→熱)


上:A組の板書(クリックすると拡大します)


上:B組の板書 (クリックすると拡大します)


上:C組の板書(クリックすると拡大します)

(5)熱エネルギーの伝導、対流(5分)
 熱エネルギーは、まわりに伝わっていきます。その方向は『高温から低温へ』の一方通行で、その逆はありません。物体は冷たくなることはあっても、暖かくなることはありません。伝わり方は、その物体(物質)の状態によって、次のように分類させれます。

熱エネルギーの伝わり方
(1)伝導:固体の場合
(2)対流:流体(液体・気体)の場合
※中学では『流体』という語句は教えません。


上:熱エネルギーの伝わり方、および、エネルギーの変換効率に関する板書

(6)エネルギーの変換効率 (5分)
 教科書や資料集を参考にしながら、いろいろなエネルギーの変換効率について調べたりまとめたりしましょう。注意点はただ1つ。先生が頑張りすぎないことです。このあたりは、理科というよりもクイズ、産業技術に関する小ネタ、ともいえる内容です。興味がない子どもに対して、熱く語らないようにしてください。子どもたちが自主的に、興味を持って調べるようにさせることが肝要です。

(7)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 エネルギーはつかみどころがない概念です。それを子どもの実体験の中から理解させるように工夫することが大切です。

 3年の物理分野はこれで終了となりますが、最後にエネルギーの学習をして楽しかった! と結べるようにしてください。

関連ページ
実験19位置エネルギー
実験20運動エネルギー
実習21力学的エネルギー

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

第1章 量と単位   単位には意味がある p.8
 国際単位系(SI単位系) p.8
第8章
熱エネルギー
 家電製品によるエネルギー変換 p.147

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実験23 熱量が違う
2つの水を混ぜる

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観察1 ソラマメ、
タマネギの根

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