このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録:物理学 2年(2003年度)です |
実験15 電磁誘導
2003 10 1(水)
第1理科室みなさんは自転車の発電機のしくみを知っていますか。分解すると何が出てくるでしょう。答えはコイルと磁石、つまり、モーターです。これまでは電流を使う実験をしましたが、今日は電流を作り出す実験をしましょう。
(上:検流計とコイルと棒磁石)<本時のポイント>
追求すると深みにハマって脱出できなくなるので、生徒実験を交えて簡単に済ませること。<参考>
授業記録実験11誘導電流(2000年度、中2物理)
<授業の流れ>
1 電磁誘導と誘導電流のまとめ
時間節約のため、教科書の該当部分にアンダーラインを引かせ、その意味の解説した後、各
自でプリントにまとめさせれば良い。
<生徒への指示例>
「教科書xページを開けなさい。y行目からz行目まアンダーランを引きます。そこには、
『電磁誘導』と『誘導電流』が太字になっていますが、今日の学習はこれが分かればお終い
です。教科書をよく読んで自分の言葉にまとめ直しなさい。それが出来ない人は教科書を写
しなさい。時間は3分。その後、先生が語句の確認をし、みなさんに実験をしてもらいます。
では、よーい始め。」
(上:A君の学習プリント)
(上:板書されたまとめの例)
「では、説明をします。電磁誘導の『電』はコイル、『磁』は磁石です。誘導の『誘』は誘
う・誘拐の意味、『導』は導くの意味なので、合わせて、コイルと磁石を使って何かを誘導、
誘い出すという意味になります。そして、誘導された電流を誘導電流と言います。簡単です
ね。さあ、これからこの実験をしますが、その前に、誘導電流をたくさん発生させるための
条件をまとめておきましょう。教科書に実験装置とその結果が載っていますので、それを参
考にして予想、まとめなさい。」
(上:Bさんの学習プリント)
「予想を検討します。先生が皆さんに質問しますので、全員手を挙げて答えて下さい。予想
が正しいと思う人は『○』、どちらとも言えない場合は『△』、違うと思う人は『×』に手
を挙げて下さい。では第1問、磁石の動きを速くする、これは『○』だと思う人?」
「はい、正解。」
(略)
2 実験装置・手順の説明
「前にまとめた条件の他にも、誘導電流をたくさん発生させる方法はあります。是非とも、
それらを発見できるように装置の説明を良く聞き、たくさん発見をして下さい。」
(上:Cさんの学習プリント)
「学習プリントに実験装置が印刷してあるので、それに書き込めるようになっていますが、
これは何ですか。」
「そうです。検流計です。検流計の『流』は電流の流ですが、今日発生させる誘導電流はと
ても小さいので、それを検査するための装置が検流計です。とても敏感な装置なので、強力
な磁石を近付けないで下さいね。針が振り切れてしまったり、精度が悪くなったりしますか
ら。そして、この検流計につなぐものは、たった1つ、コイルです。検流計の端子は+−、
それぞれ1つずつしかありませんから、間違うことはありません。できる人は、コイルが巻
かれている方向まで調べて欲しいのですが、それについては難しすぎるのでやる必要はあり
ません。とにかく、検流計にコイルをつないで下さい。そして、コイルの中に磁石を出し入
れします。まず、N極を入れることにしましょう。そして、今度はS極を入れるとどうなる
か、検流計の針の動きに注目して下さい。それが出来た人は、誘導電流を大きくする条件を
確かめたり、まったく違う発見ができるように実験法方法を工夫して下さい。例えば、コイ
ルの中に入れるのではなく、コイルの外で磁石を動かすことも興味があります。また、コイ
ルの赤い+端子は1つしかありませんが、黒い−端子は2つあります。黒をよく見ると、
250と500と書いてあります。これは250回巻き、500回巻きを意味しているので、
端子を変えるだけで、先程の『コイルの巻き数を増やす』実験ができます。(後略)」
(上:検流計とコイルと棒磁石)
3 生徒実験
とても簡単な実験です。さっさと組み立て、実験させて下さい。発見したことは黒板に発表
できるよう枠を準備しておくと良いでしょう。
10分間実験させた後、発表された発見について確認します。以下に確認手順を示しますが、
事前に書かれてある内容を把握し、どの順序で説明すると理解しやすいか計画を立てます。そ
して、必ずまとめておきたい内容には、黄色いチョークでアンダーライン等を引きます。その
順序はクラスの雰囲気や発表された内容によって変わるので、状況に応じて判断して下さい。
<確認手順の例>
「実験を中断して黒板の意見について考えみましょう。時間はまだあるので、確認した後、も
う一度実験してもらうので早く席につきなさい。」
「さあ、必ずプリントにまとめて欲しい内容には黄色いチョークでアンダーライン等を書きま
すので、みなさんも必ず書いて下さい。もちろん、書き方は違っても内容が同じなら、書き直
す必要はありません。では、まず一番左上を見てみましょう。『入れたままだと、すぐ0に戻
った。』この意味は分かりますか。発表したH君、説明して下さい。」
=== H君の説明 ===
「分かりましたね。コイルの中に磁石を入れたままにすると電流が発生しない、という意味で
す。これと同じ発見をして、自分のプリントにまとめてあった人は手を挙げて下さい。」
「はい、大変よろしい。」
=== 中 略 ===
「次に、右上に『磁石を入れると+になり、磁石を抜いたら−になる』とありますが、これは
半分だけ正解です。その意味が分かる人はいますか。」
「・・・」
「では、ヒントを差し上げます。全く逆の結果になった班はいませんか。つまり、磁石を入れ
たら−になった班?」
「はいはい、いますねえ。つまりです。+−はコイルの巻き方も関係しているので、単純に『
N極を入れたら+』とは言い切れませんが、『磁石を動かす方向を逆にすると逆になる』。こ
れは間違いありません。このことについて、まだ実験していない班は、必ず後から実験して下
さい。」
(上:実験途中に発表された生徒の発見)
4 発電機について
ゼネコン(発電機)の演示実験をさらさらっとし、簡単にまとめて本時終了
(上:手回し発電機に『豆電球』を接続して発電する)
生徒から「先生、携帯電話の充電器にも同じのがあるよ。」と声がかかった。
(上:このように複数のゼネコンを接続すると、かなりマニアックな動きをする。)
試して下さい。絶対、はまります!!
授業を終えて
かつては誘導電流の方向まで教えた。その指導方法は困難を極めたが、その方法を苦心して編み出したことが懐かしい。それは、Mr. takaによって『いやよの法則』と命名され、フレミングの左手の形を『右手』で作ることによって調べられた。これについても記述し、後世に残そうと考えいるが、またいつの日か・・・1834年 レンツの法則(いやよの法則)
<参考>
授業記録実験11誘導電流(2000年度、中2物理)
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