このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 1年(2012年度)です |
第50時
実験2 光の直進性と反射の法則2012 10 30(火)、 31(水)
理科室はじめに
レーザーポインターを使った全員クイズ、自宅から持参させた鏡を使った実験で『光の直進性』と『反射の法則』を学習する楽しい1時間です。日常的に経験していることですが、科学的な実験で新鮮な発見を得ることができます。その結果は、定規を使って学習プリントに作図してまとめさせ、全員の個別点検をして合格印を押します。盛り沢山の授業に見えますが、1時間でできました。なお、2002年度は同じ内容を2時間かけて実践しています。よくまとまったページなのでご覧ください。関連ページ
・実験1 光の反射の法則 1年(2002年)
・実験2 鏡にうつる像(虚像) 1年(2002年)指導上の注意
レーザーポインター、および、太陽光の危険性を十分に周知させる。とくにレーザーポインターは危険で、目の横から赤いレーザー光線を当てられた場合、その光を確認しようとして見つめてしまう場合がある。わずか数秒で失明にいたる可能性があること、網膜にある光を感じる細胞は損傷すると2度と戻らないことを確実におさえる。落ち着きがない生徒1人ひとりをチェックすることも必要。
上:片目を押さえ、鏡に写すことができる範囲を調べる生徒
本時の目標
1 自宅から小さな鏡を持参する
2 光の直進性と反射の法則を理解する
3 入射角と反射角を求めるために、法線が必要なことを知る
4 等身大を写せる鏡を、作図で求めることができる準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- 小さな鏡
- 三角定規
- 本日の学習プリント (1/人)
- 小さな鏡(演示実験用)
- レーザーポインター(同上)
授業の流れ
(0) 鏡の確認、暗幕の準備
始業前に、鏡を持参した生徒を確認します。また、早く来た生徒に暗幕をしめてもらい、電気を点灯しておきます。
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)(2) 全員クイズ:光の反射 (10分)
小さな鏡とレーザーポインターを使い、全員でクイズを行います。レーザーポインターは危険ですが、光の直進性、および、反射の法則を理解するために最適です。是非、正しい演示操作で安全に行ってください。教科書や本ではむずかしい空間認知能力を養うことができます。全員が正解するまで、楽しいクイズをくり返してください。
上:セロハンテープで黒板中央に小さな鏡を固定し、それにレーザーを照射する私
(この写真は、次の(3)が終ってから室内の電気をつけてA君に撮影してもらいました)
発問例
「小学校で、鏡で反射させた光で遊んだ人はいませんか? ・・・はいはい、やっぱりたくさんいますね。誰かの顔に当てて叱れた人はいますか。・・・これもやっぱりですが、中学生になったので、もう大丈夫だと思います。大丈夫だよね、A君! ・・・オーケー・サインが出たので、実験で誰かの目が傷つくことはないと思いますが、思わぬ事故の可能性もあるので、太陽光線を使う実験は十分に注意してください。さて、簡単なクイズしましょう。光がまっすぐ進む性質を使って、簡単なクイズを行います。黒板に鏡を貼ります。・・・(セロハンテープで固定してから)・・・この鏡に光を当て、その光がどこにいくか、当ててもらいましょう。正解だと思う方向を指差してください。
ところで、鏡に当てる光は、レーザーポインターを使います。・・・(危険性を十分に認知させてから)・・・小さな赤い光がわかりますか。ちょっと見難いので教室の電気を消しましょう。・・・(電気を消してから、再び点灯して、白い壁面に照射し)・・・これで見えるようになったと思います。※暗幕は始業前に閉めておきます。
では、練習してみましょう。(先生が右手を出してから)右手を出してください。・・・(全員が右手を出したことを確認してから)・・・(先生が人さし指を出してから)次に人さし指を出して、では練習問題です。南を指してください。・・・えっ、南は太陽がある方向ですよ! 間違っている人は間違いですが、小さく出している人も間違いとします。指だけでなく、腕をまっすぐにして、肩を動かしてください。はい、練習です。全員、南を腕を使って指しなさい!
