このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第60時
実験12 力を矢印で表す

     2012 12 4(火)、5(水)
     理科室

はじめに
 今日から静力学の分野に入ります。静力学という言葉は生徒に教えませんが、静力学は3年生で学習する動力学と対比できます。1年生で学習する静力学は、フックの法則アルキメデスの原理(圧力・水圧・大気圧・浮力)の2つに要約されます。多くの教科書が発展として取り上げているパスカルの原理(密閉容器内の圧力)は同時に学習するべき内容です。さらに、2012年度完全施行の学習指導要領で3年に学習することになった仕事(てこ)の原理は、フックの法則の次に配列する内容です(私の実践記録『仕事の原理3年(2004年)』)。

 さて、頭の痛い話はさておき、今日は力について自由な考えを出してから、力を人類最大の発明の1つ『矢印』で表してから、力の一例として垂直抗力を取り上げます。垂直抗力を正しく理解することは大変なので、習うより慣れよ! 初回から垂直効力を学習したいと思います。

関連ページ
実験15 いろいろな力 1年(2002年)
実験4 いろいろな力 1年(1999年)
いろいろな力(続き) 1年(1999年)
力を矢印で表わす 1年(2002年)
力を矢印で表わす 1年(1999年)


上:いろいろな力を考え、学習プリントにまとめたり黒板に発表したりする生徒達


本時の目標
 自然界には、いろいろな力があることにきづく
 力の三要素を理解する
 力を矢印で表す
 重力と垂直抗力を正しく図示する

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 定 規
  • 本日の学習プリント (1/人)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

(2) 力とは何か         (10分)
 力を英訳すると、フォースとパワーがあります。これらのうち、これから学習する力はフォースであること知らせてから、力に関する言葉を自由に発表させます。その中から、理科で学習する力を取り出すことで、力にはいろいろな種類があることを学びます。

指導上のワンポイント
 いろいろな力の例を出させるときは、初めに挙手で発表せると良いでしょう。それを参考にして、幅広い視点から力の例を挙げることができるようになります。

 下の写真のクラスでは、イカロス・フォース、ナノ・フォース、筋力の3つを出してから、自由時間にしました。また、別ページ『実験4 いろいろな力 1年(1999年)』も生徒の考えを引き出すための工夫があります。

上:いろいろな力を発表に来た生徒

 理科で使う力を取り出す作業は困難です。理由は2つあります。1つは生徒の発想が豊かなこと、もう1つは力の概念が曖昧なことです。したがって、明確に区別できるものはマル・バツにしますが、曖昧なものはサンカクで構いません。

上:A組の板書


上:B組の板書


上:C組の板書(クリックすると拡大)

(3) 力の三要素
 力には3つの要素があり、それらは1本の矢印で表すことができます。矢印は優れて人類の発明の1つです。


上:力の三要素、および、矢印で表したとき

(4) 実習1:重力を矢印で表す
 物体の中心に点(重心)をとり、そこから真下に長さ2cmの矢印を書かせます。重力です。単位はあえて書きません。本時のねらいは、重力という力が矢印で表現できること、矢印は長さと方向と作用点を持つことを知ることです。

(5) 実習2:重力で生じた『垂直抗力』を矢印で表す
 物体を机の上に置くと、垂直効力が発生します。これは、ニュートンの運動の第3法則『作用反作用の法則』です。これを理解するのは大変ですが、力は必ず対になっています。

垂直効力を指導するためのワンポイント
1 ヒトの重心:丹田
(たんでん)
 重心は、重力という力の作用点=矢印の始まりの点、です。円の重心は円の中心と同じです。中学1年の物理で重心を正確に求めることはありませんが、簡単に触れる必要はあるでしょう。下のB君の学習プリント右上を見てください。円、ハート型、長方形の重心を紹介しています。


上:B君の学習プリント

 また、ヒトの重心として丹田を紹介したクラスもありました。運動やスポーツが好きな中学生にとって興味ある内容です。

2:机に置いた物体に発生する垂直抗力
 垂直抗力は、物体を机に置いた途端に発生します。その大きさは重力と同じ、その方向は正反対です。ただし、作用点の位置が違います。


上:重力の作用点は重心垂直抗力の作用点は物体と机の接点

3 垂直抗力に関するまとめ
 今年度は、以下のようにまとめました。


上:A組の板書


上:B組の板書


上:C組の板書(クリックすると拡大)

(6) 本時の考察

○ 生徒3人に学習プリント
.


