このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第47時
実習3-2 土の中の生物採取『瑞穂公園』

     2018 9 26(水)、10 1(月)
     普通教室→ 正門→ 瑞穂公園→ 第3学習室

はじめに
 学校から徒歩5分の距離にある瑞穂公園で、土の中の生物を採取します。子どもたちには軍手と割り箸、そして、虫除けスプレーを持参するように指示してあります。現地での採取は自由班です。


図1:瑞穂公園で土の中の生物採取


本時の目標
・安全に実習を行う
・指示されてものを準備してくる
・複数の生態系で、土の中の生物を採取する
・肉眼レベル、ルーペレベル、顕微鏡レベルの生物を採取する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 虫除けスプレー
  • 軍手
  • 割り箸
  • (白い帽子)
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • バット(1 /班)
  • 古紙 (1 /班)
  • 黒マジック(2〜3)
  • 45L ポリ袋 (1)
  • 携帯電話 (1)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)持ち物点検、虫除けスプレー (3分〜5分)
 虫除けスプレー、軍手や割り箸を持参した子どもに興味関心ポイントを差し上げます。その時間を使って、虫除けスプレーで虫刺されの予防をさせます。季節は9月下旬〜10月初旬ですが、蚊がたくさんいるので、しっかり塗ることが大切です。


図2:鏡に映った完全防備の私

 「先週、先生は瑞穂公園で下調べをしてきましたが、15種類ほど見つけました。みなさんも15分あれば15種類見つけられるはずです。しかし、蚊にやられました。足元は、ズボンの裾に靴下をかぶせた完全防備、腕は長袖、手首も長袖と軍手で隠していたのですが、顔がやられました。襟を立て、帽子をかぶり、正面にくる蚊を払っていたのですが、夢中になってしまい、おでこに3箇所。かなりかゆいです。鏡で見ると赤くて楽しい状態でした。みなさんも夢中になって蚊に刺されていることに気づかなくなると思うので、しっかり塗り込んでください。スプレー式の人は、スプレーの液体を手にとって、顔に直接塗るぐらいの勢いでちょうど良いと思います」

スズメバチに関する注意
 スズメバチは大変危険です。生命に関わる事故になることもあります。事前調査で巣をみつけたら、当日近づかないようにします。そして、(1)大声を出さない、(2)走らない、(3)スズメバチは黒色を攻撃するので白色帽子をかぶる、など対応をしてください。


図3:第3学習室における板書

(3)これからの流れの確認 (3分〜5分)
 以下に示した『本日の流れ』を確認します。学校から瑞穂公園までの行きは全員行動ですが、帰りは班単位です。さらに、帰校後の重要作業があるので、確実におさえてください。

本日の流れ
1) 3人〜5人程度の自由班をつくる
2) 班で白いバットを持つ
3) 下履にはきかえ、正門前に集合する
4) 瑞穂公園へ移動する
5) 瑞穂公園で採取場所、採取方法を確認する
6) 班ごとに、土の中の生物を採取する
7) 先生の合格をもらった班から、学校へ帰る
8) 第3学習室に戻ったら、
9) 白紙に班員の指名を書き、
10)
 生物を入れたバットの上に載せる
11) 終業のチャイムがなったら、教室へ戻る
図4:採取後の第3学習室の教卓(黒マジック、白紙、バット)

(4)生物がたくさんいる場所 (3分〜5分)
 現場に到着したら、(1)ほぼ、(2)針葉樹の落葉、(3)広葉樹の落葉、の3箇所を案内します。そして、(2)と(3)で生活している生物の種類や数が違うことを見せます。40人学級の場合は、各自の目で確かめることはできないので、先生が手でかきわける様子を見せてください。その後の班別実習の時間に、班ごとに教えていきます。

 次は、葉が堆積している場所の探し方です。地面の傾斜を探してください。傾斜が終わった窪地、斜面にある樹木の下などによく堆積しています。落ち葉の上を歩くだけでもわかります。生物がたくさんいる場所は、ふかふかしています。


図5:瑞穂公園(平地に見えても、微妙な傾斜がある)

(5)生物採取 (15分〜20分)
 子どもたちは割り箸を持ってきてますが、実際はほとんど使いません。手で落ち葉をかき分ける作業が中心になります。そして、肉眼レベルの生物をみつけたら、落ち葉ごと採取します。落ち葉は食べ物であると同時に、彼らの家です。落ち葉があれば、小さな生物たちは数日間、何事もなかったかのように、白いバットの中で生活しているでしょう。


図6:バットに採取した落ち葉&生物

 上図6と下図7を比べてください。何が違うでしょうか。たくさん生物がいるのは図6です。ポイントは落ち葉の湿りけです。乾燥している場所より、湿っている場所の方が豊かな生態系をつくっています。


図7:同上

 肉眼レベルの生物を採取したら、その下の土も採取します。何もいないように見えても、ルーペレベルや顕微鏡レベルの生物が生活しています。深さは1cmで変わりますが、落葉でふかふかな場所もあるので、現場にあわせて採取させます。

巨大な肉食動物は1匹ずつ
 ハサミムシ、ムカデは凶暴な肉食動物です。現場の子どもたちの様子を見ればわかりますが、1時間目は嫌がっていたり怖がっていた子どもたちも、3時間目となる本日の実習では、初めて見る本物のハサミムシを次から次に捕まえます。体長8cmもあるムカデを見つけると、大騒ぎをしながらそれを捕まえようと必死になります。私はその姿を見てご満悦なのですが、学校へ戻る時には、ハサミムシとムカデは1匹ずつにさせてください。逃がす作業も貴重な経験・実習です。

 これら生物は残虐で、小さな動物たちをハサミや歯で切り殺していきます。殺したものを食べるなら納得できますが、とにかく見つけたら切り殺す性質があるようです。数日後にはルーペレベルの生物まで死滅、その腐敗臭がただよう結果になるので、ご注意ください。彼らがいなければ、豊かな生態系が1週間以上保たれます。


図8:左は45Lボリ袋にいれたバット

 上図8のように、ボリ袋に入れておけば巨大肉食動物が逃げても大丈夫。どこか別のバットの隙間にもぐりんでいます。また、袋の口を密封すると酸欠により生物が死にます。口を縛らないように上手に上にしておきましょう。
  白紙は上のバットの底を汚すことなく収納する、とても重要なポイントです。蓋にもなるので、とても便利です。 積み重ねることで、生物たちも安心できそうです。なお、一番上には空のバットを置き、最上段の乾燥を防ぎます。


図9:瑞穂公園で採取する子どもたち

(6)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 最近の子どもたちは、土を触る機会がほとんどありません。そして、落ち葉や小さなな生物を汚いもの、触ってはいけないなものだと思っています。そのように教育されてきたからでしょう。しかし、今日は怖がったり嫌がったりする子どもがほとんどいなかったことに、私はとても満足しています。

生徒と先生の会話
「先生、土はいい匂いがするね」
「うん、いい土からは最高級の香水がつくられるんだよ」
「本当?」
「(半分嘘だけど)本当だよ!」

note
(1)結婚用撮影をしている現場に遭遇(2回)
(2)公園でゆったりしている人にご挨拶
(3)落ちた柿の実にたくさんの蚊

関連ページ
観察9 土の中の生物3年(2001年)

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