このページは中学校2年理科『地学』/takaの授業記録2003です

気温と飽和水蒸気量
              
                   2003 4 28(月)
                   2003 5 2(金)
                   第2理科室

 飽和水蒸気量曲線を理解させるため1時間献上しようと考えている。生徒がどれだけ理解できるか、結果が楽しみである。

本時のねらい
1 飽和の意味を知る
2 空気中を飛び回っている水分子をイメージする
3 飽和水蒸気量曲線から湿度や水蒸気量を求める


<授業の流れ>
1 飽和水蒸気量について

・ 空気には水蒸気が含まれている
・ その水蒸気を見ることはできない
・ その水蒸気が含まれる量には限界(飽和する量)がある
・ その限界の量は、気温によって変化する


<生徒への説明>

 「この飽和水蒸気量を調べるためには、基準になる空気の体積を決めておかなければなりません。そこで、1立方メートルの空気を基準にします。先生が両手を広げると170cmになりますから、だいたい、これぐらいの大きさですね。」

 「さて、さっそくですが、この立方体の中に何gの水蒸気が含まれていますか? 教科書ページを見て調べて下さい。気温は20度Cにしましょう。」

 「そうですね。この立方体の中には17.3グラムの水蒸気が含まれています。ですから教室全体の水蒸気量を計算すれば、バケツ何杯かの目に見えない水蒸気が飛び回っていることになります。最後に時間が余ったら、何キログラムか計算することにしましょう。」


  (上:これが最終ゴールとなる飽和水蒸気のモデル図です。)


 「これから立方体の中に水蒸気の粒を書きますが、温度による変化を調べたいので真中を20度C、左を10度C、右を30度Cにします。」

 「まず、20度Cのところに水蒸気を17個書きなさい。正確には17.3個ですが、四捨五入して17個で良いでしょう。」

 「目に見えない17個の水蒸気が飛び回っています。」
  


 「さて、この空気を冷やして10度Cにするとどうなるでしょう。元気がなくなって、下に落ちてしまう水蒸気が出てきます。教科書で調べて下さい。10度Cのときの、飽和水蒸気量はいくらですか?」
 「そうですね、9.4グラムです。」
 「では、プリントには9個の水蒸気を書きなさい。そして、下には飛べなくなった水蒸気の粒を書きましょう。」
 「A君!17- 9はいくつですか。」
 「正解、8個です。9個は飛び回ることができますが、8個は下に落ちて集まります。この8個は水蒸気とは言えません。露、水、水滴、いろいろな名前がありますが、液体という目に見える状態になります。」

 「次に、空気を暖めて30度Cにしましょう。」
 「Bさん!教科書によると飽和水蒸気量はいくらですか?」
 「そうです、30.3グラムですね。」
 「プリントには30個書きますが、ちょっと待って下さい。慌てて30個書いてはいけませんよ。書いて良いのは17個だけです。だって、さっきの空気には17個しかなかったのだから、勝手に増やすことはできません。まず、17個書きます。」
 「その後に、追加できる水蒸気を違う色で書きましょう。」
 「C君!追加できる水蒸気は何個ですか?」
 「えっ、」
 「C君! 30−17はいくつかな?」
 「よくできました、13個です。」
 「では、違いが分かるように書きなさい。」

2 飽和水蒸気量曲線
 「次に、温度による飽和水蒸気量の変化をグラフにしてみましょう。」
 「詳しく書きたい人は、理科便覧の表から数値を拾いなさい。」

  (上:Dくんの学習プリント)

 「気温によって飽和水蒸気の量、つまり、100%の量が変わる様子がグラフになりました。ここで注目しておきたいことは、気温が0度Cでも水蒸気が4.8グラム飛んでいることです。冷蔵庫の冷凍庫の中はマイナスになりますが、そこでも水蒸気が飛び回っています。最近の冷蔵庫には霜がつかないものがありますが、昔の冷蔵庫は霜がつきました。あれは飛んでいた水蒸気の元気がなくなって凍ってしまったものですが、それでも僅かに水蒸気は飛び回っています。本当に少しの量ですが飛んでいます。さらに、冷凍庫内の湿度を測定すると100%に近い数字になります。なにしろ、100%になるための水蒸気量は極端に少ないですから。」

<ちょっと休憩>
 生徒にとって、空気を暖めると飽和水蒸気量が増えることは理解しやすい。しかし、「空気を暖めると湿度は上がりますか、下がりますか?」の質問に答えられる生徒は少ない。その原因をいろいろ考えてみたが、そもそも湿度の概念が分からないのである。ある大人に「湿度の単位は何?」と質問したが答えることができなかったし、湿度100%とは何か?、正確に答えることは不可能と言ってよい。 
→答えを知りたい人は授業記録『実験3湿度の測定』 ということで、中学生にとってパーセント概念が大きな関門であることを発見した今日この頃である。算数の先生、よろしくお願いします!!これ以上中学校理科で時間を使うことはできません。

  ◎ E君の学習プリント


(上:オラオラオラ、G君はしっかり落書きをしていた)

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントを美しく丁寧にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 空気中を飛び回る水蒸気をモデル化して思考することができる
 B 低温になり、水蒸気が凝結する様子をモデル化することができる
 B 高温になり、水蒸気が元気になった様子をモデル化することができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 飽和水蒸気量曲線を正確に書くことができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 飽和水蒸気の意味について正しく説明することができる
 B 飽和水蒸気量は、気温によって変化することを理解できる


授業を終えて
 今日で飽和水蒸気量を終了する予定だったが、生徒の理解度が低いので明日もやることにした。

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