このページは旅行記『モンゴル旅行記2007夏』 2007 aug. 14 - aug. 28  です。

私の日記 11日目

2007年8月24日(金)

◎ ハラホリン(オルホン渓谷にある世界遺産) ===========
未明:星の撮影
(1)エルデニ・ゾー ※別ページにジャンプします
(2)亀 石
(3)オゴタイ・ハーン宮殿跡
                              ハラホリン泊3
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2:50 星の撮影
 目を開けると同時に窓を見た。眼鏡をはめていないのに、しかも、汚れた2重ガラス越しなのに星がいくつか見える。部屋の電気をつけ、カメラをセットした。そして、できるだけ物音を立てないように部屋の扉を開け、廊下を歩き、階段を降り、ホテルの出入り口へ向かった。

 正面の扉は鍵で閉められ、出られない。窓からの脱出を試みたが、古びた2重のガラス窓は、開くようで開かない。ひび割れたガラスが、今にもがちゃんと滑り落ちてしまいそうだ。あきらめて部屋に引き返したものの諦めきれず、「自分の部屋の鍵で入り口が開くかも知れない」と試しに出かけた。

 やっぱりダメだった。

 それでも1階の部分のまだ試していない窓を順に挑戦した。

 入り口に1番近い窓が開いた。しかも奥の窓ガラスの片方が割れて無くなっている。慎重に自分の身体が通り抜けられる量だけ手前に引き、屋外へ抜け出した。

 懐中電灯は先日紛失したので、デジカメのメニュー画面の明るさを頼りに歩いた。

 月明かりはなかったが、目が慣れてくると街灯りさえ感じた。

 知らない場所はたった数10m歩くだけでびくびくするが、泥沼や穴にはまってはいけないので注意しながら歩いた。

 野犬も恐かった。


上:フジs5pro、nikon18-200、iso800、30秒、f4.5

 撮影中は全く気がつかなかったが、画面に電線が入ってしまった。

 30分もすると寒さで指先の感覚がなくなったが、楽しさで苦痛を感じなかった。

 やがて、1匹の犬が吠え始めた。

 1時間を越えた頃、スバルを撮影しようとした途端、違う方向から犬が吠え始めた。その低い声は、これまでの犬より遥かに大きな体であることを意味していた。人間には1メートル先が見えないが、犬は私の位置を確認しているだろう。1匹、2匹なら何とかなりそうだが、集団になったら大事故になる恐れがある。

 私は小石をいくつか拾い、退散した。

 あまりに急いだので50cmほどの落差に気づかず、どすん、と左足の膝で着地した。そこは柔らかい土だったので再び歩き出すことができたが、硬い地面だったら大怪我をしていただろう。実際、数日間速く歩くことはできなかった。

 ホテルに辿り着くと、私が開けた窓はそのままだった。
 慎重に侵入し、自分の部屋に戻った。
 かなりびびったけれど明日もやるぞ。
 

6:00 起床  快晴、室内温度20℃
 あまりの寒さに靴下を履き、ズボンを2枚重ねた。
 温かいコーヒーが飲みたい。
 今の希望はそれだけだ。
 
 窓の外は快晴で、かなり明るい。6時か7時か分からないけれど、朝食は8時に約束してあるので、長くとも2時間待てば良い。とりあえずインスタントコーヒーを冷水に溶かそう。美味しければ儲けものだ。
 
 うおーん、旨い。
 そう言えば何でも旨くなる。
 旨いぞお〜。
 さあ、仕事だ。

8:00 朝食
 昨日と全く同じメニューだけれど嬉しい。ただ、朝食前に菓子パンをいくつか食べてしまったので、昨日のような素晴らしい味わいを楽しむことはできなかた。

9:00 エルデニ・ゾーに向けて出発
 ホテルとエルデニ・ゾーの間には、文化的世界遺産に似合わない巨大工場がある。


上:これがその工場。建造物の高さはハラホリン最大、敷地面積も最大クラスだと思う。


上:その工場の看板。
 某日本企業が建設した工場だった。『モンゴルと日本の協力』とあるけれど、天然資源の利用だけなら違う場所に作るべきだ。この文化的地域に全く似つかわしくない。詳しい目的も書くべきだ、自然と文化を同時に破壊することだけは避けて欲しい、感じた。

 工場を通り過ぎると、エルデニ・ゾーの外壁が見えて来た。


上:地面を掘っている。地下はごく平凡な土のように見える。エルデニ・ゾーの外壁は、遠くに小さく写っている。


上:エルデニ・ゾーの周囲にヤギが放牧されていた。何年か後、この写真は貴重なものになるかも知れない。

9:30 エルデニ・ゾー見学
 下の写真をクリックすると、別ページにジャンプします。

上:敷地内にある小さな祠の前で記念撮影。

11:30 昼食
 昼食のために、一旦外に出た。


上:2時間前まで土だった入り口の道が、アスファルト工事中になっていた。

 モンゴルは急激に変わりつつある。
 翌日になると、ここに続くメイン道路もアスファルトに変わっていた。
 草原も水たまりも家畜も消えた後に、何が残るのだろう。

 さて、腹ぺこな私は何かを食べたいのだが、エルデニ・ゾーの周辺にあるのは草原とアスファルトだけだ。正面入り口の前には、下のように僅かな出店があるだけで、ここに食べ物があることを祈るばかりである。


