このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第69時
実験21 水圧と浮力の関係を矢印で表す

     2013 1 9(水)、11(金)
     理科室

はじめに
 水圧は単位面積あたりにはたらく力、浮力は物体全体にはたらく力です。したがって、単位面積あたりの力を合計すれば、全体の力を求めることができます。わかったようなわからないような話ですが、図示するば一目瞭然です。一緒に考えてみましょう。

 私の目標は、2つの水槽に沈めた物体にはたらく水圧と浮力と図示、全員点検、合格させることです。合格した生徒から順に、前回と同じ実験装置を使って浮力の大きさの測定させます。できる班は、吸盤を使って水槽の底に滑車を固定し、密度1g/cmより小さい物体(木)の浮力を測定させます。

上:


本時の目標
 立方体にはたらく水圧を浮力を図示する
 直方体にはたらく水圧と浮力を図示する
 水圧と浮力の関係を理解する
 密度が1g//cmより小さい物体(木)の浮力を測し、アルキメデスの原理が成り立つことを確かめる

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 浮力 測定用の物体
  • 100g重(1N)ばねばかり
  • 200g重(2N)ばねばかり
  • 大型の水槽
  • 浮力測定用 吸盤付き滑車

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介  (1分)
 学習プリントに印刷された2つの水槽内の物体にはたらく水圧と浮力を書きます。1つは立方体、もう1つは直方体です。正しく書けた生徒から順に、前回と同じ実験装置で浮力を測定します。前回は、水に浮いてしまう木の測定ができませんでしたが、今日は吸盤を使って測定します。

(2) 水圧と浮力の確認  (10分)
 水圧は『深さ』、浮力は『体積』でだけで決まることを確認しました。下図は、3ララスの板書です。


上:A組の板書
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上:B組の板書


上:C組の板書(以下の作図1:立方体にはたらく水圧と浮力 を含む)

(3) 作図1:立方体にはたらく水圧と浮力  (10分)
 作図1は、立方体にはたらく水圧と浮力を図示します。それぞれの色を決めますが、授業では圧力を、浮力をにしました。この色は作図2と統一します。


上:4段階に変えた深さにある立方体

立方体にはたらく水圧浮力のを図示させる手順とポイント
 水槽の深さの目盛りの単位は1cmであるが、あえて書かない
 立方体は1辺1cm、単位面積1cm2、体積1cm3する
 → ただし、単位はあえてかかない
 立方体は立体であるが、この図は平面
 この図では、4つの面(1cm2)について考える
 4つの面の中央に、ちいさな点を打つ
 その点に、水の力がはたらくものとする

単位を書かない理由
 1、2で単位を書かないのは生徒の混乱を防ぐためである。国際単位系を使う限り、混乱は避けられない。ししか、重力単位系g重を使用できるなら、単位を書いた方が良い。生徒はより科学的に素早く理解することができるだろう。この図の結論は、次のようにまとめられる。
面積1cm
2 につき1g重の力(圧力)
体積1cm
につき1g重の力(浮力)

 左端の立方体にはたらく力(圧力)は次の通り
 上面:ゼロ
 
側面:物体の中心向き0.5cmの矢印
  ※0.5g重(0.005N)と書きたいが、あえて単位は省略
  ※この図は左右の側面だけを表しているが、手前面と奥面も同じ
 底面:上向き1cmの矢印
 の矢印(力)を合計したものが浮力(上向きの1cmの矢印)
  ※近い将来、体積1cm=浮力1g重、と教えたい!
  ※1999年度はg重で教えることができました(記録:
水圧その2 1年(1999年)

 その隣の立方体にはたらく力(圧力)は次の通り
 上面:下向き0.5cm矢印
 側面:物体の中心向き1cm矢印
 底面:上向き1.5cm矢印
10
 の矢印(力)を合計したものが浮力(上向きの1cmの矢印)

11 残り2つの立方体は、同じように考えて書かせる


上:板書例

(4) 作図2:直方体にはたらく水圧と浮力  (10分)
 作図2は、直方体にはたらく水圧と浮力を図示します。圧力は、浮力は、これらの色は作図1と同じす。


上:縦に入れた直方体と横に入れた直方体

直方体にはたらく水圧浮力のを図示させる手順とポイント
 単位面積1cm2、の中央に小さな点を打つ
 その点に、水の力がはたらくものとする

 縦位置の直方体にはたらく力(圧力)
 上面:下向き0.5cmの矢印
 
側面:物体の中心向き1cm、2cm、3cmの矢印
 底面:上向き1cmの矢印
 ※この図は左右の側面だけを表しているが、手前面と奥面も同じ
 ※側面の力は、すべて打ち消し合う
 ※斜向きの力も同じように打ち消し合う
 の矢印(力)を合計したものが浮力(上向きの1cmの矢印)

 横位置の直方体にはたらく力(圧力)は、同じように考えて書かせる

(5) アルキメデスの原理の再確認
 下図のようにアルキメデスの原理をまとめ直しました。


上:作図1と作図2から、アルキメデスの原理をまとめた板書
『体積1cm3につき、質量1gの水にかかる重力と等しい大きさの浮力が生じる』

(6) 検証実験:木の浮力を測定する (25分)
 ここから、授業後半へ入ります。前時、測定できなかった木製の物体(大、小)など、6つの物体の浮力を測定します。同じ手順なので、手際良く準備できますが、今回追加される実験装置は、水に浮く『木』を水中に沈ませるための吸盤付き滑車です。


上:水槽の底に固定した滑車に糸をかける様子

実験のポイント
 水をたくさん入れないと、木を沈めるための深さが足りない
 さらに、滑車を倒せるなら倒して、深さをかせぐ
 滑車に糸をかけないと、誤差が大きく使えないデータになる
 ばねばかりを水に濡らして場合は、先生に申し出て乾かしてもらう
 下に沈ませるための力は、−(マイナス)として記録する


上:測定値を-(マイナス)  g で記することを示した板書


上:前時の学習プリントに記録された測定結果
(右ページの下から2つめ、木(大)の測定値をみると、初めの重力は18g分、滑車を使って全部沈めたときの力は-22g分なので、18g- (-22g)= 40g分の浮力が発生したことになる。したがって、浮力40g重=体積40cm3となり、アルキメデスの原理が成り立つ)

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左:縦長の水槽を使った実験(糸をかけるのが難しく、お勧めできない)
右:楽しく正確に実験する様子


上:吸盤付き滑車、糸、水に浮く物体


上:実験装置をセットしている様子

(6) 後片付け、考察 (4分)


上:E君の学習プリント(左右それぞれのページに記されているAAは、水圧と不慮うく関係を正しく表した合格印)


上:F君の学習プリント


授業を終えて
 楽しい作図、および、実験ができました。次の時間は、大気圧を調べます。アルミ缶を使った実験をするので、自宅から持参するように指示しました。できればスクリュー栓のついたアルミ缶、なければ栓付きペットボトルでも構いません。

関連ページ
水圧その2 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
 第章 静かな
  力のつりあい 
 アルキメデスの原理   p.38、p.39 
 よくある重力と浮力の実験   p.40、p.41 

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