このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第35時
観察4 種子植物のふえ方

     2018 7 12(木)、17(火)、18(水)
     普通教室

はじめに
 今日の学習内容は、1年生でほぼ学習済みです。追加事項はわずかで、柱頭についた花粉から『花粉管』が伸びること、そして、花粉管の中を『精細胞』が移動していくこと、などです。

 過去の実践『観察4 種子植物の受精(花粉)3年(2001年)』『観察4 花粉管3年(1998年)』『観察9 植物の受精(柱頭についた花粉)3年(2004年)』のように花粉や花粉管の観察をするなら1時間必要ですが、40℃を超える理科室で忍耐を必要とする実習を決行することは、良識ある教師としてできません。そこで、普通教室で1年生の復習をゆっくり行うことにしました。連日の猛暑(35℃以上)で心身が弱っている受験生にとって、悪くない判断だと思います。


上:A組における板書


本時の目標
・1年生で学習した種子植物のふえ方を完璧に復習する
・花粉管と精細胞について理解する
・植物の受精について理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)種子植物の花の断面(10分〜15分)
 1年生の復習になります。16年前の実践記録『観察3 花のはたらき1年(2002年)』があります。さて、本年度の授業は、初めに花の断面図を板書してから、空欄に語句を書かせました。断面図は学習プリントに印刷してあるので、子どもは『穴埋め問題』をやる形になります。教科書や資料集を見ないようにして、やらせます。


上:中学1年生でもできる『穴埋め問題:種子植物の花の断面』

 ほとんど忘れてしまった生徒もいますが、3分で完璧にできる生徒もいます。すべてできた生徒は、近くの友だちに教えるように指示します。7、8分でほとんどの生徒が満足するので、希望生徒に板書させても良いでしょう。そして、正解を確認します。


上:穴埋め問題の答え

 次に、花粉管と精細胞を教えます。

1)花粉管は『花粉から伸びる管』です。この管は、柱頭を通過し、胚珠の中へ入ります。その目的は、花粉の核(遺伝情報、DNA)を効率よく移動させることです。花粉が柱頭に付着した時を考えると、花粉そものもが侵入・移動する方法もあります。しかし、それよりも細い管『花粉管』を伸ばした方が、効率よく目的を達成できます。目的は受精です。

受精とは
(1)異なる2つの核(遺伝情報)が合体し、新しい1つの核になること
(2)動物の卵細胞と精子細胞の核が合体すること
(3)植物の卵細胞と花粉の核が合体すること

2)精細胞は何か、教科書に説明はありせん。精細胞という言葉があるだけです。深追いすると大変なことになりそうなので、授業では『花粉管の中を精細胞が移動し、やがて、卵細胞と合体します。これを受精と言います。受精してできたものは受精卵といいますが、この受精卵は細胞分裂を繰り返して、胚になります。胚とは、植物の赤ちゃんのようなものです。例えば、みなさんは胚芽米を知っているでしょうか? 胚芽米には、胚がついています。1粒につき1つです。胚芽米は、栄養たっぷりの赤ちゃんを食べるいることになるので、一粒ずつ感謝の気持ちを込め、よく噛んでいただくようにしましょう。これに対して、赤ちゃんをすべて取ってしまったものを白米、といいます。学校のランチで出てくる米は白米ですが、これは赤ちゃんを取り去ってしまった、捨ててしまった残りものです。なお、イネの赤ちゃんを取り除くことを精米、といいます』と説明するにとどめてください。

 私の授業は『精細胞』と板書しましたが、説明では『花粉の核』としました。また、教科書は精細胞が2個書かれているので、1つは『卵の核』、もう1つは『将来胚乳になる細胞の核』と合体する、と説明しました。こららの説明は、次の『受精後の花』で行います。

(3)受精後の花
 受精後、花の各部は次のようになります。


上:受精後の花の各部の変化( 実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学p.96より転載)


上:授業でまとめた花の各部の変化

 3年生での追加事項は『胚乳』です。胚乳は『胚が成長するための栄養』になる部分です。これについても深追いは危険なので、ごく簡単に流します。わざわざ追加したのは、精細胞が2つあることととの整合性を取るためであり、教える必要がないなら紹介すべきではありません。

(4)種子植物の有性生殖のステップ (5分)
 以下のように簡単にまとめます。


上:種子植物のふえ方をまとめた板書

(5)本時の感想、考察 (5分)
 種子植物、シダ植物、コケ植物、水中生活する藻類など、植物にはいろいろな種類があります。そのうち、今日学習したものは種子植物だけです。

===本時の板書===


授業を終えて
 かなり簡単な内容でしたが、子どもたちは本当に疲弊しているので、これぐらいで丁度良いようです。本当にすごい暑さです。

関連ページ
観察9 植物の受精(柱頭についた花粉)3年(2004年)
観察4 種子植物の受精(花粉)3年(2001年)
観察4『花粉管』3年(1998年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

第5章 花と植物  花の構造とはたらき p.88
 いろいろな花の花粉 p.94
 花粉の精核を運ぶ『花粉管』 p.95
 花が種子になるまで p.96−97
 花粉の精核を運ぶ『花粉管』 p.95
第6章 生命の連続性  スイートコーンの重複受精 p.123

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