このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第62時
実験14 輪ゴムで身近なものの質量を量る

     2012 12 7(金)、10(月)
     理科室

はじめに
 前時と同じ実験なので、簡単な補足説明をしたらすぐに実験開始です。

このページのタイトルについて
 正確なタイトルは『輪ゴムで身近なものにはたらく重力(g重、N)を測る』です。あえて質量にしたのは、重力の単位Nを使うことで生じる不要な混乱を避けるためです。

関連ページ
フックの法則(ゴム) 1年(1999年)


上:輪ゴム2個を連結させ、伸びる割り合いを測定する生徒達


本時の目標
 何種類かの輪ゴムを持参する
 輪ゴムに加える力と輪ゴムの伸びの関係をグラフにする
 2で求めたグラフを使って、身近なものの質量を求める
 弾性のある物質なら、何でも力の大きさを測定できることを確認する

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • いろいろな種類の輪ゴム
  • 定 規
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • ばね2種類
  • 20g 分銅 (10個/班)
  • 1m 定規
  • 鉄製スタンド
  • つまようじ(マッチ棒で代用可)

授業の流れ
(0) 始業前:実験準備
 前時と同じ実験なので、理科室に移動してきた生徒から準備を始めるように指示します。

(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
 席を移動して器具を運んでいる生徒がいなくなった頃合を見て、始業の挨拶、本時のレイアウトを示します。

(2) 輪ゴムを使うときの工夫、注意点  (4分)
 実験操作の基本的な説明は省略し、ゴムを使うときの注意点を紹介します。


上:A組の板書

輪ゴムを使うときの工夫、注意点
 良いデータを得るための工夫をする
 輪ゴムを2個連結させれば、伸び(cm)は2倍になる
 輪ゴムを固定する部分で、誤差が生じやすい
 初めにいくつかの分銅を吊り下げ、輪ゴムを伸ばしておく


上:初めにある程度の力をかけないと、原点を通らないことを示した板書

(3) 生徒実験:輪ゴムで調べるフックの法則
 前時よりもさくさく取り組んでいました。


上:黄色と赤色の輪ゴムを連結させて実験する生徒


上:大量の分銅を吊り下げて何を調べているのかな?

(4) 輪ゴムの実験で得られたグラフを使って、身近なものの質量を測定する
 各班のグラフが出揃ってきたところで、輪ゴムを使って身近なものを測定する方法を紹介します。以下は、その説明例です。

 「輪ゴムのデータが出揃ってきたようなので、グラフの書き方をもう一度確認します。

 定規を使って、きちんと折れ線グラフでかけた人はいますか? ・・・はい、その人は間違いです。残念でした! 正確で理想的な実験なら、フックの法則により一直線になります。ただし、実際の実験データは、よく考える必要があります。ほぼ一直線なら、原点を通る平均的な直線を引いてください。もし、1つだけ大きく外れているなら、その点だけ無視してください。はじめの部分、あるいは、終わりの部分がおかしい人は、ゴムの伸びが比例していないわけですから、そこはフックの法則が成り立っていません。つまり、そこはグラフにしてはいけない部分です。使えない部分です。

 これから身近なもの、例えば、メガネや筆箱をぶらさげます。輪ゴムの伸びを調べれば、グラフからメガネや筆箱の質量がわかるわけです。例えば、A君のメガネを測定してみましょう。A君、ちょっとメガネかしてくれますか。(A君からメガネを借り、それを輪ゴムに吊るして、)A君、輪ゴムは何cm伸びましたか? ・・・ サンキュー、5.4cmですね。次に、グラフで輪ゴムの伸びが5.4cmのときの分銅の質量(g)を読み取ると、(下の黒板を使って)(縦軸に5.4cmと板書し、矢印、破線を書きながら、)ここでグラフにぶつかったので下に降りると、(下方向に破線を書くながら、)68gになります。


上:輪ゴムのデータから、身近なものの質量を測る方法を示した板書

 次に、輪ゴムで測定した68gが正確かどうか、電子てんびんで確認します。電子てんびんは、先生用実験台に3台用意しておきます。輪ゴムで質量が測定できたら、量りに来てください。誤差が10%以内なら、合格とします。全ての実験結果は、黒板に発表してください。何か質問はありますか? では、始め!」


上:筆箱についていたマスコット


上:定規をうまくひっかけて測定中


上:電子てんびんでセロハンテープの質量(g)を測定
 → 正しくは、電子てんびんで測定できるものは『物体にはたらく重力の大きさ(g重、N)』

.

左:重い筆箱を量るために、電子てんびん3つを使っている様子
 → 電子てんびん3つの数量を合計すれば良い
右:手前の電子てんびんで『無色透明の定規』を計測中、奥2つは『重いもの』のためにスタンバイ中


上:測定結果を発表に来た生徒達


上:同上。実物を添付する班もある。

(5) 先生による実験結果の点検、考察
 生徒が黒板に発表した実験結果を点検し、輪ゴムと電子てんびんの誤差が10%以内なら合格とします。生徒のなかには、誤差の大きさだけで比較する生徒がいるので注意してください。誤差の大きさは、誤差の割合(%)で比較させます。


上:A組の測定結果
 一番上のシャープペンシルの誤差は2g、その下のメガネの誤差は2g。同じ2gですが、メガネ方が良い実験をしたことがわかります。これを説明するために、より正確な実験例として誤差2g(950gと948g、表最下段)を紹介しました。

(6) フックの法則のまとめ直し
 比例する割り合い(グラフの傾き)が判れば、輪ゴムで力の大きさを測定できることを確認します


上:B組の板書

(7) 後片付け、考察

.

上2枚:EさんとF君の学習プリント


授業を終えて
 もっといろいろな物をぶらさげてくれるのではいか、と思っていたのですが、意外に大人しい生徒達でした。それでも実験結果に満足してようなので、嬉しかったです。

関連ページ
フックの法則(ゴム) 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第2章 静かな
 力のつりあい 
 力を矢印で表す   p.18
 フックの法則   p.20、p.21 
 石やはさみにはたらく重力を求める実験   p.21
 グラフの書き方  p.21欄外

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実験15 重さと質量の違い

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