このページはアクティブラーニングを斬る!Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスンです

2 私の能動的学習(アクティブラーンング)実践

5 子どもと会話しているような授業

 私の授業見学にいらっしゃる先生方は、みなさん同じようにおっしゃいます。
「まるで会話しているように授業が進んでいきますね」
「雑談しているみたい」

 子どもたちは挙手することなく、思いついたことを自由に発言します。子どもたちの口から無意識に出てくる言葉は、どれも的を得たものばかりです。私は間髪を入れず、それに応えます。無用な時間を入れると、学習と無縁な話題が入るからです。私が即時に呼応することで、「目的に向おうとする私の意思」と「子どもの思考」が同調し始めます。

 どの子どもも一様に同じような疑問や感覚を持っていますが、それが明確になることは稀です。私の授業は、それを言葉にます。子どもの心の揺れを感じ、それを言葉にしていきます。つぶやきがあれば、全員のつぶやきとして取り上げます。このようにして、子どもの思考を誘導しながら、1時間の授業のねらいに到達していくのです。私の授業は、微妙な間合い、ゆらぎの中に息づいています。

(1)小さなつぶやきを拾う
 子どもたちは、「おやっ」と思ったことを口に出してつぶやくことがあります。大きな声で叫ぶ子どももいますが、私が担当する中学生ではそれほど多くありません。自分が知らないことを恥ずかしいと感じたり、自分の考えが間違っていたらどうしよう、と思うからです。したがって、子どもが小さな声でつぶやいた時、すかさず、その声を拾います。「A君、それは○○だよ」、あるいは、「Bさんの言う通りです」、「C君が面白い疑問を見つけてくれました。誰かその答えを知っている人はいませんか」のように展開していきます。あなたが「自分は地獄耳だ」と思っていらっしゃるなら、必ずできるようになるはずです。

(2)子どもの言葉を先生に言葉にしてしまう
 (1)は、子どもの言葉を先生の言葉にしてしまうことに他なりません。子どもの言葉を、私の言葉に置き換えてしまうのです。表面上は、子どもたちと会話しているように感じるのですが、実は、すべてが先生によってコントロールされています。子どもとの会話のように見えても、実際は明確なゴールを目指して展開されています。完全に先生の筋書き通りに進んでいる場合でも、子どもたちは自分の力で発見したように感じます。「正解を見つけることができた」「先生に取り上げてもらった」と喜びます。実際、私も喜んでいるのですから、とても良い関係で進行しているわけです。

(3)同時に多発した時は、最適なもの1つを選び、取り上げる

(4)脱線発言を取り上げる
  筋書きや予定とは違う発言も大歓迎です。先生の予定通りに進行する授業は面白くありません。大きく踏み外すほど大きく育ちます。最終的に失敗でも構いません。失敗経験が多いほど人生は豊かになりますが、授業も同じです。時間にゆとりがあるなら、脱線発言を大いに褒め、本気で脱線してください。「A君の話は誰もわからない。天才だ!」と取り上げ、その続きを楽しんでみましょう。知的好奇心をくすぐる天才的発言、全員が理解できない考えについて、全員で考えてみましょう。それは授業(人生)を豊かにします。すべて計画通り、レールの上を走るだけの授業(人生)に魅力はありません。私は常に、いかにして授業を脱線させようかと考えています。何が起こるかわからない授業(人生)は素晴らしい、と思いませんか。私はわくわくします。

(5)最終ゴール、授業目標に向かってゆっくり進む
 授業は一直線に進みません。回り道をしたり道草をくったりしますが、そうした無駄に見える行為が重要です。それが一期一会の授業であり、一斉授業の楽しみです。ゴールに早く到着すれば良いという教育は、画一的な没個性人間をつくります。高い授業料で流大学へ一直線! という学習塾と同じレベルです。焦る必要はありません。あなたの授業で、計画とは違うつぶやきしか出なくても大丈夫です。1時間の授業は50分もあります。先生がぶれなければ、自然に最終ゴールへ近づいていきます。ゆっくり近づけば近づくほど、落ちこぼれは少なく、理解は深まるものです。先生がどんな発言でも拾うなら、子どもたちは安心して発言することができます。積極的に発言し、活発に思考することができます。子どもたちは自分たちの自然な思考の中で、学習を深めていくことができます。

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 授業は時間芸術です。同じものは存在しません。私は全てを動画に残しておきたいと熱望したこともありますが、私はそれを再生するより新しい時代の創造に興味があります。年老いた今、老後の楽しみのために動画を撮影したいと思うこともありますが、何もできない老人になったとしても、私は過去を再生するより何もできないということの創造に興味があります。脱線しました。今日は晩酌のビールを飲み過ぎたようです。

2016年11月29日

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