このページは『世界自然遺産に指定されたばかりの
父島と毋島を巡る13日間の旅
2012 march.20 - april 1 です。

9日目:毋島の南崎周辺トレッキング

3/ 28
(水)
午前: 毋島の南崎周辺トレッキング
午後: 毋島の北部のトレッキング
深夜: ヘリポートでスターウォッチング
母島 クラフトイン
ラ・メーフ泊

7:00 朝食

上:本日の朝食
 昨日は珍しい洋食でしたが、今日はオシャレな日本食でした。朝から美味しく頂きました。ごちそうさま。

8:00 ユースホステルで原付きを借りる
 私が宿泊しているラ・メーフで借りようとしたのですが、うちのバイクは古いので隣のユースホステルに聞いてきたら、と教えてくれました。親切なお言葉に感激です。3000円/24時間で、比較的新しいものを借りることができました。今日は母島の南崎まで走り、南部全体を歩きます。そして、昼までに戻り、宿で昼食をとり、午後から北部を攻める予定です。

8:50 南崎遊歩道入口に到着

上:東京都の都道最南端(北緯26度37分、東経142度11分)
 左の原付きは私が借りたものです。ここから、南崎遊歩道を歩きます。

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上2枚:テリハボク
 葉が照っているようなテリハボク。ごつごつした幹も特徴的で、すぐに名前を覚えることができました。


上:紅葉したモモタマナ
 この紅葉はとても美しくて、何度も写真を撮りました。


上:アカガシラカラスバト
 赤い頭をしたカラスバトで、絶滅危惧種に指定されている天然記念物です。歩き始めて35分のところで、地面で餌をついばんでいるところに遭遇しました。前方20mでごそごそ歩いていました。撮影しながらゆっくり接近し、飛び立って木に止っていることろを撮影しました。20分ほど一緒に時を過ごしました。すぐに観察できたので、簡単に出合える鳥かと思っていたら、かなり貴重なものだったようです。実際、私がアカガラシカラスバトを見たのは、これ1回だけでした。


上:ハシナガウグイス


上:すり鉢状の地形になっている『すり鉢』
 赤い土はラテライトといい、赤い理由は酸化鉄(Fe2O3)や酸化アルミニウムが含まれているからです。。ラテライトは熱帯地方で良く見られる土壌で、乾燥させるだけで硬いレンガのようになります。また、ラテライトの語源はレンガです。(上の画像をクリックすると別角度からの写真)


上:枯れたオガサワラビロウの幹
 太くて白い繊維(維管束)が見える
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上:菌類の1つ
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上:ムラサキオモト(ツユクサ科)

上:ムラサキオモトの白い花


上:アカテツ(赤鉄)
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上:シマグワ(島桑)

上:菌類の1種(クリックすると拡大)


上:ヤロード


上:オガサワラビロウの小道で記念撮影

11:50 南崎に到着
 さっさと歩けば40分のところを3時間かけて歩きました。ずいぶんゆっくり歩きましたが、小笠原の自然を堪能するためにはこれぐらい時間をかけるのは当然です。昨日の乳房山は急いでしまいましたからね。


上:南崎海岸から見た小富士


上:南崎海岸

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上2枚:大きなサンゴの化石?
 それほど古いものではないけれど、わくわくしました。

12:20 ワイビーチ


上:ワイビーチ


上:チチジマカタマイマイ

13:00 鳳莱根

上:鳳莱根
 ここから右手海岸伝いに進むと白い砂の美しい海岸があるそうなのですが、時間がないので省略しました。もっともっと時間があれば、シュノーケリングもしたいのですが、、、。


上:オガサワラトカゲ
 外来生物のグリーンアノールは背中に白い線が入っていますが、オガサワラトカゲにはないので区別できます。このトカゲは人見知りするので、撮影するのが大変でした。


上:地上に根を降ろそうとするタコノキの根
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上:オガサワラビロウの小道


上:ムラサキカタバミ
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上:名古屋のムラサキカタバミ

 ムラサキカタバミは名古屋でも良く見かける野草ですが、毋島では数週間早く咲いていました。興味ある方は、私の授業実践記録『実習4 瑞穂公園の野草標本2012年度』もご覧ください。

