このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第4時
実習4:瑞穂公園の野草標本

     2012 4 24(火)晴、今年初めての夏日(25.9度C)
     2012 4 25(水)晴、たぶん夏日
     正門集合(徒歩5分)→ 瑞穂公園

はじめに
 本校は名古屋グランパスの本拠地である瑞穂公園陸上競技場のすぐ近くにあります。瑞穂公園は、サクラの名所として有名な山崎川も流れています。このような自然に緑に恵まれた環境にある中学校ですから、屋外実習するのはとても自然です。天気が良く、花が十分に咲いている日を選んで数回は観察、採取、標本づくりにでかけたいものです。もちろん、理科の学習の前に、交通安全が十分に確保できること、集合解散や移動が確実にできることは当然です。

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上:瑞穂公園で植物採取し、思い思いの場所で標本づくりをする生徒達(2012年4月24日)


本時の目標
1 学校から瑞穂公園まで安全に移動する(帰り道も同じ)
2 校外で、他人の迷惑とならないように活動する
3 瑞穂公園の野草を5種類以上採取し、標本をつくる

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書、または、理科便覧
  • セロハンテープ
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 図鑑(いろいろ)
  • 時計


授業の流れ
(0) 始業前の集合、整列、点呼

 始業前に、正門に集合させます。先頭は学級委員、背の順、男女各1列です。全員が集合したら、交通安全の最終確認をしてすぐに出発です。

(1) 瑞穂公園まで移動
 できるだけ早足で歩きます。遅くすると、かえって列が長くなるからです。瑞穂公園の直前に大きな道路があります。ここの信号の待ち時間は長いので、そこで団子になり、これからの指示を出します。「もっと全員集まりなさい。前に詰めて! 友達とひっついて団子になりなさい。前に見えるのが瑞穂公園で、ここから見える芝生の範囲で探してください。右は、あそこのフェンスまでです。これから信号を渡りますが、渡ったらすぐの日陰に集合して、最後の説明をします。(本日の学習プリントを高く挙げて見せながら)これが今日のプリントです。小さな文字が一杯書いてあるのがわかりますか。約40種類の野草の名前ですが、ここで観察できるものを書き出したものです。今はそのうち半分ほど花が咲いています。見つけたら、名前をチェックしてください。少なくとも5種類は探しましょう。解散したら、先生が歩きながら10種類ほど素早く紹介します。採取して、それをプリントに貼ってください。おっと、もうすぐ信号が変わります。一斉に渡りますので準備してください。」

(2) 採取前の最終確認
 「並ばなくてもよろしい。できるだけ近くに来なさい。さて、プリントはここに置いておきます。持ち歩くとくしゃくしゃになるので、5つぐらい採取してから戻ってきて貼りましょう。できたらまた採取に出かけます。プリントが足りない人は、白紙が用意してあるので何枚使っても構いません。プリントは風で飛びますので、(石を持ち上げて見せながら)石で押さえておいてください。それでは、これから野草を探しますが、よく観察してから必要なものだけを採ること。友達のことも考えて、それから、一般の人もいることを考えて行動してください。何か質問はありますか? では、先生に教えて欲しい人は着いてきなさい。解散!」 .
上:瑞穂公園の集合解散場所に置かれた本日の学習プリント、図鑑、理科便覧
 近くに落ちていた小石を使って、紙が飛ばないようにしました。風流だな、と思っていたのは私だけかな? 

(3) 野草採取、標本づくり
 私の後をついてきた生徒は、各クラス10人ぐらいです。その他25人ぐらいは、思い思いの場所を探します。ただし、私が大きな声で、「ここにキュウリグサがたくさんあるよ!」と紹介すると、大多数の生徒が走ってきます。走ってくると、大切な野草が踏み荒らされてしまうので、「良く見て歩きなさい。すべて大切な植物です。」と注意することになります。良く見て歩くことを教えるのは、とても大切なことです。

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左:ハルジオンを採取する生徒
右:ヒメオドリコソウを採取する生徒

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上2枚:採取した野草を理科便覧で調べる生徒


上:A君の学習プリント


上:たくさんの野草をまとめた生徒
 実質30分程度で、これだけ採取し、まとめることができれば完璧です。植物名や気づいたことを記述する時間はなかったそうですが、これだけ丁寧に添付することができれが、たくさんのことを記憶していることでしょう。教室に戻ってから、あるいは、自宅で記録している姿が目に浮かびます。


