このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です

 単体と化合物
              
                   2004 3 16(火)
                   各教室
  1時間使うほどの学習内容ではないが、予定より早く授業が進んでいることと学年末で
  落ち着かない雰囲気が漂っているので教室でゆっくり勉強した。生徒の発表についても
  いつものような自主的な発言を利用する方法ではなく、私が座席順に指名し全員が当た
  るようにした。

  関連ページ
  ・チョークはどこまで小さくなるか(2年、2017年)
  ・分子と原子(2年、2000年)

  実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

  ◎参考資料:原子、分子 このページにリンクしています 


 <授業の流れ>
 1 導 入
  
「今日は、単体と化合物の違いだけを勉強します。内容は少ないので、ゆっくり落ち着いて
  勉強しましょう。プリントを2つに分けて下さい。左に『単体』、右に『化合物』と書きま
  す。単体は1種類の原子でできている物質、化合物は2種類以上の原子でできている物質で
  す。」
  「書けましたか。では、読み方を確認しましょう。」
  「A君、単体は何と読みますか?」
  「正解! たんたい、です。」
  「Bさん、原子は何と読みますか?」
  「正解! げんし、です。」
  
  「C君、化合物は何と読みますか?」
  「そうです。かごうぶつ、です。」
  「D君、これはちょっと難しいけれど、原子を英語に訳すと?」
  
  「さすが! アトム、と読みます。宇宙少年・鉄腕アトムという漫画がありますが、半分だ
  け英訳すると、『アストロ・ボーイ、鉄腕原子』となります。宇宙はアストロ、原子はアト
  ムです。」

  2 単 体
  「では、単体の例をあげることで、単体が何者か理解を深めていましょう。いきなりですがE
  さん、単体の例を挙げて下さい。単体とは、1種類の原子でできている物質です。」
  「炭素ですか。かなりマニアックな例ですが正解です。Eさんはひと味違いますね。プリント
  には日本語名と化学式を一緒に書くようにしますので、F君、炭素の化学式を教えて下さい。」
  「そうです。Cです。では、みなさん、ここまで書いて下さい。」
  
  「Gさん、2つめの単体の例をお願いします。Eさんは『炭素』を出してくれくれましたが、
  日本語名でも化学式でも良いです。」
  「水素、大正解です。ただし、今度は『水素』の後ろに分子か原子を書きますのでスペースを
  空けて下さい。H君、分子・原子のどちらですか?」
  「正解です! 水素という物質の性質をもっているのは『水素分子』ですね。となると、水素
  分子の化学式はどうなりますか。Iさん、お願いしますよ。ヒントを上げましょうか。水素は
  宇宙で1番軽い原子、前回のテストでは1番初めに書いたものです。」
  「正解! です。水素の原子記号はHですから、水素分子はどうなるかな? J君お願いし
  ます。」
  「そうですね。です。これで水素分子の完成です。」
  
  「Kさん、3つめの例をお願いします。」
  「塩素分子ですか。いきなり分子までつけてきましね。流石です。」
  「じゃあ、L君も頑張って化学式を答えて下さい。」
  
  ・
  ・
  ・
  以下、省略
  ・
  ・
  ・
  


 3 化合物

  「次は化合物です。2種類以上の原子が組み合わさっている物質を化合物といいます。M君、
  早速例を挙げて下さい。」
  「硫酸! 大正解です。でも、硫酸の化学式は難しいですよ。Nさん、どうしましょう。化
  学式を答える前に、分子か原子かを確認しておきましょう。」
  「分子、良いですね。大正解です。これを間違えると大変なのでしっかり書いておきましょ
  う。では、O君、硫酸の化学式を答えて欲しいのですが、もし分からないなら硫酸の硫、つ
  まり、硫黄の化学式だけでも良いです。」
  「、いいですね。正解です。硫黄はSだったので、硫酸にはが入ります。では、硫酸の
  化学式は難しいので全員に質問します。硫酸が分かる人はいますか?」
  「SO、A君は凄いですね。正解です。数字の大きさや位置に注意して書きましょう。」
  
  「Pさん、2つめの例をお願いします。」
  「酸化鉄、良いです。」
  「Q君、酸化鉄は分子ですか、原子ですか。」
  「そうですね。分子です。」
  「Rさん、酸化鉄の化学式は?」
  「そうです。FeOです。」
  