上3枚:生徒3人の学習プリント


授業を終えて
 始業前は「物理嫌だ!」といっていた子どもも、終了時には楽しいそうな顔をしていました。次はフックの法則ですが、この楽しさが持続するようにがんばります。1年生で学ぶ静力学は、すべて身近な物理現象であり、簡単な装置で検証実験できます。重力単位系の g重という単位を使えば、単位変換や計算で混乱しません。最後まで楽しく、身近な静力学現象を数学的に説明することができる楽しい分野です。みんなの力を合わせて、中学生の物理学的思考力を育てましょう!

note:静力学と動力学 - 力の単位は g重 を使うべきである -
静力学 動力学
フックの法則
仕事(てこ)の原理
(アリストテレス)
アルキメデスの原理(圧力・水圧・大気圧・浮力)
パスカルの原理(密閉した容器内の圧力)
ニュートンの運動の3法則(古典力学)
(1) 慣性の法則
(2) 運動方程式 F=ma
(3) 作用反作用の法則

・1、2年生で学習すべき内容
・力の単位は、重力単位系のg重を使うべき
・質量の単位は、国際単位系のgを使う

・静力学の学習だけなら、重力単位系のg重 を使った方が、生徒の科学的思考を養える。これは、古い学習指導要領にもとづいた私の授業実践から明らかである。とくに、水圧や浮力は単純明快に理解できる(例:実験6水圧1年(1999年))。

・国際単位系のは、静力学の最後に 100g重=1N を知らせれば必要十分。古典力学(静力学と動力学)のNや力の概念は、国際単位系にもとづく現代物理学の欠点の1つであることを指摘した上で、100g重=約0.980665N、1N=約0.102g重と知らせても良い。

・国際単位系のNは、F=maが理解できなければ価値がない。現在の日本の教育レベルは、中学生3年生で加速度a(距離÷時間÷時間)を十分に指導できない(微積分に他ならない)。数学で加速度を確実に指導できたなら、理科で力=質量×加速度(F=ma)を指導できる可能性が見えてくる。

・3年生で学習すべき内容
・数学で二次関数(放物線)を学習した後に配置
・微積分は、16世紀にニュートンが運動の3法則を説明するために創造した演算方法
・観測者の位置が重要(相対性理論へつなぐことができる)

・現在の日本は、ニュートンの運動の3法則で力や力の単位を扱わない。もっとも重要な運動方程式 F=ma を指導できないレベルだが、数学とリンクすれば可能性はある。私は何度もトライしたが、理科の限られた時間だけでは不可能だった。

・運動方程式 力=質量×加速度 を理解できた時、慣性の法則や作用反作用の法則の本質がみえ、天才ニュートンと同じ感動を味わえる。

・物体を落下させて放物線を求めるだけの実験学習は3年生にとって物足りない。g重を使った圧力と浮力の関係を学習した方が、理解できた時の歓びが大きい。学習内容だけでなく、子どもの発達段階に合わせたカリキュラム編纂を求める。


※続きをお読みになりたい方は、別ページの『重さと質量に関する提案』をどうぞ!

関連ページ
実験15 いろいろな力 1年(2002年)
実験4 いろいろな力 1年(1999年)
いろいろな力(続き) 1年(1999年)
力を矢印で表わす 1年(2002年)
力を矢印で表わす 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第2章 静かな
 力のつりあい 
 力を矢印で表す   p.18
 垂直抗力   p.19

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