このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です

 実験1 鉄と硫黄の化合(硫化)
                                2004 1 21(水)
                                第1理科室

 久しぶりの理科室なので張り切って始めたい。ちょっと危険な香り漂う実験です。時間もめいっぱいになりますが、とにかく今日はガツンとやらせて頂きます。

 鉄+ 硫黄→ 硫化鉄
 Fe+ S→ FeS

 火山の噴火と同じで800度C以上になります
 試験管が溶けて曲がらないように・・・
 (写真右)

  → 2017年度の実践『実験5 鉄と硫黄の化合』
   参考にして下さい


 <授業の流れ>
 0 始業前の準備

   理科室に移動してきた生徒から順に、適当な量の鉄と硫黄を配付する。早く移動するように
  指示しておいたので、ほどんどの生徒が放課中に準備完了。されに、鉄製スタンドやガスバー
  ナーなどの器具もチャイムが鳴る前に準備させれば、効率が上がる。ぎりぎりに移動した生徒
  でも、授業のチャイムが鳴って数分以内に、薬包紙に乗った状態で硫黄と鉄が手配できる。

 1 本時のねらいなど

  1 硫黄を混合し、加熱するとどうなるか実験する
   鉄 + 硫黄 (混合し加熱する)→ ?
   鉄 + 硫黄 (混合し加熱する、化合・硫化)→ 硫化鉄 
  2 800度C以上発熱する、危険な実験である(激しい発熱反応)
  3 火山の噴火の基本的な原理である
  4 温泉の臭いを楽しんで下さい
  5 試験管の汚れと反応すると有毒ガスが発生するので、新品の試験管を使用する
  6 反応してできた物質について、試験管を割って取り出して調べる

 2 鉄と硫黄について

  1 鉄と硫黄の単体を紹介し、それぞれの性質をまとめさせる
  2 硫黄を加熱させた時の状態変化を観察させる(演示実験)
  3 実物を学習プリントに添付する
硫 黄
・ 鉄色、銀色(黒ではない)
・ 粉末状になっている
・ 磁石に引っ付く
・ 電流を通す

(上:粉状になっている鉄)
・ 黄 色
・ 粉末状になっている
・ 臭いはない(固体)
・ 電流を通さない
 
(上:粉末状の硫黄)


鉄と硫黄を『乳ばち』に入れて混ぜると


注意: 硫化鉄ではありません。
鉄と硫黄の混合物
混ぜただけです

 
 3 実験手順の説明と注意

  ・ 鉄と硫黄は、正確な割り合いで混合しないと反応しない
   → 鉄7g、硫黄4g
  ・ 混合物を少量とり、学習プリントに添付する
  ・ 試験管を45度に傾ける
  ・ 混合物の上部を加熱し、反応が始まったらガスバーナーの火を遠ざける
  ・ 連鎖的に反応する様子をよく観察する
  ・ 試験管は、古新聞に完全に包んでから金槌で割る
  ・ 金槌は、その重さだけで割れるので絶対に強く叩かない
  ・ できた物質を調べる(色、手触り、磁性、電流)
 
  (上:A君の学習プリント)

 4 生徒実験

  1) 鉄と硫黄の計量

(写真上と右)
 電子てんびんを使って各自で計量する。薬包紙をてんびんに載せ、それに薬さじで少しずつ加えていく。初めに先生からもらった試薬(鉄7g、硫黄4g)が足らない場合は、自分で教卓から持っていく。

