このページは、中3地学/takaの授業記録2001 です

地震の大きさ(震度とマグニチュード)
                     2001 秋

 このページは2005年夏、4年前の記憶によって書かれたものです。また、画像資料として利用したのはCさんの学習プリントだけです。ほとんどの部分は、学習記録地震の大きさ(震度とマグニチュード)1年(2002年)にもとづいて書かれています。


授業の流れ
 授業の流れを迷っている先生には、図3の手順で進めることをお勧めします。以下にある授業記録は、図3にしたがって配列されています。

図3 地震の大きさ(震度とマグニチュード)

震度について
(16分)

マグニチュードについて
(17分)

震度とマグニチュードの関係
(17分)

1 震度について(16分)

(授業記録地震の大きさ(震度とマグニチュード)1年(2002年)から転載)

震度の階級
・ 地震のゆれの程度は『震度』で表わされる
・ 測定場所によって違う(遠くなるほど弱くなる)
・ 震度0は、人体に感じない
・ 震度7を最大とする
・ 10段階(2002年現在)に分かれている
・ 日本だけで適用されている
・ 震度計で正確に計測して発表されるが、現場の被害状況から考えるといい加減(仕方ありません!!)
→ 図4のようにまとめたA君は震度3まで体験したことがある

図4 A君(1年生)がまとめた震度の階級


図5 Cさん(3年生)がまとめた震度の階級

2 マグニチュードについて(17分)

(授業記録地震の大きさ(震度とマグニチュード)1年(2002年)から転載)

マグニチュード
・ 震度は地震そのものが大きさではない
・ そこで、マグニチュードという単位で表わすことにする
・ 測定方法は相当難しいので、中学生用に脚色して次のように説明した。
<生徒への説明>
「震央から100キロメートル離れたところに計測器を置きます。」
「そこでの揺れ幅で、地震そのものの大きさを決定します。」

図5 B君がまとめたマグニチュードの測定方法

揺れ幅の説明
「じゃあ、揺れ幅1cmをやってみるよ。」
首を左右に1cm振る。
「今度は、縦に1cmやってみるよ。」
貧乏揺り1cmを連続する。プロとしての誇りを持ったまま、貧乏揺すりをしながら
「今度はマグニチュード8。だから揺れ幅10cmっ!!」
「ででででで、ぎまぜん!」
「だだだだだれか、やってくればばばばばせんか。」
「!!君お願いします。」
ここまでの芸当ができない場合は、チョークケース等を縦横に振って見せるだけでも生徒の理解度は全く異なる。また、クラス全員で揺れ幅1cmで机を動かすのも面白いだろう。そのクラスのノリで愉しんで下さい。


図6 Cさんがまとめたマグニチュードの測定方法

3 震度とマグニチュードの関係(17分)
 この説明は意外に難しいので、丁寧にして下さい。意外な生徒が最後まで分からないことが多いです。

説明方法
 「これで震度とマグニチュードについて分かったと思いますが、本当に理解しているか確認しながら、震度とマグニチュードについて1つの図に書いてみたいと思います。では、一斉に書きましょう。まず、(黒板に横棒を書きならが)地面を書いて、地震を発生させて下さい(横棒の下に×を打つ)。」「A君、地震が発生したところを何と言いますか?・・・そうですね。震源です(黒板に震源と書く)。」「じゃあA君、君の好きな大きさの地震にしましょう。どれくらいにしましょうか?・・・えっ!!!マグニチュード1億!!!・・・それはありません。さっき勉強したように、マグニチュードは最大でも8ぐらいですから、マグニチュード1億になったら地球全体が揺れてバラバラに割れてしまいしまいます。・・・えっ、じゃあ、マグニチュード6でいいですか? はい、ではそのようにしましょうM6と板書する)。」「では、今度は地面にある、いろいろな場所でのマグニチュードと震度を調べてみましょう。まず、震源の真上の地点をAとします。そして、A地点の左3cmをB地点、右3cmをC地点とします。C地点のさらに2cm右をD地点、さらに5cm右をD地点として下さい。(図7参照)

