このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

12 手作り学習プリント

1 手作りプリントか、業者や研究会の理科ノートにしようか迷っている先生へ
 ずばり! 毎時間プリントを作って下さい! 毎時間作成することは大変な気がしますが、私の場合、下書きから印刷完了まで平均20分です。授業の内容を決めるための時間は膨大ですが、書きはじめたら一気に完成です。ポイントは、できるだけ書かないようにすることです。先生の職業病の1つに、自分で全部にやってしまおうとすることあるので、病気と闘いながら作製してください。

2 手作り学習プリントの実際
 新卒の頃はB4版にびっしり書いていましたが、20年の経験を経て白紙に近いものになってきました。先生の頭の中に、授業の要点さえインプットされていれば、プリント番号とタイトルだけで構いません。「それなら普通のノートで十分じゃないか」という意見もありますが、私は罫線がなく自由に書ける白紙、しかも、ある程度大きさのある紙面を好みます。生徒の心には、紙を無駄にすることなく、いっぱいに書こう、デザインしようとする気持ちが働きます。自分の考えを自分のスタイルで書き、まとめる時間です。ゆとりのある自由で新鮮なプリントを毎時間もらうことは、それだけで心を踊るものです。

(1) 必ずプリントに記入する項目
 (ア) プリント番号(通年の番号、および、単元の番号)
 (イ) 本時の学習のテーマ

(2) 場合によって印刷しても良い項目
 (ア) 実験装置
   ※ 複雑な実験装置を印刷しておけば、時間の有効利用につながる。
   ※ もし、実験装置そのものに意味があるなら、各自に書かせること。
 (イ) 実験の流れやポイント
   ※ 友達と手分けしなければならい実験の場合。

(3) 印刷してはいけない項目
 (ア) 紙面いっぱいの活字や写真(余白がなければノートの意味がない)
 (イ) 過剰で詳細な説明(要点であっても印刷する必要はない)

(4) B4サイズに片面印刷
 A4サイズに両面印刷して使ったこともありますが、絶対にB4片面印刷です。この大きさは50分授業に最適です。A4では小さく、A3では大きすぎます。片面印刷の理由は、1時間の授業内容を一目で見たいからです。まとめさせたいからです。家で復習する時も、裏表でごちゃごちゃ見るより、一目で見た方が良いに決まっています。もったいない、という人もいますが、将来を担う生徒を育てるための投資として、片面印刷は適切だと思います。

3 毎時間、ファイリングさせる
 ファイリングは絶対に必要です。生徒個人にファイル、保管させて下さい。なお、2005年現在、ファイルは校費(授業評価に必要なもの)で購入できます。生徒の評価に使うものなら、購入できるのです。個人購入させている学校は、管理職や事務の方に相談してください。保護者の負担軽減のためにも必要なことだと思います。ファイルは1册30円程度です。

4 ファイル点検
 毎時間回収し、毎時間点検することが理想です。しかし、私は1学期に1回しか点検しません。この点は改善しなければなりませんが、十分な時間を確保できないのが現状です。その穴をうめるべく、私は授業時間に何度も机間巡視します。また、実験や観察の時間なら、生徒全員に少なくとも1個の合格印を押すようにしています。たくさんの合格者がでる電流の実験では、40人の生徒に対して平均5個の印を押しましたHow to 授業から合格印で誉めたたえよう』。文字どおり、目が回る忙しさですが、プリントを回収しないのですから、現場で燃え尽きても仕方ありません。

5 ファイルは誰もなくさない
 ファイルの重要性、毎時間の授業の大切さは、口を酸っぱくして話すので、ファイルを提出しない生徒はいません。数100人に1人ぐらい紛失する生徒がいますが、心配無用。他の教科でも、家でも同じような生活をしています。先生だけの責任ではありません。

6 手作り学習プリントの利点
 毎時間の目標を自由に設定できることが、最大の利点です。理解できていないと感じたら、同じような実験をくり返したり、逆に、戻って復習することもできます。生徒の実態に合わせて、自由に授業カリキュラムを入れ換えられます。ただし、これができるようになるには、十分な知識と経験が必要なので、少しずつアレンジするようにしていきましょう。