  「S君、3つめの例をお願いします。」
  「酸化銅、とっても良いです。順調です。」
  「Tさん、分子ですか原子ですか?」
  「そうです。分子です。」
  「U君、化学式は?」
  
  ・
  ・
  ・
  以下、省略
  ・
  ・
  ・
  




 ◎ Bさんの学習プリント


 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 学習プリントに丁寧かつ正確にまとめることができる

 2 科学的な思考
  B 物質をイメージしながら学習することができる

 3 実験・観察の技能・表現
 4 自然事象についての知識・理解
  B 物質名と化学式を正確に答えることができる



  ◎ 参考資料
  原子: どんな物質もそれ以上分割できない小さい粒(原子)からできている
  ・ ドルトン(イギリス、19世紀)
  ・ すべての物質は原子からできている
  ・ その種類は100種類ほどしかない
  ・ 種類によって大きさや性質が決まっている
  ・ 軽いものから順に並べたものを原子周期表という
  ・ 化学変化で、それ以上分かれたり、他の原子に変わったり、なくなったり、新しくできたりしない
  ・ 正の電気をもった原子核の周りに、負の電気をもった電子が飛び回っている
   (全体としては中性)
  ・ 原子の組み合わせによって様々な物質(分子)ができる
  ・ 金属は、原子がたくさん集まってできているので分子という単位はない

  分子: 物質の性質をもつ1番小さい粒
  ・ 物質=分子と考えても、いいだろう
  ・ 水、水素、酸素は分子でできている
  ・ 気体は、いくつかの原子が結びついた粒(分子)でできている(アボガドロ)
   酸素、塩化水素、二酸化炭素、アンモニア、メタン、プロパン、エタノール、水
  ・ 無機物、有機物に分類できる
  ・ 分子1つひとつの場合(気体)は小さくて肉眼では見えない
  ・ しかし、固体や液体のように集まった場合は肉眼で見える
  ・ 固体、液体、気体は分子の集まり方がかわったもの(状態変化)
  ・ 状態が変わっても、物質の分子は変わらない
  ・ 分子を作らない物質(食塩:1組の原子の割り合い、銅:1つ原子を代表)もある
  ・ 分子は、単体と化合物に分類できる

単 体
1種類の原子でできている物質

化合物
2種類以上の原子でできている物質

水素、酸素、炭素、銅、鉄、カルシウム

水、二酸化炭素、アンモニア、炭酸水素ナトリウム


  授業を終えて
  生徒を指名する時、「今日は3月16日かだから、16番!」のように偶然に任せる場合
  もあるが、初めから50分の授業時間に全員指名することを目的の1つにして展開するこ
  とも理科好きにさせる方法として有効である。その場合、指名した生徒が100%正解す
  ることが条件になる。教師は、生徒の実力に合わせて質問の内容を変更したり、難しいか
  なと判断した時には、さりげなくヒントをぺらぺら喋り、(分かった!)と閃いた顔にな
  るまで、どんどん「繋ぎとなる言葉」で時間を作ってやることが必要である。他の生徒は、
  「あ、先生も頑張ってヒントを与えているなあ。」と分かってしまうことが多いが、それ
  はそれ、クラスとしての連帯感が高まるだけでなく(全員で正解を得る)という別な意義
  が出てくる。

  間違った答が出てしまった時は、その中からヒントなる部分や正解部分を拾い出し、次の
  質問につながるようにする。せっかく間違えくれた生徒のためにも、「間違い」が大切な
  ポイント、新しい視点へのきっかけ、問題の意味を振り返るチャンス、復習への糸口にな
  るよう教師が誘導すること。

  また、指名する順序は、前から後ろへ順に進むような規則的な方法でも良いが、ある程度
  不規則になるようにジグザグにしておくと、授業の流れで難しい問題を指名しなくてはな
  らない場合なった時、潰しが効く。

  いずれにして、生徒の顔を見ながら簡単な質問をテンポよく出していくことが大切である。

関連ページ
分子と原子(2年、2000年)
チョークはどこまで小さくなるか(2年、2017年)

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