このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。 |
第6.2章 アドバイス、説教と懲戒
2 叱る、という手法
1 叱る、とは何か
叱るとは、先生が生徒に対して『一喝すること』です。生徒自身も「@@してはいけない」と感じていることを鋭く指摘することです。つまり、生徒自身の中にあった『良心』を思い起こさせることが目的です。この目的を達成するため、叱ることには次の3つの特徴があります。
(1) 声が大きいこと
(2) ワンフレーズで終ること
(3) 「ダメ!」という禁止型、または、「@@してはいけないだろう!」のような同意を求める禁止型になること2 叱る時の声
叱るときの声量は、自分の力の95%が適当でしょう。100%を意識すると、迫力を失うからです。大切なのは声量でなく、先生の気迫です。自分の感情と声をコントロールしてください。これができるようになったら、次は意図的に『感情を爆発させた声』を出しましょう。落雷のように、120%の感情を噴出させる声です。怒鳴る、とも表現できます。さらなる上級者は、一喝すると同時に、机を蹴飛ばすなどして、大きな音を立てます。ただし、繰り返しますが、目的は生徒の良心を目覚めさせることです。十分に計算して行ってください。初心者の先生は、先輩が指導している様子を見て学びましょう。生徒の心の動きをよくみてください。3 怒鳴り(吠え)続けてはいけない
叱る時間は、一瞬です。一瞬で効果がなければ、『叱る』という手法がその状況において不適切だった、と判断してください。大声を出し続けるとは、叱ることの目的に反します。1分以上続けることは異常です。喉が枯れ、状況判断力が鈍くなり、自分の感情がコントールできなくなり、失言の原因になります。生徒は、全身の筋肉を縮み上がらせ、鼓膜が痛くなり、心を閉ざしていきます。私は、長時間の大声は体罰である、と考えています。
→ 関連ページ『大声で説教してはいけません』4 大声を出し続ける生徒
逆に、大声を出し続ける生徒は『暴力』をふるっている、と考えることができます。したがって、先生は制止させなければいけません。ただし、生徒の暴言や大声に対して『連続した大声』を使うのは初心者です。大声を出している生徒は、自分自身を見失っていることが多いので、落ち着かせるようにしましょう。私の尊敬するA先生は、次のような伝説を持っています。5 魔法の水を持ってきたA先生
私が20代だった頃、筋肉質の先輩(生活指導主事)が、A先生の話をしてくれました。A先生は、定年直前の体育科女性教師で、とても痩せていました。体重は40kgなかったと思います。誰からも親しまれるお婆ちゃん(失礼!)のような存在でした。
「あの時は、コップを投げつけられて死ぬかと思ったよ。なにしろ、オレと男の先生2人で、30分以上ちんちんになって暴れている生徒を羽交い締めにしているところへ、A先生がすーっと近づいてきて、『喉が乾いたでしょう。はい、これ!』と言って、水が入ったコップを渡したんだからね。生徒は『うん』と言ってコップを受け取ったけれど、オレは水を飲み干してから、そのコップを顔面に投げつけられると思ったよ。でも、水を飲んだ生徒は、それで落ち着いてしまった。魔法の水だったなあ。」
私は、その暴れん坊生徒の顔を思い浮かべながら、A先生の偉大さに感服しました。私もいつか、暴れて喉がからからになっている生徒に(先生にも)、『一杯の水』の差し入れをしたいと思っています。
6 嘘をついたときに叱ろう!
私が生活係だったとき、大声を出して叱るタイミングは決まっていました。嘘をついた時、ごました時、真剣に頑張っている人に対して失礼な態度をとった時です。重大事件が発生し、たくさんの人が困っている時、真実を知っている者はそれを語る責任があります。それは人間としてのマナー(道徳)です。このマナー違反に対して、先生は問答無用、理由なしで叱ってください。生徒に反抗されるようなら、先生が不道徳なのか、叱るタイミングが悪いのか、生徒の精神が正常に機能していないか、のいずれかです。7 泣いている生徒を叱る
泣いている生徒を叱るのは、滑稽です。そもそも、それは叱ることではありません。試しに、叱られた生徒に「何を叱れた?」と尋ねてみましょう。「何を言っているのか分かりせんでした」の答えるでしょう。自分が悪いことを認め、その非を反省して泣いている生徒を叱る必要はありません。泣き止むのを待ち、同じ過ちを犯さないための方法を一緒に考えたり、同じ失敗をしないように援助したりしましょう。8 関連ページ
先生、早く叱ってよ!2011年1月15日
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