 以上で、毋島南崎周辺のトレッキングはお終いです。13時半まで歩いていたので約5時間散策した計算になります。ずいぶん、楽しい時間を過ごしていたのでしょう。小笠原諸島が世界遺産に指定されたのは海ではなく山の自然環境なのですから、それなりのものがあります。どれが固有種なのか、それは自分で調べたり誰かに教えてもらわなければわかりませんが、独自の自然環境があること、それが外来種に弱いことがわかります。外来種といえば、一番の天敵は人間でしょう。外来種が入れば、それまでの生態系が変わることは当然ですが、人間は壊滅させるだけの力を持っています。ここに空港を建設するなどという考えはもっての他で、外来種をばんばん入れるようなことは絶対にしてはいけません。自然保護の目的から、現状維持が大切だと思います。今の頃、素人目に明らかなた破壊はわかりません。沖縄本島のように、島を囲んでいた珊瑚が壊滅するようなことになれば、父島唯一の財産を失うことになるでしょう。

14:00 宿
 いったん宿に戻り、昼食です。


上:私の部屋(画像をクリックすると洗面所)
 とても疲れていたので、荷物を投げ出して撮影しました。散らかっていて失礼しています。この部屋を1枚も撮っていなかったので、とりあえず。

14:20 昼食
 個人商店でカップ麺と杏仁豆腐を買って食べました。お湯は自室で湧かしたものです。よく冷えた杏仁豆腐は美味でした。食べたいものを食べたい時に食べるのは最高に美味しいものです。

15:00 再出動
 今度は毋島の北へ向います。北港と東港などを見学する予定です。ただし、時間がないのでさらさらーって感じになると思います。まず、北港へ向います。


上:北村小学校跡のガジュマル
 北港へ向う途中にありました。巨大なガジュマルです。小学校跡地は何もないので、自由に育つことができたのでしょう。なお、ガジュマルは外来種なので、小笠原諸島では歓迎されていません。

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上2枚:小学校跡地の看板など


上:アレカヤシ

15:30 毋島の北港
 北港の駐車場から見た港です。駐車場といっても、駐車スペースは5台ぐらいだったかな。広ければ良いというものではないので、それで良いと思います。今、この港は使われていません。

上:駐車場にあるバイクは私が乗車してきたもの

 ここから大沢海岸まで徒歩30分、往復1時間歩きます。何もなければ、速攻で往復40分だと思うのですが、、、


上:北港

 北港から東へ数10m歩いたときの話です。長いくちばしを持った1羽の鳥がいました。浜辺で小動物を探すタイプだと思いました。私はすぐに立ち止まり、気配を消しました。鳥も動きを止め、辺りを見渡しました。しばらくして、鳥が再び地面の餌をついばみ始めるのを観て、私は腕が両脇から出ないように、つまり、鳥から私の腕の動きがわからないように注意しながら、ゆっくりカメラを構えたのですが、最終的にレンズの光が反射したのでしょうか。飛び立ってしまいました。下の写真は、そのときに連写したものの1枚です。


上:ヤツガシラ

 鳥は遠くへ逃げることなく、近くで様子を伺ってから、再び戻ってきました。しかも餌を探しながら私に方へ近づいてきます。私はフリーズしたまま10分近く観察し、写真を撮りしました。とても近くに来るので、これから何度も見られるのではないかと思っていましたが、実は非常に珍しいヤツガラシという鳥でした。後日、父島に戻ってから父島観光センターの方々に写真を提供して喜んで頂けました。父島と毋島合わせて、数10羽ぐらいだそうです。午前中に出会ったアカガシラカラスバトも同様に珍しいそうで、「持っていますね」と言われて嬉しかったです。

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上2枚:ヤツガシラ


上:大沢海岸へ至る道

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左:オガサワラビロウ
右:落葉が大量に残っているトレッキング道

16:15 大沢海岸
 ヤツガラシを観察していた10分を差引けば、ここまで35分でした。私としては早く歩いた方だと思います。太陽も傾いてきたのでレンズを向けるチャンスがすくなったが最大の原因だとおもいます。ただし、時間が十分にあれば、とってもゆっくり歩いたと思います。午前中に歩いた毋島の南部とはまた違った植生のように感じたからです。

上:大沢海岸
 海岸に落ちているゴミが印象に残りましたが、観光客が少ないので仕方ないのでしょう。

16:50 東港
 バイクに乗って、東港へ向いました。5分ぐらいの距離です。この港も北港と同じようにほとんど利用されていないように感じました。夏になれば利用するのかも知れませんが、今は引き上げられた船1艘があるだけでした。

