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第8章 学校教育を超えた少年犯罪
7 中学生の飲酒
1 理科で学習するエタノールという物質
エタノールは、いわゆる酒に含まれる物質で、飲用すると酔っぱらいます。中学校の理科の授業では、エタノールが液体から気体に変わる温度を調べたり(授業記録『実験9 エタノールの沸点(1年)2002年』)、ワインやみりんからエタノールを取り出したり(実験10 みりん、ワインの蒸留(1年)2002年)します。このエタノールは「万病の薬」と言われますが、毎日大量に飲み続けると『アルコール依存症』になり、身体にいろいろな障害をもたらします。また、消毒液として使われるので、「病院(保健室)のにおいだ」という生徒もいます。
参考資料: 未成年者飲酒禁止法
日本では、未成年者(満20歳未満)の飲酒が禁止されています。場所は日本国内すべてです。したがって、学校でも家庭でも公園でも居酒屋でも酒を飲んではいけません。これに違反すると、この法律によって次のような刑罰に処されます。(ア) 未成年者は、『酒と器具を没収』される
(イ) 未成年者に飲酒目的の酒を販売した者は、『50万円以下の罰金』を払う。
(ウ) 未成年者に酒を飲ませた者は、『50万円以下の罰金』を払う。
(エ) 制止しなかった者は、『1万円以下の罰金』を払う。2 飲酒に関する中学生の実態
1のようにしてエタノールを学習をする中で、私は「未成年の飲酒は法律で禁止されているので誰もいないと思いますが、もしかして、お酒を飲んだことがある人はいますか?」と質問したことがあります。その時の反応から推測すると、約10%が正月や家族の集まりで口をつけた経験があるようです。また、これとは全く別に、友達だけで酒を飲んだ経験がある生徒が何人かいるようです。もちろん、授業の中でアルコールの危険性と未成年の飲酒が法律によって禁止されていることもしっかり学習します。3 学校で酒を飲む生徒はいない
学校内で飲酒が行われることは、ほとんどありません。その理由は、酒を飲むと酔っぱらってしまうからです。誰の目にもあきらかな、言い訳できない状態になることを知っているからです。酔っ払った大人の醜態を目にしていることも一因でしょう。飲酒はカッコ良くありません。この点は、学校内が犯行現場となる喫煙と大きく違います。喫煙は短時間で終了するだけでなく、秘密の場所を校内で見つけやすいからです。なお、修学旅行や校外学習中の飲酒は、保護者に引き取ってもらうように保護者へ連絡するだけでなく、生徒に対しても繰り返し警告します。その結果、私は勤務中に飲酒した生徒を見たことがありません。4 飲酒生徒へ対する指導
喫煙と同じ違法行為なので、次の手順厳重に対応します。(1) 事実を確認する
・ 飲酒した生徒の特定
・ 飲酒に関する情報を知っている生徒の特定
・ 酒や道具の入手ルートの確認
・ これまでの飲酒歴
(2) 保護者への連絡
(3) 保護者による引き取り
飲酒当日は、自宅で保護者監督のもと謹慎するのが適当でしょう。保護者も本人と同じように反省しなければ、同じ過ちを繰り返すことになります。2010年10月17日
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