このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。 |
第6.3章 校 則
11 授業エスケープ
1 授業エスケープとは
授業エスケープとは、無断で授業から逃避することです。それは開始時間によって次の2つに分類されます。
(1)始業時間になってもいない
始業のチャイムがなった時、教室にいなければ授業エスケープです。しかし、学校が荒れてきたとき、始業時間にいない生徒を『授業エスケープ』とするかどうかの判断は微妙です。「腹が痛くてトイレにいた」「Aさんが泣いて動けなかったから付合っていた」など、判断に困る理由が増えてくるからです。正当な理由なのか、自分勝手な言い訳なのか簡単に区別できなくなるからです。(2)授業中に消える
授業中、無断で教室から消えるエスケープは明らかです。とくに、先生の制止を振り切って教室を飛び出す『授業離脱』については、厳しく指導する必要があります。終了間際に、自分勝手な判断で教室の外に出る行為も同じです。
2 授業エスケープを未然に防ぐための校則
『授業エスケープをしない』は学校生活の常識です。ほとんどの学校では、校則として明記されていない『常識』でしょう。そのかわり、授業エスケープを未然に防ぐような、次の2つの校則があると思います。
(ア) 放課中に、次の授業の準備をすること(遊び時間ではない)
(イ) 始業のチャイムが鳴りはじめるまでに着席していること
この2点を校則として徹底した指導を行えば、授業エスケープは未然に防ぐことができるでしょう。3 授業よりも大切なことがある
授業エスケープが問題なのは、生徒がどこにいるか不明だからです。トイレ、保健室、別室になど、所在がわかっていれば大丈夫です。しかし、不明はいけません。どこかで倒れていたり、外部の侵入者によってさらわれたりしているかも知れないからです。生徒の身体の安全は、授業より優先されます。授業担当の先生は、室長に頼んだり自分で職員室に連絡します。そして、生徒全員の所在がわかるまで、先生は授業を開始できません。家庭内におきかえるなら、家出や蒸発です。行き先を言わずに黙っていなくなれば、家族全員が心配します。悪者に『誘拐』や『拉致』されているのではないかと心配することもあるでしょう。長い間帰ってこなければ、消えてしまった原因が自分にあるのではなないか、と自分を責めるようになるでしょう。一般企業のような、職務怠慢(無断欠勤)→ 解雇、という図式にはなりません。4 授業を受ける権利を守る
授業エスケープは、他の生徒の授業を受ける権利をはく奪することです。いかなる理由や背景があっても、絶対に許されない行為の1つです。先生は、すべての生徒の授業を受ける権利を守るために強く指導しましょう。注意点は、守るべき生徒の順番です。まず、真面目に授業の準備をして待っている生徒、次に、授業エスケープをしなければいけない生徒です。この順序を間違えると、学校が崩壊します。私は、何度か学校崩壊の危機に直面しました。5 授業エスケープした生徒への対応
授業エスケープがあったら、ただちに保護者へ連絡してください。校内を探し回るよりも先です。保護者に心当たりがあるかもしれません。そして、エスケープした生徒を見つけたら、別室に入れます。そのまま教室に入れてはいけません。自分の意志で授業離脱をしたのですから、「オレには授業を受ける権利がある」という主張は認められません。他の生徒への影響を考え、少なくとも2時間は別室で指導します。同時に、発見されたことを保護者へ連絡してください。6 生徒の話を聞いてみよう
次に、保護者と一緒に、「なぜ、授業エスケープをしたのか」本人の話をしっかり聞きましょう。目的は、授業エスケープの完全撲滅です。保護者や先生に改善すべき点があるなら、反省して改善しましょう。大きな問題行動の背景には、本人の力だけで解決できない問題があるものです。それを本人が語るようなら、素直に耳を傾けてください。本人、保護者、先生の共通理解と努力が大切です。一度にすべて解決できない問題であっても、足並みが乱れないように、よく話し合ってください。その際、1番悩み、困っているのは生徒本人であることをお忘れなく! そうでないとすれば、それまでに大人が長期間放置した結果です。7 楽しい授業をしよう!
もし、「先生の授業がつまらないから」といわれたら、それは事実です。大多数の生徒から「面白い」といわれても、その生徒にとっては「つまらない」のです。そこで、先生はどうしたら良いか生徒に教えてもらいましょう。「難し過ぎる」「何を言っているのかわらない」「黒板に書くことが多過ぎる」「先生がしゃべっているだけなので眠くなる」「オレばっかり注意されるので嫌だ」などの答えが返っくると思うので、先生は「できる限り君の要望に答える」と約束しましょう。ただし、1人のために一斉授業をするのは、理論的にも現実的にも不可能です。先生は、具体策を提案しましょう。「先生は、私語を注意とき、必ず相手の生徒からする」「君は、必ず自分で筆記用具を用意する」などです。生徒と共通理解できれば、生徒は納得し、先生と同じように努力すると思います。なお、面白い授業が何かわからない先生は、別ページ『おもしろい授業をしよう』をご覧ください。肩の力が抜けるはずです。8 公務執行妨害としての授業エスケープ
不幸にして授業エスケープが繰り返されるなら、それは『公務執行妨害』や『業務妨害』に相当します。同じクラスの生徒にとっては、『自分の授業を受ける権利を奪う行為』です。保護者が授業エスケープを後押しするようなら、先生は厳しい決断を迫られることになるでしょう。しかし、それまでに保護者と十分に話しあっていれば、このような事態には通常なりません。授業は学校生活の中心です。上記2の校則(ア)、(イ)を徹底し、1秒の遅刻も許さない、1秒でも早く抜け出すこと許さない、という毅然とした態度で臨んでください。無断で消えるような生徒はいなくなるでしょう。9 関連ページ
・ 授業妨害という犯罪2011年1月29日
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