第1問。(上の写真の位置に立ち、写真のように鏡にレーザーポイントを向けてから)先生がココから光を鏡に当てると、光はどこに反射でしょう! ・・・赤い光の点が当る場所を指差しなさい。はい、どうぞ! ・・・おや、いろいろ分かれていますが、答えは、ココです。(上の写真の場合、向って左上の天井の当る)・・・残念ながら、正解者はいなかったようですね。左に行くことは全員分かったと思いますが、斜下から当てたので斜上に反射すること、反射してから壁や天井に届くまでの距離を十分に計算できた人はいなかったようですね。次は、正解してくださいね。
第2問。(上の写真の反対の位置に立ち、もう少し下から照射する。)・・・(中略)・・・
第3問。(黒板から5m以上離れた窓際から照射する。)・・・(中略)・・・上記のようにして4問〜5問行うと良いでしょう。鏡の真下から当てる問題もあります。
なお、このクイズの目的は、『反射の法則は3次元空間で成り立つこと』を体感、理解させることです。そして、できるなら『3次元空間で入射角を考える場合、反射面を基準にできないこと。すなわち、反射面に垂直な線(法線)を基準にする必要があること』を理解させることです。この意味が理解できると、入射角と反射角の位置を間違えることはなくなります。
レーザーポインターを使って演示クイズを行う時の注意点
・反射光が生徒の目に入らないようにする
・ガラス器具、戸棚のガラス板に反射しないか予測して行う
・(3) 光の直進性、反射の法則をまとめる (5分)
(2)のクイズをうけて、光の反射の法則を図示し、まとめます。この法則の要点は『入射角=反射角』ですが、2つの角度を決めるために法線が必要なことを理解させることが最重要ポイントです。法線が必要な理由は『平面図』を見ているだけではわかりませんが、(2)の空間クイズを行った後なら理解できる可能性が高くなります。
上:反射の法則『入射角=反射角』を示した黒板
ポイントは、1番初めに法線を書くこと。(4) 反射の法則の練習問題 (10分)
学習プリントに印刷しておいた練習問題3問を解かせます。できた生徒は、席を立って先生の点検を受け、合格印をもらいます。実習時間は約10分として切りますが、間に合わなかった生徒は、次の(5)や(6)の合間を見つけ、いつでも合格印をもらうために席を立つことができます。
上:学習プリントの問題
→ 右下に合格印が押されている
指導のポイント
1:鏡は斜に配置し、印刷しておく
2:光源の位置A、B、Cを印刷しておく
3:その他は何も印刷しない
4:ヒントなしで作図実習させる
しばらくしてから、
5:法線を板書する(右図)
6:光源Aから矢印を示す(右図)
7:反射光をA’とする
8:分度器は使わなくても良いが、
定規は必ず使わせる. (5) 実験:持参した鏡に写せる自分の大きさを調べる (10分)
学習プリントに印刷しておいた以下の問題3つを解きます。
上:板書した問題と解答例(6) 全身像を映すことができる鏡を作図する (10分)
最後の作図問題です。学習プリントに印刷しておいた人の模式図を使い、最少サイズの鏡を作図させます。できた生徒は席を立ち、先生の点検を受けて合格印をもらいます。全員合格さることが先生の目標です。がんばってください。
上:合格したBさんの学習プリント
指導の手順とポイント
1:鏡(壁)と人物の距離は関係ない →(5)のQ2
2:鏡は大きさは1/2になる →(5)のQ33:壁に、頭頂と足の位置を書かせる
4:壁に、目の位置を書かせる
5:レーザー光で考えさせる
→ 目、頭頂、足の各部を見るために、それぞれにレーザーを置く
6:目から出た光は、(入射角0度)反射角0度で鏡で反射し、目に入る
(基準 = 目の高さ)
7:頭頂から出た光は、頭頂と目の中央で反射し、目に入る
8:足から出た光は、足と目の中央で反射し、目に入る
上:板書例(7) 本時の感想、発見、疑問 (5分)
上:E君の学習プリント
授業を終えて
3クラスとも生徒全員が合格印2つをもらうことができたと思います。良かった、良かった。次は自宅で復習してね。note1:法線(実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』p.89欄外から抜粋)
ある面に対して、垂直な線を法線という。法線は凸面でも凹面でも得ることができる。note2:垂線と法線
垂 線 (1) 直線lエル上にない点Pから、直線lに対して垂直(90度)な線
(2) 平面pピー上にない点Qから、平面pに対して垂直(90度)な線法 線 (1) 曲線mエム上にない点Rから、直線mに対して垂直(90度)な線
(2) 平面曲線qキュー上にない点Sから、直線qに対して垂直(90度)な線note:手鏡で、自分の目のサイズを計る
小さな手鏡で映せる範囲はわずかです。しかし、小さい鏡に映る自分の目のサイズを計れば、その2倍が実際の自分の目のサイズになります。鏡を両手で持ち、左右の指で目の両端を鏡に置けば、その2倍があなたの目の幅になります。
上:目の幅を計る方法を示した板書関連ページ
・実験1 光の反射の法則 1年(2002年)
・ 光の直進性
・ レーザーポインターについての注意(理科室で保管する)
・ 反射の法則:入射角と反射角(法線)→ 演示実験
・ 生徒実験
・ 法線は、凸面凹面でも得ることができる→ 口頭でさらさらっと)
・実験2 鏡にうつる像(虚像) 1年(2002年)
・ 人が全身を見るために必要な鏡の大きさ→ 作図によって求めさせる(距離とは関係ない)
・ その鏡で何cmのものが写せるか
・ 像、虚像について知らせる(ピアノで飛ぶ動作)
・ 2枚の鏡の角度を変えてうつる像の数などを調べる
(ある規則性は発見できるが、それが他の項目と関連しない)
・3学期中間テスト返却 1年(2002年)
・物理分野の授業計画実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
第5章 目で見る 光 直進する光 p.88 反射の法則 p.89
実験1 光の3原色 |
実験3 光の屈折 |