このページは『世界自然遺産に指定されたばかりの
父島と毋島を巡る13日間の旅
2012 march.20 - april 1 です。

8日目:毋島周辺のダイビング3本

3/ 27
(火)
終日:母島周辺のダイビング3本
 (1) 蓬莱根・沈船
 (2) ビリビーチ
 (3) 南京浜
母島 クラフトイン
ラ・メーフ泊

 今朝、布団(夢)の中で野生動物に関する大発見をしました。彼らは無駄な動きをしません。とくに満たされている場合はなおさらで、ライオンは寝てばかりいます。私もここに来てもよく寝ていますが、満たされているからでしょう。起きる必要がないから起きません。楽しいイベントであれ、したくない仕事であれ、何かがあれば起きます。とても単純なことです。

 私が今日、ほんの少し早起きしたのは、小笠原の天気を知りたい、バッテリーを充電器に装着したい、今朝の発見を記録しておきたい、という欲望を満たすためです。欲望が動機という点で、腹を満たすため、性欲を満たすため、と同じです。私はいろいろな欲望を満たすために布団から抜け出したのです。睡眠欲よりも大きな欲望を満たすために起きたのです。睡眠欲という大きな欲望より大きくなったからです。

7:00 朝食

上:本日の朝食
 これまでとは打って変わって洋食です。うまいなあ、と思うのですが、つまるところ心尽しの料理はうまい! ってことです。

 今日は良い天気なのでボートダイビングに出かけることになるでしょう。とても楽しみです。しかし、現実は違いました。天気は良いのですが、波がうねっているのです。ガイドは明日を勧めてくれましたが、フロントの男性は「明日はわからないし、体験の方と同じポイントになる」と言いました。行く気満々だった私は、結局潜ることにしました。しかし、透明度は10メートル、同行者は潜行できなかったり私にぶつかったりで散々でした。浮遊物にフラッシュが光ることも体験しました。こんなことなら潜らない方が良かったです。つまり、天気は良くても風や潮の条件が揃わなければいけない、ということです。そもそも、私はフロントの男性や船長の印象が良くありませんでした。印象は大切なので、そのような場合は自分の感覚を大切にする方が大切なことを学びました。1本めはマダラエイ、2本目は特になし、3本目はフラッシュに光る浮遊物。

8:30 ダイビングショップに集合
 ピックアップサービスはないようなので、機材を持って歩いて行きました。帰りは送って欲しいけれど、結果は自力でした。毋島のダイビングショップは1つしかないので仕方ありません。

 でも、ガイドの女性はとても温かい心の人で、技術も素晴らしい方だと拝見しました。うねりが大きく、透明度も高くありませんでしたが、楽しくダイビングさせて頂きました。ありがとうございました。


上:毋島の海で見かけた亀を捕獲する漁船
 やや高い波間に沈んでいるかのように見えた船があったのでとりあえず撮影しました。小笠原諸島で仕事をしているような漁船を見たのは初めてのことです。「何が捕れるのですか?」と質問すると、「亀が解禁になったばかりなのです」の返答。亀猟についていろいろ質問すると、亀を捕獲するのは交尾中のカップル限定だそうです。仕掛けは1つで、同時に2匹捕獲できるそうです。亀猟は全員ができるのではなくて、毋島の場合、現在は1人しか捕獲できないそうです。理由はいろいろありますが、面白くないから、ということでした。確かに面白い猟ではないと思いました。捕獲したものを食べるのだから頷ける部分はあるけれど、もっと正々堂々と勝負したいものだと思いました。


上:毋島の地層
 毋島と父島は、地質学的な構造が違います。とりあえず、上の写真は海底に堆積した土砂が固まってできた砂岩や礫岩が隆起して地表に表れたものです。


上:ダイビング専用ボートではなく、漁船

9:30 ダイビング1本目:蓬莱根・沈船


上:ヒレナガカンパチとクマザサハナムロ


上:沈船内部にマダライエ発見!!


上:外に出てきたマダラエイ


上:もう1枚上の静止画を撮影してから、動画に切り替え、さらに追走。ふにゃふにゃのレンタルフィンでは太刀打ちできるはずもなく、すぐに力尽きました。バイバーイ!

