このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

振り子のもつエネルギー
       ―力学的エネルギー―

              
                   2004 7 7(水)
                   各教室

 ハンドボールにぐるぐるビニール紐を巻き付け、そこから紐を1本伸ばして天井から吊るせば、巨大振り子の完成です。ボールを行ったり来たりさせ、「はい、みなさん。ボールをしっかり見て下さい。どんなことが分かりますか?」と観察させます。

 生徒の中には、「先生、眠くなってきた。」と、瞬時に眠る生徒も出てきますが、本当に寝てしまう前に今日の学習をしましょう。

 ところで、下の動画は、振り子の位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、振り子がmr. takaの頭を強打するという仕事をする実験です。これは、授業後、私が敬愛する某I先生に御協力頂いてに撮影した命がけの授業の再演です。


(上:動き始めるまで少々時間が必要かも。画像12枚を使用)

 はて、エネルギーの授業の第1限に何を教えるか?
 散々迷った挙句、以下のようなmr. takaオリジナル・カリキュラムを組んだ。留意した点は、1)目に見えないエネルギーに興味を持たる方法(→振り子を使う)、2)多種多様なエネルギーを何に限定するか(→位置エネルギー、運動エネルギー、その他のエネルギーの3つにする)、3)概念になりやすいエネルギーを具体的な数値で捉えさせる(→新指導要領にはない『仕事の原理』を紹介する)、である。以上3点の学習順序を考え、次のような2時間完了の授業を組んだ。

第1限 振り子のもつエネルギー
・ 位置エネルギーと運動エネルギーの紹介
・ 力学的エネルギー保存の法則(位置E+運動E=一定)の紹介
・ 身のまわりにあるいろいろなエネルギーの発見
・ エネルギー保存の法則の紹介
第2限 仕事の原理
・ エネルギーと仕事の関係を考察する
・ 仕事の原理の紹介
・ 仕事の原理を確かめる

 てなことで、本時の授業(第1限)を初めますが、上の動画は見れましたか。


◎ 授業の流れ
1 振り子の紹介

 ボールにビニール紐を固定するときは、紐は1重に巻きにして、その上からセロハンテープでぐるぐる巻くようにする。多少滅茶苦茶になっても、遠くから見れば問題ありません。また、教室へ運ぶとき、犬を散歩させるようにして引っ張るとファンキーな動きをするので、授業とは全く関係なのですが、「先生、それなに?なに?なに?」と、生徒の興味関心は頂点に達します。

2 振り子を動かす
 何てことありません。天井から吊るして動かすだけですが、教室いっぱいに巨大な振り子が揺れ動くさまを凝視するのは、単純に面白いです。そして、もし、授業時間に余裕があるならニュートンが発見した『振り子の法則』を発見させると良いでしょう。本年度の実践では、2クラスのみ以下のようして授業を展開しました。
→ 振り子の法則を発見させるための実践例

3 エネルギーの紹介
・ 位置エネルギー(高さ)と運動エネルギー(速さ)の2つを紹介する
・ 位置エネルギーと運動エネルギーを合わせて、力学的エネルギーという

(上:A君の学習プリント)


4 エネルギー保存の法則
 ここで、振り子の高さに着目して、運動エネルギーと位置エネルギーを数値化します。予め、高さを10等分した点を学習プリントに印刷しておき、生徒に10個の振り子を書かせます。そして、1番高い位置にある振り子の位置エネルギーを10、1番低い位置にある振り子の位置エネルギーを0とさせ、その中間の位置のエネルギーの大きさを順に書かせます。

(上:Bさんの学習プリント)


 次に、違う色のペンで、運動エネルギーの数値を記入させます。1番高い位置の運動エネルギーは0(一瞬止まります)、1番低い位置の運動エネルギーは10(最大)となります。そして、その中間の高さにある運動エネルギーを書かせます。

 すると、運動エネルギーと位置エネルギーを足したものは10になり、合計が変わらないこと(力学的エネルギー保存の法則)を確認します。

(右:Bさんの学習プリント)



5 エネルギー保存の法則を体感する実験
その1 位置エネルギー→ 運動エネルギー
 
→ このページで冒頭で紹介したものです

その2 位置エネルギー→ 運動エネルギー
 → その1と同じです。大きさも同じなります。

6 実際の振り子の運動

 理想的な状態では、振り子は永久に運動しますが、実際の振り子はやがて止まります。それは、どうしてでしょう。

(右:Cさんの学習プリント)

7 エネルギー保存の法則
 最後に、力学的エネルギーに限定されたものから、全エネルギーにまで広げたエネルギー保存の法則を推測させます。

(上:Dさんの学習プリント)

◎ Eさんの学習プリント



<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 A エネルギー保存の法則の演示実験を、進んで手伝うことができる(ボールが頭に当る)
 B 学習プリントを正確かつ丁寧にまとめられる

2 科学的な思考
 B エネルギーとは、物体に対して働くことができるものであることを理解できる

3 実験・観察の技能・表現
 B 振り子の持つ力学的エネルギー(位置エネルギーと運動エネルギー)を数値化できる

4 自然事象についての知識・理解
 B 力学的エネルギー保存の法則を正しく理解できる


授業を終えて
 生徒にとって取りかかりにくいエネルギーを楽しく学習できたと思う。また、振り子の高さを10等分して位置エネルギーを数値化させることは、エネルギー保存の法則を理解させるのに役立った。実際の授業は、予想より速く展開し、授業時間にゆとりがあったので振り子の運動エネルギーを生徒にも体感してもらいたかった(ボールが頭に当るだけ)が、希望者はなかった。当たり前か!

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