このページは中学校1年理科『地学』/takaの授業記録2002です

観察12 運動場から鉱物を探そう
              
                   2002 11 21(木)
                   第2理科室、運動場

 「運動場の砂から水晶のかけらを拾おう!」 生徒達はこの言葉につられて作業を始めるが、10分もしないうちに石英(水晶)の透明感と、長石の不透明感を識別できるようになる。そうなると、水晶のかけらを探すことより、今まで見えなかった小さな粒を分別できる喜びが大きくなる。

 ところで、砂場や運動場の砂は花崗岩質なので、そのほどんどを石英(水晶)、長石黒雲母の3つに分類できる。これは前時に学習した6つの基本的な鉱物であり、かつ、次時に学習する火成岩の基本的な鉱物なので本当に最適な材料なのである。多くの教科書にのっている火山灰の鉱物を拾い上げる実習より、身近で簡単明瞭なので、すべての粒を分類できる自分の力を知った生徒の喜びはいかばかりのものか想像するに易い。「チャイムが鳴るから終わって欲しいんだけどなあ。」


(上:シャーレの中で砂を洗い、その粒をピンセットで分別していく)


授業の流れ

1 石英、長石、雲母の特徴を確認する
 その他、運動場ので見れらるものとして、『チャート』『鉄』を紹介する

2 運動場の砂を採取・洗浄する
 教室で説明した後、現場で演示・再確認する

採取するときのポイント>
・ 1人につき、シャーレを1つ持つ
・ 運動場の表面を撫でるようにして、大きな粒を採取する
・ 風により、大きな粒が集まっている場所がある
・ 雲母がたくさん集まっている場所は、太陽の光でキラキラ光っている
・ 採取する量は、シャーレの底に1列並ぶぐらい


(上:場所によって粒の大きさや成分が違うので、よく観察してから採取する)

洗浄するときのポイント
・ 運動場の洗い場を使う
・ シャーレに半分ぐらい水を入れ、シャーレを揺する
・ 指で擦ると「雲母」が壊れてしまうので、揺するだけにする
・ この作業を10回くり返す
・ まだ水が汚れているようなら、さらに、10回くり返す
  

(上:理科室で洗浄しても良いけれど、流しが汚れることを覚悟しなければならない)

3 鉱物をピンセットで拾う
  みなさんも一緒に拾いましょうか! 

(上: 水を3〜5mm入れ、水の中から拾い出す)

識別のポイント
石英(水晶): 透明な「無色〜ねずみ色」の粒

      → 透明であることに着目する
      → 水晶のかけらである
長 石: 不透明な「白色〜黄色」の粒
      → 不透明であることに着目する
黒雲母: 金のように輝き、薄くはがれる
      → 手のひらにくっついていることが多い
      → 花壇の土にたくさん含まれている
      → 水に浮いて流されてくことがある


(上:『見本』です。参考にして下さい。)

4 学習プリントにまとめる
・ 鉱物をセロテープで添付する
・ ろ紙ごと添付しても良い

(上:A君の学習プリント)

◎ Bさんの学習プリント
・ チャートが添付してある
・ チャートについては『観察7地層をつくる岩石2』で学習している
・ 校庭から実物を採取・添付した経験がある


 ◎ C君の学習プリント

評価基準
1 自然事象への関心・意欲・態度
 A 新しい「粒」を発見するために、いろいろな場所を調べことができる
 B 自ら進んで運動場の砂粒を分類することができる

2 科学的な思考
 B 砂の1粒1粒を成分によって分類・認識することができる

3 実験・観察の技能・表現
 A 運動場の砂粒から「チャート」「鉄」「砂岩」なども識別できる
 B 運動場の砂粒から「石英」「長石」「黒雲母」を取り出すことができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 運動場には鉱物の破片が散らばっていることを理解できる


授業を終えて
 鉱物標本で学習したものが、小さなかけらになって運動場に散らばっていることを知るのは衝撃的であろう。今まで「砂」としか思っていなかったものが、自分が名前を知っている「鉱物」として再認識することは、大発見であるに違いない。新しい目ができたことを自覚する生徒が1人でもいれば嬉しく思う。

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