このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 1年(2012年度)です |
第63時
実験15 重さと質量の違い2012 12 10(月)、11(火)、12(水)
理科室はじめに
みなさんは、重さ(g 重)と質量(g)の違いを説明することができますか? 本時の目的は、大人にとっても難しいこの2つを正しく理解することです。とくに、重さ(g重)の概念は難しく、中学生にとってぎりぎりです。ごく簡単に説明すると、(地球上の物体の)重さ=地球と物体が互いに引き合う万有引力、であり、その大きさは1gにつき1g重です。これは重力単位系による考え方で、中学生でも感覚的に理解できるものだと思います。
重さと質量に関する提案
重さの単位を g重(重力単位系)、質量の単位を g(国際単位系)にすることを提案します。この提案は2つの異なる単位系を混在させることになり、科学的思考を養えないように感じます。しかし、子どもの発達段階や数学科との関連を考えたとき、感覚的に納得できる重量単位系のg重と国際単位系のgを混在させるべきです。2つの単位系の意味や接点を理解できたとき、はじめて力(g重、N)の概念の1つとしての『重さ』がある程度理解できます。そもそも、重さや力の単位Nは、国際単位系の基本単位ではありません。基本単位の質量g、距離m、時間s、によって組み立てられる組立単位で、N=g×m÷s÷s、です。組み立てられた意味を理解できなければ、宝の持ち腐れです。2012年度完全施行の学習指導要領は力の単位としてN(国際単位系)を使うように示していますが、はっきり申し上げますと、無理です。数学科と理科が学習指導の責任を押しつけ合う問題でもありません。文部科学省の提案が自然の摂理に反しているだけです。関連記事をお読みになりたい方は、note『静力学と動力学 - 力の単位は g重 を使うべきである -』『ニュートン力学 -ガリレイの相対性理論-』などをご覧ください。
関連ページ
・重さと質量 1年(1999年)
上:重さと質量を対比させた板書
本時の目標
1 重さとは何か、考える
2 万有引力について感覚的に理解する
3 物質そのものの量は、質量(g)であることを知る
4 100g=1N、として計算する
5 重さと質量の違いを指摘する準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- 本日の学習プリント (1/人)
授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)(2) 重さは何か (10分)
重さとは何か、生徒に自由な考えを求めました。生徒に内緒ですが、ニュートンが発見した万有引力の関係が出てくると面白いな、と思っていました。次に、3クラスの意見を紹介します。
上:A組の意見
<コメント>
(2)下にず〜ぅんといく感じ、(3)手のひらに乗せたときに下にず〜ぅんといく感じ、が良かったなあ。(4)全ての物体にある、も感動的な考えだった。(5)重さの単位は、私から生徒へ発問しました。学習塾で教えてもらっているからでしょう。すぐにニュートンという答えが返ってきましたが、全く面白くないので、英語の授業のように発音練習をしました。「にゅーとん、にゅーとん、にゅーとん、にゅーとん、にゅーとん」かなり、くどくくり返したので、印象的に覚えて頂けたのではないか、と思います。万有引力ついては、(2)で「どうして、下にいくのかな? 上ではいけなのかな?」などと発問すれば誘導することができます。
上:B組の意見
<コメント>
(2)の地球の中心方向にかかるのは何故?、月面で1/6になるのは何故?、などと発問すれば万有引力に誘導できます。
上:C組の意見(3) 重さと質量の比較
(3)の重さと質量の比較は、次の(4)の万有引力の法則、と入れ替えて実施したクラスがあります。生徒の理解度を優先させました。
質量を指導するときのポイント
1 質量は、とても分かりやすいことを強調する
2 質量の単位は、g(kg、mg)などがあることを知らせる
3 国際単位系の基本単位はkgであるが、とくに触れなくて良い
4 1kgの基準となる『キログラム原器』については、とくに触れなくて良い
5 無重力状態の宇宙空間で、てんびんを使って測定することはできない
6 5で測定するためには、物体そもののの動かし難さを利用する
上:A組の板書重さを指導するときのポイント
1 重さは、物体と地球が引き合う力(引力)であることに触れる
2 その単位はNとする
本当はg重にしたいのですが、泣く泣くNで指導します
3 ばねばかりや電子てんびんは重さ、てんびんは質量、を測定する器具(4) 万有引力の法則
万有引力の法則は、ニュートンが発見したものです。基本的な考えは、『万物は互いに引き合っている』というものです。地球とリンゴは互いに引き合っていますが、リンゴは地球外にあっても同じように引き合っています。地球と月、地球と太陽も同じように引き合っています。
上:万有引力を説明するためのB組の板書(5) 質量(g)と重力(N)の関係
難しいことは何も知らせずに、100g=1N、としました。無理矢理覚え込ませるわけです。中学1年生が思考しながら成長しなければいけないことは、他にたくさんあるからです。
上:質量(g)と重力(N)の関係
単位Nを指導するポイント
1 具体的な数字をどんどん出す
2 gからNへ、Nからgへ、さっと変換できるようになれば完璧!
3 Nに対する拒否反応ではなく、大好き反応が出るようにする
4 簡単簡単、と何度もつぶやきながら指導する
5 にゅーとん、にゅーとんと連呼する。
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上2枚:F君とG君の学習プリント
授業を終えて
少しでも万有引力と重力に興味を持ち、理解を深めてくれれば幸いです。関連ページ
・重さと質量 1年(1999年)実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
第1章 量と単位 国際単位系(SI単位系) p.8、p.9 体重と万有引力 p.15 シーソーで質量を量る p.16 重さと質量の比較 p.17 実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学』
第1章 宇 宙 万有引力とブラックホール p.9
実験14 輪ゴムで身近なものの質量を量る |
実験16 静電気の引力と斥力 |