HomeMr.Taka 中学校理科の授業記録1年(2016年度)


実験8 ビーカーで演奏会

     2016 11 11(金)〜17(金)
     理科室

はじめに
 音の2時間目はビーカーで演奏会です。いろいろな大きさのビーカーに水を入れ、音階をつくります。それらをきれいに鳴らして、簡単な曲を発表します。『ビーカーで演奏会1年(2002年)』『ビーカーで演奏会1年(1999年)


図1:演奏会のための練習をする様子


本時の目標
・物体には、固有の振動数があることを理解する
・振動数が小さいほど、低音になることを理解する
・ビーカーに水を入れるほど、低音になる現象を使って音階をつくり、友だちと一緒に楽しい曲を演奏して音を楽しむ

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 学習プリント
  • 硬い棒
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 硬い木の棒     (演示用)
  • ガラス棒      (1/人)
  • 50mLまたは100mLビーカー (50個程度)
  • 200mLまたは300mLビーカー(30個程度)
  • 500mLビーカー(20個程度)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

 自宅から、硬い棒を持参したかどうか確認します。

(2)演示実験:いろいろな物体の固有振動数(5分〜10分)
 固い木の棒で、教室にあるものをかたっぱしから叩きます。黒板、黒板のサン、教卓の天板・裏側の金属・フレーム、生徒の机の天板・フレーム、 教室の壁・柱・床 、整理棚のいろいろな部分、などです。強弱やリズムを変えて、JAZZミュージシャンのように叩ければ、生徒は大喜びするはずです。これからの授業が楽しいものになるかどうかは、先生のパフォーマスンス力に大きく左右されます。

 人気者の生徒を指名し、先生と同じように演奏させても面白いでしょう。

 この演奏における音程や音色はばらばらです。とにかく、面白さを追求することが大切です。それは雑多な要素が含まれていますが、たくさんあればあるほど、その中から注目点を取り出す作業が楽しくなるわけです。

 「このように、それぞれの物体は、それぞれの固有の音を持っています。音によって、その物体が何か当てることもできます」

 「音は振動ですから、物体はそれぞれ特徴のある振動の仕方をする、ということになります。とくに、純粋な物質で作られた物体、均一につくられた物体は、綺麗で純粋な音が出ます。つまり、純粋な固有振動数が出るわけです」

 「音楽に使う楽器は、純粋で均一につくられた物体でつくられたものがたくさんあります。そして、音階をつくるために、振動させる物体の大きさを少しずつ変えてできたものがあります。例えば、どんな楽器があるかわかりますか? ・・・ そうでうね。木琴は代表的な例ですね」

先生のためのワンポイント
・楽器は、打楽器・弦楽器・管楽器に分類できます。
・木琴や鉄琴のように、物体そのものを振動させる打楽器の多くは
  原始的なものです
ピアノで、たくさんの固有振動数をもつ弦を叩く打楽器です
弦楽器は、弦の長さを変えることで音階をつくります
管楽器は、違う原理で音階をつくります

(3)ビーカーによる音階づくりの理論(5分〜10分)
 同じ物質からできた物体の場合、小さいほど速く揺れ、固有振動数が大きくなり、高い音がでます(図2)。


図2:物体の大きさ・固有振動数・音程の関係

 図2と逆の関係である、と答える生徒が1/3ほどいます。発問形式で、まとめてみてください。


図3:振動数のまとめ(クリックすると拡大します)

(4)振動数のまとめ(5分〜10分)
 図3右のように、振動数についてまとめます。図3の学級では、ヒトの可聴域、440ヘルツの音、超音波などを紹介しています。

(5)演示演奏:先生による音階作り&演奏(10分)
 100mLを7個用意し、横一列に並べます。そして、木の棒で叩き、音が低い順に並べます。同じビーカーでも微妙に音の高さが違うことを示します。

 次に、一番低いビーカーに水をいれ、それをもっとも低い音とします。絶対音感のある人からは異議を唱えれますが、その音を『ド』とします。そして、それを基準にして、順に水を入れながら『レ』『ミ』『ファ』『ソ』『ラ』をつくります。

 音階『ド』『レ』『ミ』『ファ』『ソ』『ラ』ができたら、いくつかの簡単な曲を演奏して見せませよう。なお、この指導手順は14年前の実践『ビーカーで演奏会1年(2002年)』も参考にしてください。

(6)自由班による音階作り&練習(20分)
  自由度がたかい時間になるので、指定席による班は解体し、自由班とします。一班の人数は3人〜6人としますが、班の実情によって2人や7人以上でも良いことにします。各班は代表者を決めます。

 先生は図4のような表を板書し、代表者はその表に記入します。


図4:演奏会の手順、演奏順・演奏者・曲目・拍手

 演奏順は、班の数が確定したところで、先着順に書かせます。混乱しそうな場合は、じゃんけんにしてください。曲目は図4や図5を参考にしてください。


図5:演奏順・演奏者・曲目・基礎点・拍手・合計点(順位)

 図5の基礎点は、ドレミファソの音階をいくつ作ることができたか、です。音階が1つできるごとに2点です。

 図5の拍手点は、先生の感覚になりますが、できるだけ客観性を持たせるために、観客数を30人とします。そして、全力で拍手している人は3点/人、普通に拍手している人は2点/人、とりあえず拍手している人は1点/人、拍手していない人は0点としてカウントします。合計点は0点〜90点(全力で拍手している人が30人いる)になります。全力で拍手している生徒の数をかぞえれば、だいたいの検討がつくものです。


図1:演奏会のための練習をする様子

ワンポイント
・ビーカーの底に水がついているときれいに鳴らない
・強く叩くとビーカーが割れる
・鉄製の薬サジで叩くと、ガラスに傷がついたり割れたりしやすい
・水が入っていない部分を叩くとよい
・強く叩いても弱く叩いても、音の大きさはあまり変わらない
・音感のない生徒は、音階を作ることができない


図6:同上

(7)音楽会(10分)
 終業15分前になったら、演奏会の始まりです。先生が司会者となり、黒板プログラムにしたがって進行してください。楽しい時間になると思います。

(8)後片付け、考察(5分)


授業を終えて
 楽しい1時間になったと思います。

関連ページ
ビーカーで演奏会1年(2002年)
ビーカーで演奏会1年(1999年)

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