このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 1年(2012年度)です |
第35時
実験11:二酸化炭素をつくって調べよう2012 9 13(木)
理科室はじめに
気体の学習2回目です。家庭から持参したものを使ってニ酸化炭素をつくり、石灰水を白く濁らせたりペットボトルを凹ませたりします。前時より実験時間を長くして、ニ酸化炭素に親しんでもらいます。他年度の実践
・ 二酸化炭素、酸素の性質 1年(2002年)
・ いろいろな気体 <二酸化炭素> 1年(1999年)
上:塩酸に大理石を入れ、発生したニ酸化炭素を水上置換法で集める、と同時に、
石灰水に息を吹き込み、炭酸カルシウムで白濁する変化を確認する班
本時の目標
1 ニ酸化炭素の特徴をまとめる
2 塩酸と家庭から持参したもを使ってニ酸化炭素をつくる
3 ペットボトルを使ってニ酸化炭素の水溶性を調べる準 備
生 徒 教 師
- 貝殻、卵の殻、サンゴ
- 入浴発泡剤
- 筆記用具
- 教科書、理科便覧、ファイル
- 本日の学習プリント (1/人)
- 塩酸(5倍に薄めたもの)
- 大理石
- 試験管(5本/班)
- 試験管立て
- ゴム栓、ガラス管、ゴム栓セット
- ビーカー
- ストロー
- 水 槽
授業の流れ
(0) 持参したものの確認
始業前に、持参したものを確認します。貝殻、卵の殻、大理石、サンゴ、入浴発泡剤などです。貝殻、卵の殻、大理石、サンゴの主成分『炭酸カルシウム』は、塩酸と反応させるとニ酸化炭素を発生します。入浴発泡剤は水に溶かすだけでニ酸化炭素を出します。
上:生徒が持参したサザエ、ハマグリ、サンゴ(1) 本時の内容紹介 (1分)
(2) ニ酸化炭素の化学式の紹介 (1分)
初めにニ酸化炭素の化学式『CO2』を確認します。これは日常的によく耳にする言葉で、ほぼ全員が知っています。ごく当然のようにまとめること、肩を張らずに流すことがポイントです。(3) 二酸化炭素の作り方 (10分)
ニ酸化炭素の作り方を教えてください! と問いかければ、たくさんの生徒が教えてくれるでしょう。作り方はいくつもあるので、クラスによってまとめる順序、まとめる方法は変わります。次の2枚の写真は、2つのクラスでのまとめです。
上:A組の場合
ニ酸化炭素は、人が物を燃やすことに発生する有害物質! という感じが出ていました。次に発表された意見は、人が呼吸して排出する物質としてのニ酸化炭素です。3つ目は教科書にある『塩酸+炭酸カルシウム』による作成です。ただし、『炭酸カルシウム』という言葉が初めから出てくることは少ないので、こちらから誘導するようにします。炭酸カルシウムという物質名を引き出すための発問例
A君から『塩酸とチョークでニ酸化炭素を作る』という方法を発表してもらいましたが、チョークの正しい物質名を知っている人はいますか? え、卵の殻ではありません。サンゴでもありません。大理石でも貝殻でもないですよ。・・・チョークの粉は、運動場に白いラインを引く時にも使ってるから、・・・そう! 石灰だけど、もっと正確に言うと、・・・石灰岩ではなくて、・・・白いカルシウムと化合した・・・、何とかカルシウムなんだけど、誰か知らないかな? うーん、どうしても出ないようなので、誰かチョーク箱にある成分表示を読んでください。
上:B組の場合
いきなり教科書通りの考えが出てしまいました。(4) ニ酸化炭素の性質 (3分)
上に紹介した2枚の写真にあるようにニ酸化炭素の性質をまとめました。もちろん、私から発表するのではなく、生徒から聞き出しました。(5) ニ酸化炭素をつくる操作、および、確認する操作の紹介 (5分)
私が演示している写真はありませんが、主なポイント2つを紹介します。Point1:石灰水に息(ニ酸化炭素)を吹き込む
さらっと先生が演示すれば、多くの生徒が興味をもって取り組みます。
上:単純な実験でも自分で行うことは重要です。Point2:水上置換法でペットボトルに集めるニ酸化炭素の量
ペットボトル一杯に集めると、ペットボトルを凹ませる実験は失敗です。ニ酸化炭素を溶け込ませるための水を入れておく必要があるからです。ボトル半分も集めれば、十分に結果がわかります。(6) 生徒実験 (25分)
(5)で操作ポイントを十分に解説し、生徒から出た疑問点を解決しておけば、スムーズに実験は進みます。
上:本日の実験装置
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左:卵の殻を袋に入れたまま叩き、反応しやすい大きさに変える生徒
右:硬い貝殻の下にハンマーの頭を置き、紙に包んだ貝殻を砕く生徒
上:手で持っていると、反応熱を感じる
上:実験に必要なものを板書しておくとよい.
上:塩酸+大理石、で発生するニ酸化炭素(7) ニ酸化炭素の水溶性を確かめる生徒
ニ酸化炭素を水を入れたペットボトルを密閉し、それを良く振ると、ペットボトルが凹みます。凹んだ量=水に溶けた量、です。
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上2枚:ニ酸化炭素の水溶性を確認する生徒
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上2枚:凹んだペットボトルを見せてくれた生徒達(8) 実験の考察、および、後片付け (5分)
上:A君の学習プリント(クリックすると拡大)
授業を終えて
実験時間を確保するため、ニ酸化炭素とは何か! について自由な発言を求めませんでした。しかし、ニ酸化炭素の作り方を求めた時、クラスによって全く違う意見が出ました。子ども達が理科という教科以外でたくさんのことを学んいることを知り、頼もしく思いました。堅苦しい授業はダメということです。私の仕事は、生徒から出された多様な意見を、誰もが納得する科学的なものに整頓することです。整理整頓は楽しいですね。note:石灰水に過剰なニ酸化炭素を加えた時、白い沈澱が消える反応
炭酸カルシウム(沈澱)が過剰なニ酸化炭素と反応し、水溶性の炭酸水素カルシウム(カルシウムイオンと炭酸水素イオンに電離)になるので、水溶液全体は無色透明になる。化学反応式などは実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』p.103参照。関連ページ
・二酸化炭素、酸素の性質 1年(2002年)
・いろいろな気体 <二酸化炭素> 1年(1999年)実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』
第3章 分 子 大気に含まれる物質 p.30 ニ酸化炭素をつくって調べよう p.34、p.35 気体の集め方 p.33 第6章 水溶液 石灰水をつくろう! p.102、p.103
考察10:酸素をつくって調べよう |
実験12:水素をつくって調べよう |