このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第5章 笑顔の生活指導

2 ほめ上手になろう

1 生徒指導の基本は、笑顔でほめること
 『生活指導』という言葉から、『事件や問題が発生した時の対応』を連想する人が多いと思いますが、生徒指導の基本は「生徒をほめること」です。「しかること」や事件を処理することではありません。ほめることは、生徒の小さな勇気、努力、成功などを発見し、言葉で賞賛することです。生徒の成長や変化を見つけ、笑顔でほめたたえることです。笑顔で喜びあうことです。

2 ほめるために、よく観察すること
 生徒をほめるためには、たくさんの視点からよく観察します。保護者や友だち、本人すら見逃してしまいそうなことも拾います。とくに、大きな勇気を持って行なったこと、初めてできたことは、誰もほめないことでも賞賛します。もし、あなたが悪い点しか見えないなら、あなたの観察が甘い証拠です。どんなに許されない行為をする生徒でも、ほめるべき点はたくさんあります。

3 誉めるポイント、方法
(1)ごく当たり前のこと、些細なことが重要。
(2)できて当然のことでもほめる。
(3)自分の努力じゃなくても、その生徒に直接かかわることをほめる。
(3)頑張らなくても、ごく自然にできていることを発見する。
(4)その子に似合っていることを「似合っている」と言う。
(5)誉めれない行為の中にある「誉められるべき一部分」を探す。
(6)昨日と違う点を指摘する。
(7)誰もが簡単にできることでも、その子が努力しているなら「その努力」をほめる。
(8)できれば、友達の前でほめる。
(9)目立たないことで、ほめる。
(10)本人が「当たり前」と思っていることをほめる。
 ※当たり前のことは本人の負担がゼロであり、大きな発見であると同時に、大きな自信となる。
(11)つまらないことで、いちいちほめる。
(12)言葉に出して、いちいちほめる。
(13)結果がでなくても、がんばったことをほめる。
(14)平均的なレベルに達していなくても、その子なりに頑張っていることをほめる。
(15)努力した以前より良くなったことをほめる。
 「まだゴミあるけれど、ほら見てごらん。掃除前に比べれば100倍奇麗だよ。今日はよく頑張りました」

5 具体的な褒め言葉
(1)名札もバッチも「真っすぐ」ですね。
(2)シャツが洗い立てで「爽やか」ですね。
(3)今日は袖が伸びていて「真面目さん」に見えるよ。
(4)髪の毛さっぱりして「よく似合っている」よ。
(5)大きな声で本が読めましたね。
(6)はっきりとした声で本が読めましたね。
(7)読み間違いが1つもない。素晴らしい!
(8)ノートを綺麗に書いたね。かなりの秀才に見える!
(9)正確に書いたね。間違った字が1つもない。
(10)走るのが速いね。
(11)スタートダッシュの反応が凄い。
(12)腕の振りがいいから、すぐに伸びるよ。
(13)授業で誉める方法は、別ページ合格印で誉めたたえよう
(14)生徒の視点を広げる言葉は、別ページ『かっこいい大瀬良kun(琵琶林檎140号から)
(15)筆箱を持っていなかった生徒に対して、「自分の筆箱だね。すごいよ」

6 調子にのっている時は見守る
 その一方、どんなに素晴らしいことでも、本人が調子にのっている場合は、誉める必要がありません。むしろ、周りへの配慮が欠けたり、調子に乗りすぎて失敗したりします。誰から見ても優れている点を、あえて指摘するのは「ほめ下手」の証拠です。プロの教師は、冷静に次の課題を教えて熱を冷まし、謙虚さを教えて下さい。「実るほど、頭をたれる稲穂かな」中学生にも必要です。

note
・規則にもとづいた観察(校則を守っているか否か)は、観察された人の心を貧しくします。あなたの心も貧しくします。

・私は取りあえず、「いいよ。いいね。」と言うようにしています。すると、「先生、何が良いのですか」と質問されますが、それから良いものを探して答えれば良い、と思っています。何も見つからなければ、「君とであったことが良い」と答えましょう。初めは恥ずかしいと思うかも知れませんが、その生徒は、あなたと出会うことを心待ちにするようになります。私も心待ちにしています。

・君にとって価値はなくても、先生には最高の価値があるんだ!

・「ほめ上手」が「叱り上手」になることは簡単。その逆は難しい。

・「ほめること」と「お世辞をいうこと」は違います。

・先生になると、自分が偉くなったと勘違いしたり、命令したり、自分が言ったことが絶対だと勘違いするようになります。そして、大声を出したり、規則を持ち出したり、外部権力に頼ったりして、生徒を従わせようとする先生がいます。先生と生徒の立場は明確に違いますが、人をほめる力量も違い、教育者としての中身も違うのです。

2007 may 27

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