7 1998年度末のアンケート結果
 以下に、私が3年間もち上がりで担当した生徒119人(1998年度)に実施したアンケートから、『学習プリント(理科プリント)』に関する部分を転載します。

理科の学習プリント(授業用)について

 複数回答可
男子+
女子
62+57

 <肯定的>            113件(58+55
 ・ 良 い                 22+

 ・ ノートより分かりやすい         16+

 ・ 自由にまとめれる、スペースが広い    1+14
 ・ 図、グラフがよい、時間短縮       3+
12
 ・ テスト勉強に便利、良くまとまっている  9+

 ・ 書くことが楽しい、面白い        3+
     
 ・ 手書き感、先生の字、絵が好き      1+
 ・ 家で授業内容を思い出す(
1年植物)   2
 ・ 
このまま続けて下さい          2
 ・ 感動的
 ・ 実験結果が残る
 ・ 通し番号がよい

 ・ ノートと違い新鮮
 ・ 
ファイルしやすい
 ・ 授業内容が事前に分かる
 ・ 分野別に取り出して勉強できる
 
 ・ ファイルが厚くなるのが楽しみ
 ・ 提出があるので皆一生懸命書いた

 ・ ノートのように家に忘れることがない
 
・ 配られると何をやるのかわくわくした
 ・ 
裏面が真っ白はもったいないけど便利
 ・ 
重要ポイントを自分で書くようになった

 <中立・要望>         23件(12+
11
 ・ 字が読み難いので丁寧に        4+

 ・ 両面印刷で              2+

 ・ 
考察を書かなければいけないのが嫌     2
 
・ 慣れた
 ・ 
図を丁寧に
 ・ ノート代が浮く
 ・ 練習問題を入れて
 
・ 穴をあけておいて
 ・ 
プリントの採点は嫌
 ・ 印刷のうすい時がある
 ・ 卒業後のどうしたら良いのか?

 ・ 
とてもカラフルに書いたでしょ
 ・ 完全な白紙プリントにまとめたい
 ・ 全体にスペースを大きくして欲しい

 ・ 
こういうやり方もあるんだなあと思った
 ・ 
**科のように先生が書いた重要なところを写すのもいい

 <否定的>             21件(8+

 
・ かさばる                 2+
 ・ ノートでも良かった            1+

 ・ 紛失すると困る              2
 ・ ノートより整理し難い
 ・ 書く場所が分からない時がある
 ・ 見ただけでは分からないプリントがある

 ・ 
実験の時は忙しくて白紙のままの時もあった

8 アンケート結果の考察

1 大きな改善すべき点は見つからないので、来年度も同様の方法で継続する

2 しかし、
ノートや白紙にまとめたいと答えた生徒が3人いた。これは少人数とはいえ大問題なので、詳しく分析したい。ただし、彼等は理由を書いていないので、他の意見から類推する。

3 学習プリントに対して否定的な意見
 かさばる、紛失する(6人)、ノートより整理し難い(1人)、スペースが限定される(1人) 
これらのうち、『かさばる、紛失する』については無視できる。『ノートより整理し難い』は『紛失する』の意見に近い。残る意見『スペースが限定される』はその反対意見『自学習プリントは自由にまとめれる、スペースが広い(15人)によって十分打ち消すことができるだろう。そして実際に授業を運営する上では、どちらかを選択しなければならいので、結論は来年度も同様の方法を継続する。

4 手書きかパソコン印刷か
 後述の意見『テストの解答用紙をワープロで(人)』と比較すれば、授業用『理科プリント』については手書きでよいことは明らかである。結論:
来年度も手書き中心とするが、一部パソコン印刷を用いても良いだろう。

5 肯定的な意見
Aさん:先生がプリントに沿ってやったから、分かりやすい
B 君:その日に何をするのかということが最初から印刷してあるので分かりやすい
Cさん:プリントが渡されると、次は何をやるのかな
とワクワクくした

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(C) 2005 Fukuchi Takahiro