上:東港

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左:東港の堤防先端にある灯台とミニバイク
右:東港の太陽光パネルと風力発電システム


上:小笠原諸島で唯一の猛禽類ノスリ
 島内で30羽ほどですが、頻繁に観察することができます。

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左:バンブーの仲間

17:20 上:石門の入口

上:石門の入口
 ここは観光客だけで入山することはできません。ガイドによる案内が必要です。しかし、です。ガイドの資格を取得するために必要なことは、1年以上島民としての住民票があること、半日の講習を受けてガイドとして認定されることです。島民であることはある程度頷けますが、半日というのは・・・。生物や地質に関する質問しても、答えが返ってこないことが何度もくり返させれば、かなりがっかりすることでしょう。それを思うと、1人で歩くことができる範囲で十分だと思ってしまいました。でも、やっぱり歩きたいな。とても雰囲気がある入口です。

 そうそう、ガイドのことで思い出しましたが、翌日父島の南崎をトレッキングした時の話です。1人の女性が残念そうな顔をして引き返してきました。私を追いこしていった人です。その10分前にガイドらしき人とすれ違ったのですが、実は、ガイドに「飲み水が足りないからこれ以上進まない方が良い」と言われ、それに同意して泣く泣く返ってきたそうです。水がないのは基本的に個人の責任ですが、マンツーマンのガイドなら、事前に水が十分にあるか確認するのがガイドとしての責任でしょう。それに、私が持っている水は200ml程度です。天気図を見る限り大きく天気は崩れることはなく、トレッキングの小道は整備されていますし、片道2時間程度のことですから頑張れって、頑張れる範囲だし、頑張るべきです。小笠原に来るために努力にくらべれば、残り1時間で引き返すのは間違っていると思いました。私は女性に同情しましたが、ガイドはすでに1人で10分前に引き返してしまった後です。そこは観光客だけでも歩ける場所なので、「一緒に行きましょう」と誘おうと思ったのですが、ガイド料金をまだ支払っていないのかもしれません。本当に可哀想だと思いましたが、「お気をつけて!」とだけしか言えませんでした。日本でも外国でも、十分に気をつけなければいけないことを悟らされた事件でした。

17:30 桑の木山の登山口

上:桑の木山の登山口
 ここもガイド同伴でなければ歩けません。


上:グリーンアノールを捕獲するための装置

 以上で、毋島トレッキングは終了です。北部と南部は植生が少し違っていましたが、大きな発見はできませんでした。素人の1人歩きには限界がありましたが、ガイドなしで歩けるところを制覇しよう、という欲望を満たすことはできました。


上:本日の夕日

 帰り道に夕日を見ました。昨日も狙ったグリーンフラッシュは見られませんでした。これはかなりの幸運が必要なので仕方ないでしょう。

 さて、今日は小笠原丸が入港した日です。その足で母島丸に乗り継ぎ、たくさんの観光客が毋島に来ました。夕日を見るポイントにもたくさんの観光客がいます。昨日までは太陽を独占していたのですが、今日は太陽ががさがして見えます。大勢の人がそれぞれ忙しなく動いているからだけど、よくよく考えると、自分の方が忙しいな、と反省しました。これから先の話ですが、夕食を食べてから一寝入りし、深夜に旧ヘリポートまで行く予定です。寒くなることが分かっているので、雨合羽を着込んでスターウォッチングするわけです。やっぱり動物は活動していなければ面白くありません。がつがつ動いている方が面白いです。クジラも同じで、ゆったり泳いでいるものは歓迎されませんね。

18:30 夕食

上:本日の夕食(マグロの刺身、鶏肉のシーザーソテー、鯛の南蛮漬、大根と肉団子の煮物、白菜と酢の物、ピーマンのナンプラ炒め、茄子のツナマヨ焼き、香物)

翌13:30 スターウォッチング
 一寝入りしてから旧ヘリポートへ行きました。真っ暗なので案内板を見つけられないのではないかと思いましたが、日中に下見しておいたので大丈夫でした。ヘリポートのど真ん中に大の字になって寝そべり、1時間ほど楽しみました。

上:毋島の旧ヘリポートで観測した夏の大三角と天の川(画像をクリックすると解説図)

8日目:毋島周辺のダイビング3本 ←
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→ 10日目:毋島御幸之浜で『貨幣石』探し

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