このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第8章 学校教育を超えた少年犯罪

9 麻薬と覚せい剤

1 私の経験
 幸いなことに、私は麻薬(覚醒剤など)を使用した中学生を指導した経験がありません。したがって、生の情報を伝えることができないので、私なりに勉強したことを公開します。

2 麻薬を使う人の共通点
 ネットを検索すると、大半の麻薬中毒者の苦しみは、高校生ぐらいから始まっています。彼らの共通点は、(1)麻薬を購入する金があったこと、(2)麻薬に関する正しい知識がなかったこと、(3)すでに身近な人が手を出していたこと、(4)大切な人を巻き込んでいる自覚症状がないこと、(5)自分だけの力で止められないこと、(6)1人ぼっちになること、(7)最終的に自分の命を含む全てを失うことです。

3 麻薬の学習をしよう
 麻薬についての学習は、学校で行う必要があります。現在、名古屋市内のほとんどの中学は、警察から専門の方を招き、具体的で実際的な話を頂いています。正しい知識や麻薬の正体を知っていれば、簡単に手を出さなくなるでしょう。私も一緒に何度も聴きましたが、とても勉強になりました。

4 麻薬と覚せい剤の関係
 麻薬は、もともと麻酔や鎮痛剤として医者が使う薬です。一般人の使用が法律で禁止されている理由は、神経に作用して「気持ち良く」させますが、繰り返すと1回に必要な量が増えるだけでなく、使用していないときは「気持ち悪く」なる禁断症状があり、強い依存性によって最終的に死ぬからです。その種類は次のようにたくさんあり、覚せい剤は麻薬の1つです。

いろいろな麻薬

アヘン ・植物の『ケシ』から抽出された物質を『アヘン』といいます。
・アヘンから「モルヒネ」が、モルヒネから「ヘロイン」が作られます。
・「ヘロイン」は、麻薬の女王といわれるほど快楽と地獄のような禁断症状を持ちます。
コカイン ・植物の『コカ』から作られるもので、昔はコカコーラに入っていましたが、
 20世紀初頭からその有害性から「カフェイン」に変わりました。
覚せい剤 ・いろいろな形になって、違法に流通しているので、特別に覚せい剤取締法があります。
マリファナ
ハシシ
・植物の『アサ(大麻、タイマ)』の葉や花びらから作れる物質です。
・アサは、日本でも各地に自生していますが、その採取は違法です。
LSD ・植物『麦(ムギ)』に感染する『麦角菌』から精製される物質です。
MDMA ・最近になって作られた合成麻薬の1つです。
 ※ たばこ(ニコチン)や酒(アルコール)は、国際的には麻薬の1種です。
  しかし、日本は違法麻薬だけを麻薬としているので、麻薬として分類されていません。
  → 
未成年者喫煙禁止法
  → 未成年者飲酒禁止法

5 薬物四法
 日本には、身体と精神に重大な障害を起こす薬物から身を守るために、『薬物に関する法律』が4つあります。その根幹になる法律は、麻薬取締法(現在の名称は『麻薬及び向精神薬取締法』)です。とくによく流通している3つの麻薬、『大麻』『覚せい剤』『あへん』については、それぞれを補足する法律があります。

(1)麻薬及び向精神薬取締法(旧名:麻薬取締法)
  向神経薬は麻薬と同じように中枢神経に作用する薬です。合法なものと違法なものがあります。
(2)大麻取締法
(3)覚せい剤取締法
(4)あへん法

6 麻薬に手をつけてしまった人へ
 病院や保健所へ行きましょう。1人で解決することは不可能です。警察へ自首することも必要ですが、麻薬と縁を切ることの方が大切です。そのためには、麻薬に手を出してしまった環境を改善する必要もあります。それは、自分では解決できないほど大きな困難かも知れませんが、麻薬を縁を切ることはそれと同じように大変な困難です。専門家に相談し、助けを借りてください。少なくとも、あなたは1人で生きているのではないことを感じられるはずです。

7 中学校の先生へ
 残念ながら、あなたの教え子が麻薬に手を出してしまったなら、専門の機関へ連絡してください。それが教育者としての仕事です。しかし、犯罪を繰り返す場合は、教育の場としての学校はあまりに非力です。病院を含めた専門の機関による治療、教育が必要です。法的処罰も必要な教育の1つとして考えてください。

覚せい剤取締法(昭和26年6月30日)

 日本では、覚せい剤の使用、所持、販売などが禁止されています。年齢は問いません。場所も問いません。これに違反したときの刑罰は、次のように厳しいものです。

(ア) 所持、譲渡したものは、『10年以下の懲役』
(イ) 使用した者は、『10年以下の懲役』
(ウ) 営利目的の者は、『無期または3年以上の懲役』『1000万円以下の罰金』

2010年10月28日

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