このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

29 成績(順位)を上げるための授業

1 成績とは何か
 成績とは、テストの得点による順位です。100点満点で100点なら、成績は1番です。ただし、全員100点なら全員1番です。

2 成績(順位)を上げる、という目標
 ところで、1時間の授業の目標として、『成績を上げること』を設定するのは可能でしょうか。答えは『ノー』です。誰が1番になっても(2番になっても)学級全体としては同じです。むしろ、成績向上を目標にすると、勉強嫌いを育てる結果になりやすいので、やめてください。安易な競争は、学習から知的な歓びを奪います。

参考:学習塾(進学塾)の目的 (福地先生の教育の相談箱から)
 塾や家庭教師の最終目的は、保護者から金をもらうこと(利潤の追求)です。ほとんどの場合、保護者の希望は「成績を上げること」や「学力の高い上級学校へ入学すること」なので、その希望を叶えるために最善の努力をします。必要に応じて、能力別クラスを編成したり、特別な問題集を使ったりします。

 さらに、有名な進学塾のいくつかは、入塾試験によって成績優秀な生徒を集めることに成功しています。初めから成績優秀なのですから、塾によって成績が上がるわけではありません。見事な商法です。塾内で成績別に振り分けることも、同じような素晴らしいマジックです。同じような能力の生徒は、互いに良きライバルとして競い合いますが、その目標は『成績(順位)』に限定されています。進学校の募集人数は決まっているので、行き過ぎた競争は、友達の足を引っぱることことまで学習することがあります。それは資本主義社会の日本で生き残るために必要なことかも知れませんが、私はそれに反対です。資本主義ではない、成績や金銭や物質などの数字で測定することができない、心豊か幸せな世界を目指す人間を育てたいと思っています。

3 全員に100点を取らせよう!
 学校の先生の1時間の授業目標は、その内容を全員に理解させることです。全員に100点をとらせることです。それは別ページおもしろい授業をしようで紹介した、面白い授業をすることです。私は、毎時間、90%以上の生徒が90%以上理解できる授業をおこなっています。学習指導要領にある1時間の学習目標は、それほど簡単なものです。簡単だと感じられない先生は、勉強をやり直してください。他人に教えられるレベルまで、深く学習してください。テストで100点を取るだけなら、誰でもできます。指導書や指導案を見ながら授業をおこなうのは、テストで模範解答を丸写しするようなものです。

4 成績と授業の楽しさは、関係ない
 1時間の授業内容は、平均15分で完了できる程度のものです。15分の内容を繰り返し練習させれば、大多数の生徒はテストで100点を取るでしょう。テストの成績(順位)は、『何週間か後に、どれだけ覚えているか調べた結果』にすぎません。ノート持ち込み可能なテストなら、ますます全員100点に近づくでしょう。テストの得点や成績にこだわると、生徒は「勉強はつまらない」「何のために勉強するのかわらない」「将来の役に立たないことはやりたくない」と不満の声を漏らすようになります。学習は遊びと同じように、役立たないから面白いのです。とても高度な知的な遊びです。

5 テストで高得点を叩き出すためのテクニック
 通常の授業とは別に、チャンスをとらえて、テストで100点を取るためのテクニックも教えましょう。詳細は、別ページ『高校入試で点を取るための授業』をご覧ください。

2011年2月7日

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