このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第85時

実験14 電気で湯をわかす(ジュールの実験) 

2018 2 5(月)、6(火)
理科室

はじめに
 今年は実験をしなかったような気がします。が、したかもしれません。2019年1月1日0時現在、記憶を失っています。10か月前の実験中画像は見当たりませんが、とりあえず13年前の実践記録『実験16 電流による発熱2年(2003年度)』『実験16(電流による発熱)の続き 2年(2003年度)』を編集します。その後、本年度撮影した画像を使って、電力と電力量についてまとめます。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・電気ポットで湯を沸かす実験を行い、時間と発熱量が比例することを確かめる
・電力と電力量についてまとめる
 → 電力量=電力   × 時間
   1J =1W   × 1秒
      =1V×1A× 1秒

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 発熱量測定実験器 (1/班)
  • 電源装置     (1/班)
  • リード線     (2/班)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)ジュールの発熱実験(25分〜30分)
 単純な実験で、比例のグラフが得られます。同じような実験は、実験10 オームの法則でも行いましたが、単純な実験でも生徒はとても喜びます。最近は、予想どおりのデータを得ることに喜びを感じる子どもが増えてきているように感じるので、時間があればぜひ取り組んでください。

 さて、本年度は実験記録画像がないので、13年前の『実験16 電流による発熱2年(2003年度)』『実験16(電流による発熱)の続き 2年(2003年度)』を編集します。その時は2時間使って、電力量を熱量に変換するための定数4.2を求めようとしています。

実験16 電流による発熱』『実験16の続き 2年(2003年度)』における実験


図2:電源装置と熱量測定装置


図3:C君が学習プリントに書いた実験装置

実験手順の説明例

 「みなさんの家には、電気で湯を沸かすポットはありますか。今日はそれと同じ実験をします。ポットの中は見たことがありますか。熱を逃がさないような構造になっていますが、この実験装置も、ほら、中に発泡スチルロールが入っています。これは何のためか分かりますか」


図4:ばらばらにした熱量測定装置

 「そうですね。熱を逃がさないためです。さらに内側の容器には目盛りが付いているので、正確に水100gを入れましょう。ここでいい加減な量を入れると、実験誤差が大きくなって、あとから合格の印がもらえませんよ。そして、その水の中に「温める装置」を入れます。装置といっても、ただの電熱線です。電熱線は2種類あります。それらの表示を読むと、どれどれ、2.5Ωと5Ωと書いてありますが、意味は分かりますか」


図5:電熱線の拡大

 「そうですね。抵抗です。どっちが早く湯を沸かすことができるかは実験すればすぐ分かるので、みなさんで確認して下さい。あとは、温度計を差し込んで、電流を流せばお終いです。おっと、その前に、ふたに付いているこれは何でしょう。そうです。水をかき混ぜるための道具です。そんなに早く動かさなくても大丈夫ですよ。ゆっくりと上下に掻き混ぜて、水全体の温度が同じようになるようにしましょう」

 「最後に、結果のまとめ方を確認します。学習プリントに印刷してあるの表の左端に、項目を書いて下さい。まず、変化させれるのは電圧とします。5V、10V、15Vでお願いします。他の条件は全て同じにします。これができた班は、他の条件を変えるとどうなるか予測し、オリジナル実験をしてみなさい。なお、この実験データが正確な班にはボーナス・ポイントがつきます。黒板に同じ表を書いておくので、代表者の人が発表して下さい。これは班単位で合格を出します」


図7::板書案


図8:A君の班は『比例定数3.6』を得て合格印をもらった。)

各班の実験データが良ければ、上記の計算式を紹介するつもりだったが、結果が良くない。誤差が大きすぎる。このまま実験を続ければ混乱が大きくなると判断して、時間による発熱量の変化を調べることにした。これ(定性実験)なら、どの班も成功する。
<誤差の原因について>
 どの班も、水温が高くなった。低いなら、「熱が逃げてしまった」と簡単に説明できるが、結果は逆である。おそらく、水を十分に撹拌していないのが原因だと思うが、詳細は分からない。とにかく誤差が大き過ぎるので、学習意欲が高まらない。

実験結果:表9&図10
 初期設定:水100g、電圧36W(電熱線2.5Ω、電圧10V、電流3.6A
 1分間毎の水の温度上昇


表9:表の1番下に『時間』、その上に『水温変化の量』が記載されている)


図10:表9をグラフにしたもの

 図10を見ると、 美しい比例になっている。ここまでなら誰でもできると思うんだけれど、この傾き量(比例定数)を求めようとすると、「実験上の問題」と「数学の基礎知識の問題」が重なり、チンプンカンプンになる。


図11:Aさんの感想


図12:B君の学習プリント(クリックすると拡大します)


図13:Cさんの学習プリント(クリックすると拡大します)

(3)電力量について (7分〜15分)
 前時『3種類の電熱線』で学習した電力時間をかけると、電力量を求めるができます。電力量は、電気料金のようなものです。たくさん電気を使えばお金がかかる、ということです。実際の電気料金は、どれだけのどれだけの電力量を使うといくらになるか、という換算率があります。例えば、私が利用している東邦ガスの電力量料金は、一般的なファミリープランの場合、基本料金の他に第1段階料金では、1kWhごとに20.67円かかります。

1kWhごとに20.67円
1000Wの電気器具を1時間使用すると、20.67円


図14:電力量に関する板書

(4)電力量に関する練習問題 (5分〜12分)
 算数アレルギーの子どもが改善するように、簡単な問題をその場で作成します。下図15には7つの問題があります。


図15:電力量を好きになるための問題


図16:B組の問題

図16について
 問題1番〜5番はすでに消され、6番と7番が残っている。

 6番は、単位変換6分=360秒を行ってから、計算する。計算式は、4V×5A×3600秒=7200W秒=7200J=7.2J。答えは、7.2J。

 7番は、図16に計算のステップが書いてある。
(1)1V、2Ωから電流(A)を求める → 0.5A
(2)電流(A)と電圧(V)から電力を求める → 0.5W
(3)電力(W)と時間(秒)から電力量を求める → 1.5J


図17:C組の練習問題6番(B組の練習問題7番の類似問題)

(5)本時の感想、考察 (5分)


図18:本時の板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 授業記録を書き終えて、実験をやっていないような気がしてきましたが、やっていたとしても定数4.2を求める実験はしていません。時間に比例することの確認までだと思います。その場合、電力(W)を変え、いくつかの発熱量が変わること(発熱量は電力に比例する)までは確認できると思います。ただし、電力(W)を変えることでグラフの傾きが変わったとしても、電力量を熱量に変換するための定数4.2が不変であることは、さらに数時間必要です。

関連ページ
実験16 電流による発熱
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実験6(2) 電流による発熱
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実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

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