|
第84時
実習13 3種類の電熱線
2018 2 2(金)、5(月)
理科室はじめに
電流を流すと発熱する線を、電熱線と言います。一般的なヘヤードライヤーや発泡スチルロールカッターなどに使われている金属線です。その多くはニッケルとクロームの合金なので、ニクロム線と言われることがあります。また、電熱線は抵抗の1種なので、豆電球やモーターに置き換えて考えることができます。電熱線には、定格電圧(V)をかけた時の電力量(W)が示されています。家庭用ドライヤー1200W、暖房器具800W、電気ポット600Wなどと表示されているものは、家庭用電圧100Vが前提条件になっています。したがって、それらの器具に流れる電流は12A、8A、6Aになります。
さて、中学によくある問題では、電圧(V)がかわります。電圧(V)が変わると、電流(A)だけでなく電力(W)も変わります。中学生がよく混乱するところは、電力(W)が変わってしまうことです。電圧・電流・電力は、どれか1つが変わると全て変わってしまうのです。このような問題を解く上でのポイントは、絶対に変わらないものを基準にして考えることです。それは、ずばり『あれ』です。『実験10オームの法則』で、グラフの傾きとして求めた『抵抗(Ω)』です。電熱線の抵抗(Ω)は、電圧(V)を変えてもわかることなく一定です。
したがって、電熱線の問題を見つけたら、すぐさま、その電熱線の抵抗(Ω)を求めることです。そして、問題文にある電圧(V)、電流(A)、電力(W)を消し去ることなのです。
図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)
本時の目標
・よくある電熱線の問題に潜む罠、を紹介する
・電熱線の問題が出たら、すぐに抵抗(Ω)を求めることを知る
・そして、電圧(V)、電流(A)、電力(W)を消し去ることを知る準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 問題集
- 本日の学習プリント(1 /人)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)
前半は学習プリントを使った授業ですが、後半は問題集を使った練習になります。(2)よくある電熱線の問題 (15分〜20分)
電熱線に関する問題は、ちょこちょこ見かけます。単純に見えても混乱しやすい問題なので、今日は1時間使って実務的な練習をします。その目的は高得点獲得を目的とした学習塾と同じなので、私は乗り気ではないのですが、がんばってやりたいと思います。
図2:使用する電圧(定格電圧)における電力(W)が決まっている3種類の電熱線
図2のポイント
1)電熱線に表示されている数値は、電力(W)
2)ただし、前提条件として定格電圧(6V)がある
3)問題文には、必ず電力(W)と定格電圧(V)が示されている
4)3)から電熱線の抵抗(Ω)を求める5)電力=発熱能力、と考えれば良い
6)発熱能力(W)は、同じ電圧(V)で比較する
7)発熱能力(W)は、抵抗(Ω)が小さいほど大きい
図3:電力に関するまとめ
8)抵抗(Ω)を求めたら、問題文にあった電力(W)と電圧(V)を消す
9)そして、小問の電圧(V)にあわせて、電力(W)や電流(A)を求める(3)練習問題(10分〜15分)
電力(W)の学習は2年生になって初めてなので、とても簡単な練習問題をつくります。数値は、その場のフィーリングにあわせてください。数学アレルギーの子どもに照準を合わせてもよいでしょう。
図4:練習問題に関する板書(5)問題集を使った練習 (15分〜20分)
その後、市販の問題集を使います。適切なページの適切な問題を指定し、一斉に解かせます。すでに終わっている生徒にも、もう一度やるように指示します。できた生徒から、好きな問題をやってもよい自習時間にましょう。できない生徒は、積極的に友だちに教えてもらう時間にします。ポイントは、前述の通りですが、以下に再掲載しておきます。
電熱線(W)に関する問題のポイント
1)すぐに、電熱線の抵抗(Ω)を求める。
2)問題文の電力(W)と電圧(V)を消す
3)小問の電圧(V)に合わせて、電力(W)・電流(A)を求める(6)本時の感想、考察 (5分)
図5:本時の板書(B組、クリックすると拡大します)
授業を終えて
今日の授業の成果は、子どもたち一人ひとりの家庭学習にかかっています。頑張ってください。実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
第83時 ←
実習12 電子の気持ちで考える
合成抵抗
→ 第85時
実験13 電気で湯を沸かす
(ジュールの実験)