2012年4月24日(火)、25日(水)に
瑞穂公園で観察できた野草

 画像をクリックすると拡大します。

上:ヤエムグラ
 同じ場所から葉8枚が出ています。先端に小さな白い花を咲かせます。茎を引っぱると、葉っぱのところで千切れます。茎に生えている小さな突起で、衣服に付着します。
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上:ヘビイチゴ
 光沢のある5枚の黄色い花弁が目立ちます。その中心は膨らんでいて、将来赤い苺になります。食べも味がないので、蛇イチゴです。今は花の盛りですが、上の写真にも小さな赤いイチゴが見られます。わかるかな? 2週間後、イチゴ狩りに行きました(観察9 5月中旬の瑞穂公園)。
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上:オオイヌノフグリ
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上:タチイヌノフグリ(全体写真
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上:キュウリグサ
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上:ヒメオドリコソウ
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上:ハコベ
 花弁10枚です。右の写真オランミミナグサとよく似ていますが、花弁が付け根から離れています。
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上:オランダミミナグサ
 花弁5枚ですが、それぞれの先端に切れ込みがあり、10枚あるように見えます。

上:ヨモギ
 葉を千切ってもむと、よもぎ餅の匂いがします。花は夏に咲くので、まったくその気配ありません。なお、典型的な主根と側根観察8 双子葉植物の種子、子房、からだが得られます。

上:カラスノエンドウ
 瑞穂公園にはあまり見られませんが、花期を迎えています。種子の観察はあと1週間かかるでしょう。なお、スズメノエンドウは、カラスより早く咲く場所が多いようです。

上:セイヨウタンポポ
 総苞がそりかえっているタンポポです。日本在来のものより早く咲き、すでに種子になっています。

上:日本在来のタンポポ
 5月中旬は、種子もほとんど見かけませんでした。

上:スズメノヤリ

上:スズメノカタビラ

上:カエデ
 野草ではありませんが、花が少し残っていました。もうしばらくすると、ブーメランのような形の種子になります。

上:マツ
 裸子植物の代表です。雄花はできていましたが、雌花はもう少しあとにできます。5月中旬でも雌花は十分ではありませんでした。

上:


上:ハルジオン
 薄いピインク色がはいった花は、いかにも春ジオンという感じです。垂れ下がった蕾は、重要な1つの特徴です。5月中旬の方がたくさん咲いていました。
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上:ムラサキカタバミ
 紫色の花のカタバミ。カタバミの名前は、葉が1枚足らないように見えることに由来します。
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上:タネツケバナ
 白い花弁4枚をつけますが、すでに種子になっていました。もう少し早い時期に探さなければいけません。
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上:オニタビラコ
5月中旬はほぼ種子になっていました。
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上:ノゲシ
5月中旬も同じように観察できました。
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上:オドリコソウ
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上:マツバウンラン
 瑞穂公園周辺の民家にたくさん生えている北米産の帰化植物です。
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上:マメグンバイナズナ(アブラナ科)ナズナより小さく、緑ではなく黄緑。枝分かれした花茎がしっかりで、それぞれ多数の花をつける。本当の相違点は種子の形で、ナズナはハート形、マメグンバイナズナは軍配形(先端が微妙にくびれる円)。葉の基部は茎を抱かない。
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上:ノゲイヌムギ
これは第7時『単子葉植物の花、からだ』で観察します。
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上:Cさんの学習プリント
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授業を終えて
 冬服を着た生徒にとって厳しい暑さでしたが、それを忘れるほど楽しんでいたようです。ゴールデンウィークが終り、マツの雌花が成熟した頃にもう一度訪れる予定です。同じ場所に、全く違う植物が生活していることが観察できます。シロツメクサの季節になると思うので、四葉のクローバー探しもする予定です。


上:いろいろな植物の種子を食べるハト

関連ページ
・ 観察5:瑞穂公園の野草 1年(2013年)
・ 観察1校舎内の野草 1年(1999年)
・ 実習1名南中・野草図鑑 1年(2002年)
・ 観察2野草図鑑<千鳥丘中学校編> 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学
第1章 生命とは何か 地球で生活している多様な生物
できるだけ近づいて肉眼で見る
p.8〜p.9
p.20
第5章 花と植物 My 野草図鑑をつくろう!
花が種子になるまで
p.92〜p.93
p.96〜p.97

第3時 ←
観察3 種子植物の花の一生

→ 第5時
観察5 裸子植物マツの花

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