このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第53時

観測3 大気圧と風

2017 10 30(月)
普通教室

はじめに
 私たち地球人は大気中で生活しています。大気は無色透明・無臭なので、ふだん意識することはありません。しかし、大気が動くと、私たちはそれを『風』として感じます。大気が動く原因はいろいろありますが、今日は『圧力の差』による風を学びます。

 圧力が高い空気を高気圧、圧力が低い空気を低気圧といいます。ここで考える圧力は、形がない空気がもつ圧力です。難しいように感じますが、空気の断面図を描けば、とても簡単に理解することができるでしょう。


上:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・見えない大気(空気)を見える化する
・大気の厚さは均一でないことを確認する
・大気の厚さは平均すると地表から高さ10.13kmまであること、標準気圧は1013hPaであることを知る
 ※対流圏(水が循環する範囲)

・大気は水と同じように流れるもの(流体)であり、は大気の流れであることを理解する
・大気の断面図を書き、水と同じように高いところ(大気圧)から低いこところ(低気圧)へ流れることを理解する
大気圧と空気の厚さは比例する、ことを理解する
 ※1年で学習した水圧と同じ
圧力差があるほど強い風が吹く、ことを理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 色鉛筆
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)私たちの頭上にある空気(分〜分)
 ある地点の大気圧は、その地点の頭上にある空気によって決まります。つまり、頭の上にたくさんあれば高気圧、あまりなければ低気圧になります。決まった形を持っていない空気は、時と場合によって増えたり減ったりします。

 平均的な大気圧(標準気圧)は、1013hPa(ヘクトパスカル)です。その時、空気は地上から10.13kmの高さまである、と考えてください。10kmは日常的にイメージできる距離(長さ)です。あなたの学校からどこまか、具体的な地名を示してください。あまり離れていないことがわかると思います。歩いて2時間かからない距離であることもわかります。

 また、富士山の高さは3.8km、エベレストの高さは8.8kmです。合わせてイメージしてみましょう。そして、10kmより上には空気(大気)がない、すなわち真空の宇宙が始まる、と考えみましょう。宇宙はわずか10km先にあるのです!

 続きは別ページ『実習2 等圧線2年(2003年)』をご覧ください。


上:A組における板書


上:B組における板書


上:学習プリントをまとめる生徒

(3)今日の天気図の低気圧と高気圧 (5分〜8分)
 今日の天気図に高気圧と低気圧があったので、色塗りをさせました(下図)。天気図は平面図ですが、この平面図から垂直に立ち昇る空気をイメージすることができれば、あるいは、この平面図の下に存在する空気をイメージすることができれば、ここまでの学習は成功です。


上:高気圧に青、低気圧に赤を塗る生徒
 どこまで塗るかは決まっていません。天気図を見て適切な数値を指示してください。さらに理想的な展開ができるなら、等圧線ごとに色を濃くしたり薄くしたりしていきましょう。前の(2)と次の(3)と完全にリンクします。

(4)一休み(3分〜5分)
 新しい学習だったので、ここで一休みです。下図をみてください。生徒は感想を書いて、ここまでの振り返り作業をしています。立体的・空間的思考は 中学生の発達段階からするとギリギリです。かなりゆとりをもって進めることが必要です。


上:感想を書き、ここまでを整理する整理する生徒

(5)平面図から断面図を書く(15分〜25分)
 できる生徒は簡単に理解できますが、できない生徒はかなり時間がかかります。早くできた生徒には、友だちを教えるように指示してください。逆に、わからない生徒には友だちに助けを求めるように指示してください。

平面図から断面図を書く手順




上:断面図を作りたいところに、赤線を書く
そして、赤線と等圧線交点に赤点を打つ


上:交点から真下に補助線を書く


上:補助線と気圧の交点青点を打つ
そして、青点をなめらかな線で結ぶ


上:なめらかな曲線より下に空気の色を塗る
水が流れるように、風は高いところから低いところへ吹く
曲線が急なほど強風、になる


上:別クラスでの完成図

(6)本時の感想、考察 (5分)


上:C組の板書(前半)


上:C組の板書(後半)


授業を終えて
 地図の読み取り・空間認知は、能力の差がはっきり出る内容です。友だちどうしで教えあうようにさせてください。

関連ページ
実習2 等圧線2年(2003年)

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