このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第69時
実験14 いろいろな塩(理論)

     2018 11 13(火)、14(水)
     第2理科室

はじめに
 いろいろな『塩』は、いろいろな『しお』ではなくて、『えん』です。塩は中和反応によってできる物質(酸とアルカリの化合物)です。また、理論とはいっても、『塩』を作るためにいろいろな酸とアルカリを組み合わせるだけです。その後、中和反応式を書いておしまいです。塩酸とアルカリを使った実験は、2時間後の『実験14-2いろいろな塩』で行います。なお、 ある学級は授業時間の関係で、1時間で理論と実験を行いました。その授業手順は以下の通りです。

1時間で理論と実験を行う場合(初心者先生は3時間完了の内容)
 先生から、酸とアルカリの組み合わせ手順を5分で説明します。板書する塩は1つだけです。よくできる生徒は5分の説明を聞いただけで、合計16種類の塩を5分以内に書き終えるでしょう。書き終えた生徒には挙手させてください。そして、先生のところへ持ってこさせます。

 全て正解だったら、その足で黒板に向かわせます。好きな塩を1つだけ板書、さらに、その塩の作り方を教壇でみんなに教えるように指示します。


図1:塩の作り方を解説する生徒(右端には順番を待つ生徒)

 「速くできた人は技能ポイント、みんなにわかりやすく解説した人には思考ポイントを加点する」と明言しておくことも悪くありません。ごぞって持ってくるでしょう。

 このようにして、いくつかの塩の作り方を生徒に説明させてください。3人の生徒がそれぞれの言葉で、3つの塩の作り方を説明し終える頃には、ほぼ全員が理解できていることでしょう。その知識や考え方が定着するかどうかは、各家庭における復習にかかっています。

 3人の解説が終わったら、その3人は実験開始です。その他の生徒は、全16種類合格するまでお預けです。合格した人から実験開始、になります。

 実験は、先生が用意した4種類の酸とアルカリから、それぞれ1つずつ好きなものを選択させます。手早い生徒は2つ以上組み合わせ、それぞれの塩の結晶を顕微鏡で観察することができます。1人1実験です。

 さて、組み合わせの表がなかなかできない生徒は強制終了です。実験時間は少なくとも25分必要です。強制終了3分前に、先生は全ての塩を板書してください。

 別年度の実践『いろいろな塩をつくろう3年(2011年)』がよくまとまっているのでご覧ください。以下は本年度のスナップ写真です。


本時の目標
・4種類の酸、4種類のアルカリを組み合わせ、16種類の塩をつくる
・その化学反応式を書く

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)酸とアルカリの中和反応 (5分〜10分)
 酸とアルカリの中和反応を復習します。


図2:酸とアルカリの復習(A組)


図3:酸とアルカリの復習(B組)

 ここで復習したものは、酸とアルカリによる中和反応とそのモデル図です。塩は、中和反応の残り物として次の(3)で復習します。

(3)いろいろな塩 (5分〜20分)
 できる生徒は5分ですが、できない生徒は20分程度必要です。先生ががんばるより、子どもたちで教えあう方が効果的です。


図4:先生が初めに説明する範囲

 図4は、書き方の説明です。これだけの説明で、できる生徒は残り全ての塩を書くことができます。

 「書き方がわかった人は、その他15種類の塩をつくりなさい。もう1回作り方の説明を聞きたい人は、聞きなさい。わかった人から先生の説明を無視して、どんどん進めるようにしましょう」

 上のように指示してから、塩酸と水酸化バリウムの塩を説明します。


図5:図4の完成形(クリックすると拡大します)

 図5では、日常でよくみらる塩化カルシウムと炭酸カルシウムを紹介しています。塩化カルシウム(塩カル)は運動場のどこかに置いてあるはずです。探してみてください。ぬかるんだ土にまくと土が固くなります。また、雪が降った時の融雪剤としても使います。炭酸カルシウムも運動場にあります。石灰、チョークなどとして学校でよく使われるものです。貝殻やサンゴの主成分であり、さらに、石灰水と二酸化炭素によってできる白い沈殿物も炭酸カルシウムです。


図6:別学級での板書(途中)

 さて、塩の作り方の解説は、子どもたちに行わせます。鮮やかに説明する友だちの姿をみて、やる気がぐっと高まるものです。やる気が高まることで、難しいものもすっと頭に入ってくるようになります。


図7:硝酸と水酸化カルシウムの中和反応式を書く生徒


図8:炭酸と水酸化ナトリウムの中和反応の解説を始める生徒


図9:16種類の塩

(4)16種類の中和反応式 (10分〜15分)
 中和反応式のポイントは、係数を書くためのスペースを空けておくこと、矢印を長く書くことです。以上2点に注意しながら、酸とアルカリを書きます。次に、中和反応で必ずできる水、H2Oを書きます。酸の『H』、アルカリの『OH』、水『H2O』を枠で囲めば、係数が自然に見えてきます。下図10を見てください。


図10:中和反応式の』『OH』『H2Oを枠で囲むと、係数が見えてくる


図11:同上

(5)本時の感想、考察(5分)


授業を終えて
 簡単な内容、と感じてくれる子どもたちがたくさんいて幸せなのですが、さっぱりわかない子どももいます。対策として必要なことは、アルファベットに対するアレルギー反応、数式にように見えるものに対するアレルギー反応を抑えることです。これらは理科以前の問題であり、簡単に治るものではありません。読者のみなさんも図10や図11を見て、瞬時に拒絶反応を示すようなら、それは心的外傷(トラウマ)による可能性があります。かくいう私も、アルファベットはあまり好きではありません。

関連ページ
いろいろな塩をつくろう3年(2011年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

第68時 ←
塩酸と水酸化ナトリウムの
中和反応

→ 第70時 
実験14-2 いろいろな塩を作ろう
↑ TOP
[→home
(C) 2018 Fukuchi Takahiro