このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第36時
観察4.2 胚・種子・果実

     2018 7 18(水)
     普通教室

はじめに
 もうすぐ夏休みです。クラス間の足並みをある程度そろえたいこと、理科室は学習できる場所ではなくなっているものの実習してみたいという欲望から、1クラスだけ本時の『観察4.2 胚・種子・果実』という実習を行いました。場所は理科室ではなく、普通教室です。

 教室なので水道水が使えない、という問題を解決するため、ウエットティシュを持参させました。それから、観察するための胚・種子・果物はすべて生徒に持参させますが、包丁も準備できないので、自宅で切ってくるように指示しました。つまり、「カットフルーツを持ってきてください!」というわけです。

関連ページ
実習3 果実・種子・胚1年(2002年)


上:友だちの美味しそうなカットフルーツをながめる生徒


本時の目標
・自宅から、いろいろな胚・種子・果実を持参する
・いろいろな植物の胚を探し、観察・スケッチ・標本作りをする
・植物のふえ方の多様性を感じ、興味あることをまとめる
・食中毒に注意し、ビタミン補給をする

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • いろいろな果実
  • ウェットティッシュ
  • つまようじ
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • ルーペ(1 /人)
  • 柄つき針(1 /人)
  • AAピンセット (1 /人)
  • 大きな袋(3/クラス)
    朝8時25分、生徒が持参した果物
    を回収、冷蔵庫に保管する
  • 冷蔵庫 (1/クラス)

授業の流れ
8:25 各教室で、フルーツの収集(記名してあるかチェック)

  集めたフルーツは、理科室の冷蔵庫で保管します。回収は理科係に任せ、先生は理科準備で待機している方法もあります。そのような場合、返却時に間違いがあっても理科係の責任にならないよう、各自で記名を確認させるなど十分な対策を指示しておきます。また、回収容器に果物を重ねたり入れすぎたりしないように!

(始業直前) フルーツを返却します。ただし、キウイ1個だけなど、記名していないものは最後にします。間違えると大変ですよ!

(1)本時の授業内容の紹介 (1分)
 「今日の学習プリントはありません。前のプリントを使います。プリント左下にフルーツ名を書く場所があります。自宅から持参した人は書きなさい。友だちからもらった人はダメです。この欄は、後から先生が点検します」
 「さて、調べ方は前の時間に説明した通りですが、確認します。まず、フルーツの中にある種子、の中にある胚、を探してください。みつけたら、スケッチしたりプリントに添付したりしてください。種子や果実も同じようにしますが、水分をたっぷり含んだものを貼ると、夏休みが終わる頃にはプリントが朽ち果てています。カビが大量に発生し胞子を撒き散らします。それでも貼るなら乾燥させるか、ごく少量にすること」
 「さて、
味を調べるために食べても構いませんが、食べても良いのは理科とランチの時間だけです。また、汚いッターナイフで切ったり床に落ちたものを食べたりしないでください。また、実習後の皮や種子などの残りはすべてお持ち帰りになります。計画的に進めてください」

(2)実習の手順(5分)
 できるだけ手短かに実習の目標、手順、まとめ方を説明します。


上:本時の手順、まとめ方を説明するための板書

調べ方のポイント
(1)(受精卵が細胞分裂を繰り返してできた『赤ちゃん』)をさがす
(2)胚を中心にして、『種子』→『果実』となる
(3)胚は、1mm程度で白いものが多い
(4)胚は、種子の尖っている方にあるものが多い

 一口にフルーツをいっても、私たちが食べている部分は植物学上の『果実』でないものがあります。例えば、リンゴやイチゴは『花床』、イネは『胚乳』を食べています。

 また、キュウリやバナナを調べると、小さな種子があります。その種子の内側には『胚』と『胚乳』、外側には『果実』があります。したがって、私たちが食べているキュウリは植物学上『果実』ということになります。野菜、という分類はありません。『野菜』は園芸学や栄養学などの学問で、それぞれの方法で使われる言葉です。

(3)生徒実習(40分)
 しっかり宣伝しておいたので、2/3以上の生徒が持参しました。夏バテの生徒たちにとって、フルーツでビタミン補給しながらの実習は、かなりの魅力だったと思います。保護者の方には出費だったと思いますが、教養と愛を深めるきっかけになったのではないかと推察しております。ご協力、ありがとうございました!


上:いろいろなナッツを瓶詰めにしてきた生徒
 さすが! これなら汚れを気にせず、しっかり観察できるし、標本作りもできる! ただし、一口にナッツといっても、いろいろな種類の植物があるので、簡単に説明することはできない。とにかく、胚(赤ちゃん)を見つけることだ。


上:ピスタチオを分解する生徒
 私たちが食べている『種子』をよく調べると、小さな『胚』がある。つまようじがあれば、指よりも上手く取れるかも知れない。


上:おばあちゃんの家庭菜園で採れた唐辛子2種
 色がいいですね。おばあちゃんは「ほら、雌しべや花弁がついているだろう(緑色唐辛子の先端部)」と教えてくれたそうです。


上:その緑色トウガラシの内部
 白い種のようなものは『種子』、私たちはそのまわりにある『果実』を食べている。左右のトウガラシは同じ向きで、花の向きとしては下向き。右から左へと成長。


上:ブルーベリの内部
 ブルーベリー を調べたら、中から種子がいっぱい出てきた。つまり、私たちが食べている部分は『果実』になる。


上:キウイを丸ごと持参した生徒
 切るものがないので、とりあえず歯で半分にしてみた。

以下は、Aさんの実習の様子です。


上:左から、エンドウマメの子葉(胚)、種皮、胚、果実


上:キウイの種子の採取


上:種子の添付


上:次は何かな?


上:トマトの種子を採取するために半分にしたようだ


上:トマトのパーツを並べて

(6)本時の感想、考察 (5分)


上:Pさんの学習プリント(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 楽しい時間になりました。今日の時間に限らず、実習の大部分は『材料』や『試料』の準備にかかっています。料理のネタと同じです。

 さて、何が種子で何が果実なのかは、一概にいうことはできません。結果として、自宅で調べてくるものが多くなりました。将来、授業で簡単にインターネットに接続できる環境ができれば、生徒自ら、その場で解決できる時がくると思います。名古屋市の場合、7年後の2025年でどうでしょう! すでに予算的には問題ないと思います。これは私の権限の及ぶ範囲ではなく、むしろ禁止されていますので、関係者の方はよろしくお願いします。ワイファイを飛ばすことができない市町村は全国的に少なくなってきました。iPad導入を終えているところも増えています。名古屋市が最後にならないよう、よろしくお願いします。

note:生徒と先生の会話
「先生も食べる?」
「いいんですか!」
「どうぞ」
「いただきま〜す!」

関連ページ
実習3 果実・種子・胚1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

第1章 生命とは何か  観察の基礎 p.20-21
第5章 花と植物  花の構造とはたらき p.88
 花が種子になるまで p.96−97
 胚(種子、果実)を探そう p.98-99

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観察4 種子植物のふえ方

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