このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第49時
実験1 光の3原色

     2012 10 26(金)、29(月)、30(火)
     理科室

はじめに
 今日から物理学を学びます。2012年4月から完全施行される学習指導要領1年理科の内容は、光、音、静力学の3つです。これに準じて私の授業も、光→音→静力学、の順に展開することにしました。

 さて、中学になって初めての物理は、肩の力を抜いて楽しみたいと思います。とくに、学習塾で「物理は難しいぞ! とくに圧力、水圧、大気圧、浮力は大変だ。計算問題をがんばらなくはいけない」を話を聞かされたり難解な練習問題を解かされたりしている子どもに配慮しようと思います。光について考えるだけでなく、天井の蛍光灯を消して暗くした室内で、ムード満点の授業を展開しようと思います。

 なお、光と音は本質的に全く異なる事象です。詳細は別ページ『光と音に関するノート』をご覧ください。また、力の単位をN(ニュートン)にしました。これは文科省にしたがったからですが、13才の子どもに科学的な思考を通して力学の美しさ、楽しさをせためには、g重(kg重)を使うべきです。詳細は別ページ『静力学と動力学』をご覧ください。


上:微鏡用蛍光灯とセロファンで、レッド(赤)マゼンタに染まった理科室
 ※美術科の先生にどこまで学習しているか確認しておくこと!


本時の目標
・今日から物理学を学習することを知る
・光とは何か、多角的に考えてまとめる
・光の3原色と色の3原色を正しく理解する
・いろいろな光を混ぜ(加色し)、いろいろな色をつくって楽しむ

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 色セロファン(6色/班)
  • 顕微鏡用蛍光灯(1/班)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (5分〜10分)

 本時から物理学になること、光 → 音 → 静力学の順に学習することを知らせます。教科書の新章を開けてぱらぱらめくり、生徒の声を拾っても良いでしょう。教科書の目次を見て、およその学習内容をつかませたり、これまでに学習した生物学・化学との違いを紹介してもよいでしょう。

 いずれにしても、物理学に対して期待感を持たせることが重要です。各クラスの実態や反応に合わせてください。授業の基本、導入の基本はゆっくり慌てないことです。そして、本時は前半『光』について考えてまとめ、後半『光の3原色』を理解するために遊ぶ、ことを紹介します。

(2) 光とは何か  (10分〜20分)
 「光って何? 教科書に書いてあることでも構いませんが、教科書以上のことを希望します! できれば、幼稚園や小学校の子どもビックリする発想が良いです。みんなが、あっそうか! と、あっと驚く視点から光とは何か、その正体をとらえてみましょう。」

  以上のように導入すれば、クラスによって全く違う意見が飛び出します。それを先生がコントロールしながら黒板にまとめていきます。不足しているものは追加説明させ、友達が突っ込みを友達からの質問に変えます。最終的に、『光源』


上:A組の板書


上:B組の板書(クリックするとBさんの学習プリント)


上:C組の板書(クリックすると拡大)
 光は電磁波の一種ですが、これは初日にやるべき内容ではありませんでした。大多数の生徒はひいていました。


(3) 光の3原色と色の3原色 (10分)

 事前に、美術科の先生に相談しておきましょう。色の3原色は『マゼンタシアン』ですが、簡単に『』で教えている場合があるからです。光の3原色は『』です。


上:光『』と色『マゼンタシアン』の3原色

 実際に色を塗らせると良いでしょう。教室の電気を消して、マゼンタを灯す方法も効果的です。


上:マゼンタの違いに歓声をあげる生徒達

(4) 実習1:天井に、いろいろな色を反射させる
 いよいよ本番です。理科室を暗くして遊びましょう。実験台の上を片付け、顕微鏡用蛍光灯を中央に配置させます。蛍光灯を横に倒せば、光が天井に照射されるようになります。蛍光灯のあいた部分に『色セロファン』をのせれば、その光が溢れます。天井が白なら、完璧な反射光を楽しむことができます。蛍光灯は光源、白い天井は反射光を放ちます。


上:教師用実験台に準備した色セロファン(左からシアンマゼンタ
 ※残念ながら、はない。紫は不要だけれど配付した。


上:緑のセロファンだけを使った様子


上:シアンを使った様子

(5) 実習2:蛍光灯の上に、いろいろな光の色を重ねて遊ぶ
 蛍光灯の上に複数のセロファンを重ねます。色の3原色の確認です。それが終ったら、自由に重ねてみましょう。いろいろな色ができて、生徒達は大喜びです。なお、(4)と(5)の実習は入れ換えたり、同時進行させたりすることができます。


上:センス良くセロファンを配置する生徒達


上:ある班の完成作品


上:A組の様子


上:B組の様子

(6) 本時の感想、考察 (5分)
 たくさんの発見があった1時間なので、時間をたっぷりとりましょう。毎日の授業をゆったり始めることは基本(関連ページ『1時間の授業を作ろう若手教師のためのワンポイント・レッスン)』)ですが、今日は物理学初日のなので、とくに終りの時間もゆったりと! です。

○ 3人の生徒の学習プリント
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授業を終えて
 もっとも大切な目標『物理学や光にわくわくする』が達成できたのではないか、と思います。本当に達成できているなら、次の時間はもっと早く、理科室に飛び込んでくるでしょう。「全員、鏡を持ってくること! 大きさは何でも構いません。」と指示を出し、本時終了です。

note:先生と生徒の会話
 電気を消して真っ暗にした教室で「先生、何も見えない! 電気つけて!」、「電気はダメ。誰か光ってください。どこを光らせても良いよ。できたら君は、光源君です。光れる人は光ってください。」

関連ページ
光と音に関するノート
1時間の授業を作ろう若手教師のためのワンポイント・レッスン、別ウィンドーで開きます)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第5章 目で見る 光   光とは何か、振動数による電磁波の分類  p.84
 光源と反射光、光から見た物質や物体の分類  p.85
 光の3原色による色の合成  p.87

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