HomeMr.Taka 中学校理科の授業記録1年(2016年度)

第3時
観察3:花の一生(種子植物)

     フジの花の観察

     2016 4 20(水)、21(木)

本ページは授業直後に書いたメモを書きおこしたものです。文章だけのものですが、私の記録形態としてはめずらしいものの1つです。画像中心が多いので・・・

本時は前後半に分かれる。
前半25分は種子植物の花のつくり、
後半25分はフジの花の観察。

前半:種子植物の花のつくり

例年通りで問題なし。
まず、雌しべの柱頭を書き、花柱、子房、
そして、胚珠と卵を描く。

次に、葯と花糸を描き、花弁、がくの順に描く。

次に、右半分に雄しべ・花弁・がく、それぞれの基部を描く。

ポイント1
それぞれの特徴を説明しながら、鮮やかに一気に描く
描きながらいくつかの語句を話してしまっても良いし、後から質問することを予告しておいても良い。
その日の気分や時間によって変えれば良い。
今回は、授業後半にフジの花の解剖を予定しているので、さくさく行った。

柱頭という言葉を知っている生徒は3人程度、
花柱は1、2人、子房は5人。
なぜ、5人も子房を知っているのか未調査であるが、
学習塾ではなく家庭で学習している生徒の方が多いような気がする。
「塾で教えてもらったの?」と言っても、んんん、違う、と答えるからだ。

ポイント2
子房と胚珠のところでは色塗りをさせる。
これは2つの区別をさせる上で、非常に重要な手順だ。
必ず行わせたい色塗りだ。

そして、それらの名称を確認する。
名称は生徒に板書させる。
つまり、空欄を作り、自由に席を立って板書させる。
必ず先生が押さえておきたいものは、よみがな
あらかじめ、空欄の上にふりがなを書いておく方法もよい。
子房や胚珠のように、比較的わかり難いものや難しい漢字の場合は、ふりがなを先に示しておいた方が、学習効果が高い。

次に、子房と胚珠がそれぞれ果実と種子になることを確認する。
果実を英語でフルーツということを教えると、みんな喜ぶ。
しかし、
子どもたちは全てのフルーツの中に種子が入っていることを知らないので、
スイカやキュウリやいろいろなものを紹介してやると良い。
また、
フルーツは動物に美味しく食べてもらうことが目的ではなく、
動物を使って種子を拡散させることが目的だ。つまり、
動物の腹に種子を入れるために美味しくなっているのであり、
種子は動物の体内で消化されないようになっていて、
糞といっしょに排出されることになっている。
その例として、大便に含まれるトウモロコシやいろいろな種子の話をしてみても良いが、
よほど上手に話さないと、理科の先生は変、ということになる。
注意して頂きたい。

以上で、雌しべは終わりだが、教科書ではひらがなでめしべと記述されているが、
ここは漢字で雌しべとして頂きたい。なぜなら、何頁が後のマツのところで、漢字で雌花と表記しているからだ。
統一して欲しいものだ。

そうそう、卵は、1年生で教えない方が良いような気がしてきた。
が、やっぱり教えても良いような気もする。
悩ましい部分だが、時間にゆとりがあれば、やっぱり教えるべき内容だろう。
ということは、理科は週3時間ではなくて4時間にしなければいけない、ということになるが、
それは私の欲張りと言うべきだろう。

が、しかし、
教科書のページ数が初めから間違っているので、
私が欲張りというよりは、私と子どもたちは被害者というべきであろう。

週3時間で、285頁は無理な理由は以下の通り
(1)中学1年生は週3時間で285頁
(2)中学2年生と3年生は週4時間で285頁
(3)(1)(2)より、1年生はページ数が同じなのに、時間が25%少ない
このことは、教科書会社にいつも言っているのであるが、
掛け合ってもらえない。
これは現場の声を聞かないではなくて、
現場が見えていないというか、
他社と足並みを揃えたいというか、
最近は脱ゆとりですから、、、というか、
売れないと怖い、ということでしょうが、
そんな世の中にしている文科省にも責任があると思います。
あー、今年のメモは不満ばかりだけれど、
私の教員生活も短くなってきたから、
きちんとしたことを示して、子どもと先生の未来を明るくしなければいけない。
がんばろう。

次の雄しべ、花弁、がくはさらっとやる。

そして、
プリント右半分の白紙スペースに、フジの花の解剖をさせる。

フジの花の解説は、
本当は藤棚の下でハナアブの大きな羽音を聞きながら、フジの甘い香りを嗅ぎながら行いたい。
が、今年はタイミングが悪い。
あと1週間早く花が咲いてくれればよかったが、
今年は遅く花が足りないので、私が採取して来たものを使った。
1クラスにつき、フジの花の房を3つほど用意する。
1つの房には25〜30ほどついているので、1人あたり2個配布することができる。
ただし、つぼみやいたんだ花もあるので、房3つ、という計算になる。

フジの花の配布方法
私が1つずつちぎり、実験台の上におく。
できるだけ、雌しべと雄しべが見えないものが良い。
あとから、花弁を開いて雌しべを雄しべを見つけたときの感動が違う。
生徒は各自で好きなものを1つだけ持っていく。

