このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第6.2章 アドバイス、説教と懲戒

11 事件を完璧に解決する方法

1 事件を解決する基本手順
 ある1つの事件が発生した場合、次の手順にしてがって指導することは基本です。

(1) 事件に関係する全員から、1人ずつ事情を聴く。
(2) 不明な部分は「目撃者」を呼び、事情を聴く。
  ※ ここまでは、個別に事情を聴きましょう!
  ※ 口裏合わせができないようにすることが、とても重要です。
  ※ 証言が違う場合は、一致するまで粘り強く質問してください。
  ※ 事実が完全に一致するまで、事実の確認作業をくり返してください。

(3) 1つの部屋に全員を集め、全ての事実確認を行う。
  ※ 完全に一致してから、できるだけ短時間で終らせるようにします。
  ※ 食い違った場合、もう一度、個別の部屋で聞き取り調査をすることもあります。

(4) 関係する全ての保護者を呼び、事件の顛末を報告する。
  ※ 学校の会議室に集合することが多いです。
  ※ これ以降は、学校ではなく、保護者主体に行うこともあります。

(5) 被害者と加害者の立場をはっきりさせ、謝罪(必要に応じて弁償)させる。
  ※ (4)と(5)は順序が逆転する場合もあります。

(6) すべての関係者が納得した上で、事件終了宣言をする。
  ※ 宣言後に発生したことは、新しい事件として扱ってください。
  ※ 絶対に、前の事件と関連づけてはいけません。

2 より完璧な手順づくり
 上の手順に満足できないなら、『警察による事件捜査』や『裁判所による調停』を参考にして、独自の手順を作ってください。より完璧に近い手順ができるでしょう。専門の外部機関の知識を使うことは賢い方法です。このようなマニュアルをつくることはそれほど難しいことはではありませんし、マニュアル通りに進めることは比較的簡単です。

3 完璧な手順は教育ではない
 しかし、完璧な手順を踏むことは、生徒も保護者も望んでいません。彼らの望みは、平和で安心できる学校生活です。本当に大きな事件なら別ですが、できるだけ事件は小さくし、正常な学校生活ができるようにすることが目的です。上の手順を使うことは、先生にとって理想的かも知れませんが、その目的が先生自身の保身や自己満足の道具になっていないか、点検してみましょう。また、経験が少ない先生はマニュアル通りに進めることが多くなりますが、そこには心のつながりや信頼感が芽生えにくいこと、むしろ、失うことが多いことを知ってください。

4 先生の本務に専念しよう!
 この形式ばった手順を踏むのは、最高レベルに難しい事件が発生したときに限定しましょう。頻度は、1年に0回〜数回です。それ以上行うような学校は、通常の教育活動が停滞ているといえるでしょう。どうぞ、上記の外部機関に頼ってください。中学校の教員が行うことは、専門教科を教えることです。あなたの専門教科は、あなたが自信をもって完璧に教えてください。塾や親に頼ったり、警察や裁判所に相談しているようではいけません。自分の仕事をましょう! 自分の範囲以外の仕事を、できもしないのにしようとするのは完全に間違っています。自分の本務から逃げないようにしましょう。

5 関連ページ
 このページの続きとして、『生徒どうしの小さな喧嘩』『先生が事件を解決する方法』をご覧ください。

2010年10月15日

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