上:エルデニ・ゾー前の出店。ここはモンゴル屈指の観光地なのに、、、

左:ホーショール(羊肉入り揚げ餃子)とスーティーツァイ。

 先客が食べてることろを発見し、同じものを注文した。青いバケツの中から生温かいホーショールが出てきた。

 観光地のファースト料理だけあって味は二の次。それでも、私の周りには野犬が5、6匹集まり、おこぼれを狙っていた。もちろん餌は与えない。


上:別の店でボース(羊肉の蒸し餃子)も試した。結果は大差なし。

 材料は全く同じで、蒸すか揚げるかの違いだけである(料金も200トゥグリク/個で同じ)。

 私の関心事は「羊肉が傷んでいないかどうか」だけであった。


上:名前が分からないトリ。

左:馬乳酒も売っていた。

 100トゥグリク紙幣を出して、茶わん1杯の酒を頂いた。

 喉が乾いていたこともあり、極めて美味。「夏場のモンゴル人は食事を取らず馬乳酒だけ生活する」と言われるが、私もその生活を選びたい。冷蔵庫がなく、腐敗した肉を食べるより、遥かに安全で旨い。


上:馬乳酒を運ぶ少年少女。後ろにある白い構造物は、エルデニ・ゾーの外壁。

16:00 亀 石
 エルデニ・ゾーの北門から外へ出ると、亀石までの道が出来ていた。道と言っても、車が走ったり人が歩いて草が禿げただけである。


上:亀石は土産物屋に取り囲まれていた。
 土産物の主人達は仮設ゲルの陰で休んでいた。私が土産物に興味を示せば、1人で10数人の相手をしなければならない。


上:2枚上の写真を望遠レンズで撮影したもの。
 亀のコウラの中央には四角い穴が空いている。これが建造された当時は、亀の上に石碑が立っていたものと考えれている。つまり、亀は石碑の台座なのである。さて、ここでの私の疑問は「何故、亀なのか?」「ここに亀は棲んでいたのか?」

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 亀石の見学を早々に終えると、私は小さな日陰で横になった。
 土産物屋のゲルから死角なので、気がねなく眠れる。

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 しばらくすると、かさこそ音がした。
 羊が来た。

 羊飼いも来た。

 羊飼いの男性に挨拶をしたら、彼は私の隣に腰掛けた。
 私が自分の名前を告げ、「あなたは?」と手を差し出しすと、
 彼は私の手を握り、握手をした。

 2人は言葉が通じないので意見を交換することは不可能だったが、親しい時間を共有した。私は日本語でいくつかの話をした。ほんの数分間だったが、彼にとっては羊以外の動物をコミュニケーションをとった貴重な時間だったに違いない。羊を追う仕事は、大変ゆたりしているので、私の存在は暇つぶしには最適なのだろう。また、彼は60歳を超え、両目を白内障を煩らっているようだった。

17:35 オゴタイ・ハーン宮跡
 宮跡は鉄条網で囲われていたが、ガイドを連れたフランス人カップルが中に入ったので、私もそれに従った。


上:遺跡内の陶片を拾い、撮影するカップル。


上:緑色の釉薬(ゆうやく)が印象的だった。陶片の裏側は、布目のような模様がついていた。ホブドで見かけた中国の清朝時代のものと同じだった。また、この写真には写っていないが、プラスチックを溶かしたようになっているものは大火事を意味しているのかも知れない。


上:何に使われていたものか考えるのは面白い。持ち帰ることはできないと思うが、売店で売っているものより、自分で拾った無価値なものの方が絶対によい。

17:55 土産物を買う
 亀石の周りにある土産物屋の商品を全て見た。そのうちの1つを指差し、私が「プラスチック?」と尋ねると、「プラスチック」と答えたので良心的な店が多いと思った。その中で1つだけ気になるものがったので、手に取った。電卓に12000が表示された。私はその数値を消し、5000を押した。彼女は11000に押し直したが、私の顔を見て10000に直した。それでも、私の希望金額の倍なので、私は立ち去った。すると彼女は追いかけてきて、8000から6000まで落としてきた。それでも私は譲らなかったので、今度は彼女が背中を向けた。そこで彼女を引き止め、もう一度5000トゥグリクで交渉した。彼女は5ドル(5500トゥグリク相当)まで落としたので、私は6000トゥグリクで購入した。私が買ったものは真鍮製の「ヤク(動物)」置物で、日本でも1000円(10000トゥグリク)ぐらいで買える。しかし、気に入ったものはなかなか見つからないから、思い出の1品として購入した。所要時間は5分だったと思う。

18:00 エルニデゾー閉まる
 閉まる前にもう一度訪問するつもりが、ぼやぼやしていたら失敗した。


上:なんだか分からない植物。

19:00 夕食
 ザハの前でホテルのご主人に出会い、レストランを紹介してもらった。なるほど、綺麗なお店でメニューも豊富だった。


上:羊肉ハンバーグ定食とコカ・コーラ。コカ・コーラはレストランが経営する売店で購入したものを持ち込んだ。冷えていない。


上:ハラホリンの公立高等学校。この通り向いに美味しいレストランがある。

19:40 シャワー
 トイレ兼シャワー室の鍵が、内側から閉まっている。昨日と同じように、どこかの「ご婦人」が独占しているようだ。「早く出てよ。宿泊客およびその他の利用者全員が迷惑しているんですけれど、、、」「誰も見ないから鍵は掛けないでおくれ」「個室シャワーが欲しいなら、もっとグレードの高いホテルに行けよ」と、色々な文句を考えながらパソコンに写真を転送しているうちに、シャワー室の扉が開いていた。下痢気味だった私は、今日も間一髪助かった。

20:00 テレビをつけ、ビールを飲みながら仕事
 かなり満腹だ。火傷するほどに熱いシャワーを浴びた時、自分の腹が出ていることを発見した。下痢ぎみなのにおかしい。

 治療のため、ビールの栓を開ける。飲まなくても良いものを飲みながら、今日の出来事を振り返ろう。


上:ビールの右側にあるのは「アサガオの種子」のようなナッツ。

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