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実験13 パラフィンを加熱、冷却する2016 9 16(金)、20(火)、23(金)
理科室はじめに
パラフィンの実験は4年前に初めて行いました。それ以来、毎年のように授業に取り入れています。とても単純な実験ですが、事前に実験結果をしっかり考え、その考え検証することで『固体』と『液体』の違いを体感することができます。これら2つの状態は、いずれも目で見ることができます。加熱しすぎた場合、目に見えない『気体』になります。とくに激しく加熱した場合は、白い湯気のようになりますが、それは空気で冷やされた『固体』状態のパラフィンです。
授業では『粒子レベル』まで持ち込みませんが、授業の端々で『パラフィンの粒子』に関する解説をします。その説明は全員理解を目的とするものではなく、理解度の高い生徒を対象にしたものです。口頭で1回解説するだけです。『粒子レベル』の理解は、もうしらばくしてから行います。
なお、本時の記録は図1と図2だけで、以下は4年前の実践『実験17:パラフィンを加熱、冷却する1年(2012年)』の再編です。
本時の記録
板書2点だけです。
図1:本時の板書(A組、クリックすると拡大します)
図2:同上(B組、クリックすると拡大します)
『実験17:パラフィンを加熱、冷却する1年(2012年)』の再編
初めに、パラフィンを紹介し、その状態変化についてまとめます。ポイントはパラフィンを『たくさんの粒子の集まり』として考える視点を持つことです。
図3:パラフィンの状態変化のまとめ発表図3は、パラフィンを加熱すると質量は変わらないが、体積が大きくなることを発表している様子です。その後、図1・図2のようにビーカー内のパラフィンの様子を考え、スケッチさせます。
その後、理論が正しいかどうかを確かめる検証実験を行います。
図4:加熱前のパラフィン入りビーカー図4のビーカーは、側面にパラフィンがこびりついています。これは前の実験班が、静かに冷却しなかったからです。このような状態でも、とくに問題はありません。きちんと、その様子をスケッチさせることが大切です。
図5の左端は、加熱前のスケッチです。
図5:C組での板書次に、パラフィン入りビーカーの質量を測定してから、弱火で加熱します。図6には、電子てんびん、ダンボール(断熱材)が写っています。
図6:実験装置を組み立て、ガスバーナーを点火する生徒
図7→
図8
図7と図8は、2つの状態が存在しています。図7は、固体のパラフィンを突き、液体中に沈めようとしているところです。図8は、液体に沈んだ固体です。このことから、液体より固体の方が密度が大きいことがわかります。これは一般的な現象です。氷(固体)は水(液体)に浮く現象は、自然界において珍しいものです。
図9:大部分が液体になった状態の質量を測定する様子すべて液体になったら、質量を測定します。質量がまったく変化しないことが確認できるはずです。すべて液体になってからもガンガン加熱している班は、パラフィンが気体になって飛び出してしまうので、質量が減少します。
図10:早く冷やすために、水を手で送る様子次に、冷却です。そして、ビーカー中央部が凹むことを確認します。その理由はなぜか考え、それをまとめることができたら終了です。
D君は、パラフィン粒子の動きを示しています。そして、重さ(質量)と体積の関係、すなわち、密度について記しています。
おまけ:食塩の状態変化
図12は食塩を加熱する様子、図13は液体になった食塩です。
図12→
図13
授業を終えて
本時の目的は、目で見える物質の『状態変化』を理解することです。 目で見えるということは、目に見えない粒子レベルではないということです。目に見えない状態『気体』を説明するためには、目に見えないパラフィンの粒子をイメージする必要があります。
関連ページ
実験17:パラフィンを加熱、冷却する1年(2012年)実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』
第4章 化学変化 1円硬貨の密度 p.26 第4章 化学変化 消したろうそくに火をつける p.43 第5章 状態変化 ロウの体積の変化(固体→液体→固体) p85