このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察7 アフリカツメガエルの一生
              
                2004 4 30(金)
                第2理科室

 動物の発生を研究する材料として有名なアフリカツメガエルを購入した。業者に納入価格を問い合わせると、1匹1800円。いくら何でも高すぎる。もっと安いものはないかと尋ねると、体長3、4センチの子どもなら1匹180円だと言うので、20匹購入した。学校に到着してから、3週間経過したが、『亀の餌』しか与えていないからだろうか、ひと回り半ぐらいしか成長していない。なお、大人のアフリカツメガエルについては、2000年の実践『観察1アフリカツメガエル』を御覧下さい。

 <本時のねらい>
 これまでに学習した通常の細胞分裂(体細胞分裂)と比較しながら、受精卵が杯になるまでの細胞分裂(発生)を学習する。着目させるポイントは、細胞の数と大きさ。アフリカツメガエルが産卵した日には急遽授業内容を変更し、発生の観察に入る。早くその日が来ないかな。

(上:隠れ家として大量のオオカナダモを入れた。安心して生活しているようだ。水面に浮いているのは生徒が持ってきてくれた『亀の餌』で、両手を使って食べる仕草が愛らしい。)


<授業の流れ>
1 アフリカツメガエルの配付

 実験室に来た班から蛙を配付した。キャーキャー泣叫んで廊下に座り込む生徒から喜んで素手で掴まえる生徒まで反応は様々であるが、可哀相なのは蛙で、彼らは巨大生物の登場に逃げまどうばかりである。どうか静かに観察できないものかと真剣に指導しなければいけない。
 <配付するもの>
 ・ アフリカツメガエル1匹
 ・ オオカナダモ4、5本
 ・ バットと水

2 アフリカツメガエルの紹介
 特徴を簡単に紹介し、10分間スケッチさせた。尚、実験用のアフリカツメガエルは少なくとも3種類いるが、詳細は他の紙面に譲る。

3 発生(受精卵から杯になるまでの細胞分裂)
<ポイント>
・ カエルは体外受精(抱接)であり、体内受精ではない
・ 発生では、『細胞の数が増える=細胞の大きさが小さくなる』
・ 胚(赤ちゃん:自分で食事をすることができない)が子ども(おたまじゃくし)になることを『孵化ふか』という
・ 子どもは自分で食事し、体細胞分裂を繰り返して大人になる
・ 体細胞分裂では、『細胞の数が増える→ 細胞の大きさも大きくなる』

・ 現行の学習指導要領では、胚の各段階(桑実胚、原腸胚、神経胚、尾芽胚など)を指導する必要はない。
4 本時のまとめ、感想

◎ 生徒の学習プリント




<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 A カエルに対して思いやりの心をもって観察・スケッチできる
 B 学習プリントを正確かつ丁寧にまとめられる

2 科学的な思考
 B 発生における細胞分裂では、細胞の大きさが小さくなることを指摘できる

3 実験・観察の技能・表現
 A アフリカツメガエルの特徴を詳しく観察・スケッチできる
 B アフリカツメガエルの爪や目の付き方等に注意して観察・スケッチできる
 B 動物の発生について、正しく図示できる

4 自然事象についての知識・理解
 B 発生では、細胞の数が増える度にその大きさが小さくなることを理解できる


授業を終えて
 カエルが怖いと泣きじゃくり、10分近く感情を暴発させている生徒を見ていると、私自身の感覚が異常ではないと心配になってくる。もちろん、カエルに対してそれ相応の体験を持っているなら事情は別だが、話を聞くとそうではない。ただ単に気持ち悪いから、大声で泣叫ぶ。友達が泣いているからつれて泣く。これは不勉強だと思う。

 逆のことも考えてみたまえ。カエルのことを可愛いと感じている人もいる。それに、自分が大切に思っているる犬や猫を気持ち悪いと泣叫ばれたら、どんな気持ちがするだろうか。犬や猫に対して不幸な過去を持っているなら事情は別だが、、、。

 確かに、手触りの良い毛が生えているカエルはいないし、名前を呼んでも近寄ってこない。私自身も嫌いだ。本当に、僕はカエルは嫌いだ(犬も嫌いだけど)。だけど、好きになろうと努力し、可愛い部分を見つけなければヒトとしての努力にかける。知性や知的好奇心や多様な友だちを認める姿勢を持っているなら、いつまでも泣叫んでいてはいけない。理科教師としての私は、感情をコントロールし、良さを見つけ、共存する方法を見つける術を教えなければいけない。

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