図7 震度とマグニチュードの関係を書いたCさんの学習プリント
 「じゃあ、ここで全員に質問です。相談なしです。全員が自分の考えて答えてもらいます。二者択一です。では、問題です。5つの地点A〜Eで観測したとき、全ての地点の観測値が同じになるのは震度ですか?、それとも、マグニチュードですか?・・・もう一度言います。震度とマグニチュードを測定したところ、値がどこでも同じになるのは、震度ですか?、それとも、マグニチュードですか?」「では、手をあげて答えて下さい。震度だと思う人!・・・(約半数)マグニチュードだと思う人!・・・(約半数)」「なるほど、完全に分かれてしまいましたね。でも、正解は1つですよ。近くの友だちと相談して、もう一度答えて下さい。」「では、答えてもらいます。震度だと思う人!・・・(減少する)マグニチュードだと思う人!・・・(増加する)そうですね。正解者が増えたようです。全員、学習プリントに書いたと思いますが、地震そのものの大きさを表しているのはどちらですか?・・・そうですね。マグニチュードです。ですから、マグニチュードの値はどこでも同じです。地球の裏側で発生した地震ではまったく揺れませんが、でもマグニチュードは同じです。」

 「次に、具体的な数字をいれてお終いにしましょう。では、A〜Eすべての地点にM6と書いて下さい。次に、各地点の震度を書き込みます。震度は震源に近い方が大きく、遠くなると小さくなります。まず、A地点の震度を決めましょう。これも、震源からの深さによって変わるので、いくつかわからないのですが、仮に震度6とします震度6と板書する)。では、Bさんに質問しましょう。Bさん、B地点とC地点では、どちらの震度が大きいですか?・・・正解です。両方とも同じですね。では、震度いくつにしましょう?・・・震度5ですか。いいですね。先生もそうしようと思っていました震度5と板書する)。みなさんも書いて下さい。次に、Cさん、D地点の震度はどうしましょうか?・・・震度4。これまた先生の気持ちがよくわかっています震度4と板書する)。最後にE地点の震度はどうしましょうか?・・・そうですね。震度2ぐらいが適当ですね震度2と板書する)。」

ワンポイント:この説明はM6で行いましたが、中途半端な数値M5.9M6.1でした方が効果的です。なぜなら、マグニチュードは小数点第1位までの数字で表されますが、震度は0から7までの整数で表されるからです。


参考資料

Cさんの学習プリントからみた2001年度の実践
 当時、私は理科の授業を4クラス受け持っていました。そのうち、Cさんのクラスは最後に教えたものと思われます。理由は、Cさんのプリントがシンプルに記入されているからです(図1:前時、図2:本時)。最後のクラスは生徒の反応が予測できたり、これまでの授業から生徒の思考にあった説明アイデアが蓄積されるからです。結果として、短時間で授業が終了するので、後半は練習問題の時間になります。もちろん、どたばたした最初のクラスの方が理解度が高くなることもありますし、それはクラスを構成する生徒の個性に大きく左右されるので、どちらが良いかは判断できません。

 とにかく、前時は初期微動継続時間(図1左)と震度(図1右)を学習し、本時はマグニチュードの説明を行い(図2左)、後半は練習問題にしたと思われます。

 また、次時にあたる図2右は詳細に書き込まれています。1時間かけてじっくり学習したのでしょう。このように、クラスによって長短ができますが、最終的には追いこされたり追い抜いたりしながら同じバランスになります。練習問題の時間も同じように確保されることになります。

 次に、教科書の配列について検討します。教科書の配置は、科学の手順、すなわち、観測・実験結果から法則を見つける原則にしたがっています。私もそれにしたがって、観測結果(図2左、図3上)→結果の原因究明(図3下)と配置しましたが、中学3年生では無理でした。Cさんのプリントを見れば、一応できましたが、大変でした。ビデオ教材があればこれで良いと思いますが、ない場合は、老練な技術と時間が必要になるでしょう。ということで、2001年度の授業記録では次と2時間後の記録を入れ替えて配置しておきます。この問題については簡単な結果(図3上)→原因(図3下)→難しい結果(図2左)という思考の流れをお勧めします。


図1 地学9の学習プリント

図2 地学10の学習プリント


図3 地学11の学習プリント             

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初期微動継続時間

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地震の発生場所と原因


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(C) 2001-2005 Fukuchi Takahiro