このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録:生物学 3年(2001年度)です

動物のふえ方
                    2001 7
                    各教室

 このページは2005年夏、4年後の当時を思い出しながら書き起こしたものです。私の手許に残されているのは教科書、理科便覧、そして、Tさんの学習プリント1枚です。


授業の流れ

1 学習プリントの配付(2分)

 学習プリントには、雌雄のネズミの生殖器官を印刷しておく。ただし、器官名については空欄にしておく。

図1 雌雄のネズミの生殖器官(教科書:中学校理科2分野下、大日本図書から転載)

2 教科書を読む(5分)
 中学生にとって、もっとも興味関心が高い分野の1つである動物のふえ方。導入部分における先生の一声で真面目な雰囲気にも、明るい雰囲気にもなります。ただし、保健体育科や家庭科で詳細な学習を完了している場合があるので、よく担当の先生に相談してからカリキュラムを組んで下さい。驚くほど濃密な資料を作って学習させている先生がいらしゃるかも知れません。また、他教科の参考資料にも必ず、目を通しておきましょう。

3 哺乳類の生殖器官(5分)
 教科書ではネズミの生殖器官を扱っていますが、人間も含めて多くの哺乳類に共通していることを知らせます。そして、各部の名称を暗記させるために、次のような手順を踏んで下さい。

(1)教科書の図を見て、生殖器官名を暗記させる(1分)
(2)教科書を伏せて、生殖器官名を記入する(1分)
(3)教科書を見て、答え合わせをする(1分)

4 各部の補足説明(5〜10分)
 先生方の知識量に合わせて御指導下さい。基本は、正しい知識を正確に伝えることです。ただし、伝える知識の選択がとても重要になってきますので、生徒の反応や社会状勢、それに、学級にいる生徒の家庭環境などを十分に考慮して補足説明をして下さい。どの話も、生徒は熱心に耳を傾けるでしょうし、とても重要な内容です。臆することなく積極的に頑張って下さい。当時、私が説明した内容については、下のTさんの学習プリントを参考にして下さい。

図2 Tさんの学習プリント

5 受精について(3分)
 受精の意味を正しく理解している人は、大人でも少ないと思います。子をけ取るから受精、ではありません。受精とは雌雄の核の合体であり、卵子と精子が合体することではありません。上の図2のようにまとめて下さい。ただし、ここでは生殖細胞の染色体数が半減していることまで触れません。2時間後の減数分裂で学習します。また、受精卵が細胞分裂をくり返して胚になるまでの卵割は次時学習します。

6 受精場所(10分)
 次に、受精する場所について調べるため、哺乳類をふくむ脊椎動物全体まで範囲広げます。図3のように、哺乳類から爬虫類までは体内受精ですが、両生類と魚類は体内受精です。生徒にとって、鳥類や爬虫類が体内受精をすることは意外なことですが、鳩や小鳥が樹上で交尾をしている姿を見た経験がある人も数人いるでしょう。想像もつかない生徒には、鳥類が固い殻、爬虫類が柔らかい殻の卵を産むことから、体内で受精しなければならないことを推測させて下さい。また、適切なビデオ教材があれが大いに役立つでしょう。

 なお、私の授業では脊椎動物より広範囲に話が膨らんでしまい、昆虫や蛸などの受精場所についても話をしました。どれも興味深い内容ですが、ここでは説明を割愛します。図4は、昆虫は独自の進化をとげた体内受精を行う高等生物であることを説明するために書いた動物の系統樹です。

図3 脊椎動物の受精場所(体内か体外か)

図4 動物の系統樹

7 有性生殖と無性生殖(10分)
 教科書にしたがって、図5のように受精によらない生物のふえ方をまとめました。調べる生物の範囲は、さらに植物まで広がっています。ここも深く追求すると面白いのですが、体系的な学習にならない雑談までになってしまうでしょう。さもなければ、細胞レベル、あるいは、遺伝子(DNA)レベルまで持ち込む必要があります。焦点を絞れば中学生もで可能だと思いますので、指導カリキュラムについては今後の課題として残しておきます。

図5 受精によらないふえ方

8 本時のまとめ(5分)
 各自に授業の感想や疑問などを書かせます。


  ◎ Tさんの学習プリント(図6)

  図6 Tさんの学習プリント

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(C) 2001-2005 Fukuchi Takahiro