フジの花の解説
花弁は1つだけ目立つものがあり、
その次に2つあり、
最後に1つのようみ見えるもがあるが、
それは雌しべと雄しべを閉じ込めているもので、指で開くと中から出てくる。
以下は、2013年の授業記録『フジの花』から転載






ここまで、生徒に筆記具を持たせてはいけない。
大切なのは、実際に花を解剖しながら観察することであり、私の花の模式図を理解することである。
初めに注意しても、何人かの生徒は先生の板書と同時に書こうとするので、きちんと制止すること。
うまう解剖できなかった生徒は、もう1つ花を持っていっても良い。

検定教科書をつくっていらっしゃる方々へ
フジの花が入手できない学校も多々あるので、花のつくりを詳細に掲載することはやめていただきたい。
とくに、雄しべが1本だけ長いとことや9本が包むようになっていることは記述するべきではない。
理由は、
現場教師の力量不足ではなく、指導時間が確保できないからである。

私のHPにあることが面白いからといって、検定教科書に掲載するのは現場を多忙にするだけでなく、混乱に陥れる。
教科書は精選された美しいものでなければいけない。
私がHPに掲載する目的は、
フジの花を使って授業ができる環境にある先生、および、自然を愛する人に対して
驚きを共有したり感動を得るための手引きを与えたりすることである。
検定教科書と私のHPの趣旨や目的が違うことを肝に銘じて頂きたい。

同様のことは2年生物『イカの解剖』にも当てはまる。
私は自著中学理科の生物学やHPでイカの解剖を強く推薦しているが、検定教科書では厳禁。
現在、日本にある全ての出版社で掲載されているようだが、削除して頂きたい。
大変素晴らしい教材であることは間違いないが、検定教科書には不適切である。
なぜなら、 生イカを安く入手できない地域もある。
(理科の教材屋はイカを扱うことができない)
(1)生徒が持参する
(2)前渡金で先生が購入
(3)先生が自分の金で購入?

冷凍イカは悲惨な結末となる。
解凍したものは内臓が痛んでいるものが多く、臭く腐敗しやすい。
生徒が持参するものの中には、何日前かわからないものも多々ある。
それが溶けてたものが1つあれば、劇悪臭の理科室と化す。

また、後始末は壮絶である。
はっきり申し上げておくが、私がイカの解剖実習をするのは、
実習の手伝いをしていくれる先生がいる場合に限られる。
準備と片付けの時間は膨大であり、
とくに理科室のイカ臭さが抜けるまでには最低1週間必要とする。

名古屋市教育委員会の方々へ
(前の文章を続きですが、)
とくに、
名古屋市公立中学校においては理科室にクーラーが設置されていないので、
夏場の実習は、耐え難い悪臭との戦いになる。
35度Cに近い理科室でイカの解剖実習を行うことは、
イカ嫌いの生徒をつくるだけでなく、
生物そのもを嫌う生徒をつくる結果になりかねない。
どんなに気をつけていても、
実習中にイカの液体や破片の一部が床に落ちるものであり、
それをスリッパで踏んだ生徒が歩き回るものである。
中学理科教育現場にいる先生なら、そんなことはすぐにわかる。
私は、それを自分で雑巾掛けすることまで計算に入れて実習を行っているが、それはそれは大変な後始末である。
もちろん、授業時間内に、完璧に落とさないような実習も可能であるが、それでは面白くない。

短時間で出してくれる美味しいラーメン屋を思い出せば良い。

面白くない実習は、美味しくないラーメンを作るようなもので、
わざわざ
美味しくないラーメンをつくったり食べたりしていれば、
どのような子どもになるか想像がつくであろう。
まして悪臭ラーメンならどうなるか!
らーめんばかりか、
料理が嫌いで食べることが嫌いなこどもができることになる。
したがって、クーラーのない名古屋市立公立中学校では『夏にイカの解剖を行うことを禁止する』として頂きたい。

同じことの繰り返しであるが、
すでに整備が終わった普通教室と同じように、クーラー設置を要望したい。
なぜ、理科室や技術家庭科などの特別教室だけクーラーがないのか、
なぜ、普通教室と同時に整備して予算削減を講じなかったのか、
全く理解できない。

これは、名古屋市の産業技術衰退を招く主因、と断言することもできる。
このように記述しておけば、
営利目的の産業関係者や政治家も動く気になるであろう。
初期投資、設備投資をする場所をお間違えなく!

さらに、
理科室は各校2つしかないが、
昨年も今年も理科教諭5人で回さなければならず、
フル稼働の状態である。
理科室の数=理科教諭の数、が理想であるが、それは無理としても
充足率40%の現場は異常といえるであろう。
理科室は、理科における『普通』教室なのである。
普通率40%は常識ではない、と私は思う。

各学校の実情に応じた教室数になるような法整備が必要であろう。
弾力的運用ではいけない。
普通でなければ公教育といえない、と思う。
100%整備された理科室でなくとも良い、
理科の実習ができる、実習授業ができる場所を確保して頂きたい。

予算が足りないなら、
予算をどこからかもらうか、文部科学省にかけあって頂きたい。
理科教育現場の劣悪ともいえる環境を改善して頂きたい。

文部科学省の方へ
公立中学校の理科教育現場の劣悪なる環境を改善して頂きたい。
(現状は上に掲載)

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