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上:クマザサハナムロ(スズキ目>フエダイ上科>タカサゴ科>クマザサハナムロ属)


11:50 ダイビング2本目:ビリビーチ

上:ミナミイズズミ
 黄色いイスズミは時々いるけれど、白いものを見たのは1度だけでした。


上:アカイセエビ


15:00 ダイビング3本目:南京浜


上:スミツキベラ


上:ノコギリダイ


上:ホソメワケベラ


上:ユウゼン


上:オジサン

15:50 帰港
 ダイビングを終えてからの帰り道のことです。すぐ隣にある漁港にアオウミガメが水揚げされていました。甲羅80B程度のカメが大きな樽の上に仰向けに縛られているのです。私は思わず近寄りました。4メートルほどまで近づくと、私と目が合ったカメが急に首手足を動かしました。驚いた私が声を上げると、建物の陰から現れた男性が私に注意しました。「そこは通路じゃないから通らないでください。」私は謝罪して、通路まで回わりました。すると同じ男性が「そんなところを堂々と歩いて来られと困るんだよね」と言いました。注意される理由がわからない私は、彼と言い合いになりました。「歩いていけない場所なら、通行禁止の表示をしてください。私は悪気があって歩いた訳ではありませんし、どこにもそのような注意や看板はありません」「あっちとこっちに大きな看板があるから、見てもらわないと困るんだよね」「私はその看板を見ていません。その看板がある場所を1度も通っていません。もし、あなたがここは関係者以外立ち入り禁止区域です、あるいは、カメを見ないでください、と言うなら話はわかります。しかし、私は、あなたが通路ではないところを歩かないように注意したから、明らかな道路を歩いたのです。私は観光客で何も知らないわけですから、きちんと話をしてもらなければわかりません。」

 私は気分を悪くしたまま宿へ戻りました。

 日没の時間が迫り、これから同じ岸壁や海岸を歩くことになります。同じ過ちを繰り返したくない私は、観光案内図で確認しました。そこは漁協の施設ですから、原則、関係者立ち入り禁止でしょう。しかし、その前の岸壁は不明です。私のダイビングショップは漁協の建物の隣なので、どこから通行禁止になるのか不明です。

17:00 夕日を探しに出かける
 宿を出た私は、朝と同じ道を歩いてダイビングショップに行きました。これで4回めになる道です。そして、受付の男性にどこから立ち入り禁止なのか質問しました。彼は漁協の区域を私の教えてくれましたが、看板はありませんでした。

 2人で立ち話をしているところに先ほどの男性が来て、同じような言い合いになりました。受付の男性は間に入ってくれましたが、結局、ダイビングショップは漁協の敷地内に立っていることがわかりました。こうなれば、責任はショップにもあります。漁協の敷地内に立っていることを一切表示していないし、私に知らせなかったわけですから。一歩間違えば、ショップに行くだけで嫌な思いをすることになります。漁協は観光客を親切にするか、あるいは、来ないようにするか方針を決めるべきです。不親切な対応は嫌がらせに等しい行為です。

 私は夕日を見ながら、そして、夕食を食べながらこの出来事を考察しました。長い手記も書きました。旅の恥はかき捨てではありません。今回、私は旅人の立場ですが、私は旅人を見つけたら親切にするように心がけています。今回の事件は、私の生き方とは違う人との出会いでした。私は今回の件を通して、やはり旅人は大切にしなければいけないと再確認しました。

 ここは世界遺産に登録されたのですから、たくさんの観光客が訪れようとするでしょう。観光客とは何か、その対応を明確にすることが母島の急務でしょう。数多くの疑問を残したままですが、残された2日間でもう少し納得できる答えが出ることを望んでいます。

旅人について
 人と人が交流することは大切だと思う。交流するために脚を運んでくれた人、遠方より来てくれた人に敬意を払うべきだと思う。時間と金を使ってくれた訳だから。そして、その人がしてくれる話を聞くべきだと思う。もちろん、旅人は故郷と訪問先の2つを知り、楽しい思いをしているのだから謙虚さを忘れてはいけない。相手を尊重し、自分の考えや行動を変えなければいけない。郷に入れば豪に従え、である。


上:夕日が見えるポイント


上:本日の夕日

 私は日没の瞬間に一瞬だけ見られる『グリーンフラッシュ』を期待して、太陽を双眼鏡で20分以上見ていました。(太陽を直接見てはいけません! 失明する危険があるので絶対いけません!) すると、日没15分ほど前、雲の切れ間にのぞく太陽の一部が一瞬、黄緑に光りました。(上の写真を撮影してから15分後ぐらいのことかな) 太陽の上端です。そもそも日没直前の太陽をよく観察すると、その上端と下端で色が違いますが、私が感じた黄緑の光は、雲で遮られた太陽光の屈折率が急変したものでしょう。同じような現象が水平線上で起これば、それをグリーンフラッシュというのではないか、と思ったのですが、詳細は不明です。

18:00 夕食

上:本日の夕食

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