  2) 鉄と硫黄を混合する
   硫黄を先に入れた方が、多少混ざりやすいけれど、まあ順序はどちらでもいいでしょう。し
   っかり混ぜて下さい。
  3) 混合物を試験管に入れる
   乳ばちから直接入れる生徒がいますが、一旦、薬包紙にとるのが常識です。
  4) 混合物の一部をプリントに添付する
   加熱後の混合物と比較するためです。
  5) 試験管を鉄製スタンドに固定する
   斜め45度にし、混合物の上部を加熱するようにすると発熱量が抑えれて安全です。
  6) 混合物を加熱する
   マッチで遊ばれるのが嫌な場合は、軸を1本のだけ配付するといいでしょう。
  7) 混合物の一部が赤熱状態になったら、ガスバーナーの火を外す
   火を止めるのがベストですが、それに時間をとられて連鎖的に反応する様子を観察できなく
   ては本末転倒。ガスバーナーを移動させて、混合物の反応に注目させるべきです。また、教
   師がそばにいた場合は、すばやく火を消してやっても過保護になりません。
  8) 反応の様子を観察する
   見る方向や角度によって、まったく違った反応が観察できます。自分の椅子に座って大人し
   く観察するのではなく、自分の席を立ち、友達と声を掛け合って一番良い角度を探しましょ
   う。写真下では、『鉄と化合しなかった硫黄が気化し、再び冷えて固体になって付着する様
   子。』『赤熱状態が連鎖的に移動していく様子。』『熱によって混合物がぐつぐつと液化し、
   そして、違う物質になって固体になる様子。』などが観察できます。

  9) 反応が終わった試験管を冷やす
 10) 試験管を割り、中の物質を取り出す

 (写真上)試験管は、完全に古紙で包まないと危険。また、強く叩くのも危険。この操作は、教師用実験台で行わせる。金槌は3つ用意しておいた。

 11) 反応後の物質(硫化鉄)を調べる
 
  (上:薬包紙に包んだまま、試料の磁性を調べる生徒)

 5 本時のまとめ
   鉄 + 硫黄(混合し加熱する、化合・硫化)→ 硫化鉄
   Fe+ S→ FeS
  
  (上:Cさんの学習プリント)

  

  (上:Bさんの感想と発見)


  (上:Cさんの記録)

  




 ◎ D君の学習プリント


 ◎ Bさんのの学習プリント

 


 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 本時の実験学習内容を、丁寧かつ正確にまとめることができる

 2 科学的な思考
  A 激しい発熱反応が起こる原因を推測することができる
  B 鉄と硫黄の混合物と、それを加熱したものが別な物質であること理解できる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 鉄と硫黄の化合物を加熱して、硫化鉄を作ることができる
  B 学習プリントに、鉄と硫黄と硫化鉄を添付することができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 鉄の硫化について、正しく理解することができる


  授業を終えて
  約1年ぶりの化学実験にもかかわらず、生徒達はほぼ完璧に実験をこなした。さすがである。
  あとは、実験内容が分かっているかが問題だけど、これが大きな問題なのである。次時は復
  習、あるいは問題プリントから入るべきかと悩んでいる。やっぱり、ちょっとやった方がい
  いかな。

  ・ 教科書の点検をする予定だったが、時間がないので次回にまわした。

  他年度の実践記録
  ・ 実験5 鉄と硫黄の化合 (2017年度)
  ・ 実験7 鉄と硫黄の化合 (2000年度)

  化学分野の授業カリキュラムについて
  2年化学を始めるにあたって教科書を開いた。1番初めの実験は『酸化銀の分解』。悪くはな
  いが、後のつながりを熟慮し、授業カリキュラムを大きく変更した。内容は同じ。おおまかな
  流れは、化合(硫化→酸化→その他)→ 分解(炭酸水素ナトリウム→還元→電気分解)
  ある。毎回1実験、全部で15実験を予定している。以下は現在の予定。

  1 鉄と硫黄の化合(硫化)
  2 銅と硫黄の化合(硫化)
  3 鉄を燃やす(酸化)
  4 銅を燃やす(酸化)
  5 Mgの酸化
  6 水素の爆発(激しい酸化)
  7 Mgと塩酸の反応
  8 金属と塩酸の反応
  9 アンモニアを作る
  10 炭酸水素ナトリウムの分解
  11 酸化銀の分解(還元)
  12 酸化銅の還元
  13 塩化銅の電気分解
  14 塩酸の電気分解
  15 水の電気分解

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