このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第71時
実験15 硫酸と水酸化バリウムの中和反応

     2018 11 14(水)、15(木)
     第2理科室ß

はじめに
 このページは本年度のスナップ写真が中心です。2011年度の実践『H2SO4とBa(OH)2の中和3年(2011年)』がよくまとまっています。


本時の目標
・硫酸の特性(濃硫酸の危険性など)を自分の目で体感する
・硫酸と水酸化バリウムの中和反応を行う
・硫酸バリウムが白い沈殿物であることを確かめる
・水溶液に含まれるイオン数を、その濃度からイメージできるようにする
限定要因について理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 硫 酸
  • ぞうきん
  • 500mLビーカー
  • 希硫酸        (20mL / 班)
  • 水酸化バリウム    (20mL / 班)
  • 5mL駒込つきピペット (1 / 班)
  • 2mL駒込つきピペット (1 / 班)
  • 試験管       (12 / 班)
  • 試験管立て  (1 / 班)
  • 50mLビーカー (2 / 班)


    図2:始業前に生徒に準備させるもの

授業スナップを中心にした記録

濃硫酸による脱水反応の演示実験
 硫酸は濃度によって大きく特性を変えます。とくに濃硫酸は危険で、絶対に先生の許可なく触れてはいけないことを教えます。また、硫酸は不揮発性なので、薄めた硫酸を放置すると、水だけが蒸発して濃硫酸になります。


図2:濃硫酸を濡れぞうきんの上に滴下する様子

 500mLビーカーを用意します。その上に『濡れぞうきん』を載せますが、ぞうきんに含ませる水分量は多い方が良いでしょう。ぞうきんを絞って滴り落ちるようではいけませんが、それに近いぐらいの絞り方です。ぞうきんは2つ折にして載せます。ビーカーの内部が見えるような掛け方、にすると見所が増えます。

 滴下する濃硫酸は、5mLピペットに3mL入れてください。それを1滴ずつ滴下します。ぞうきんの落ちるたびに、「じゅっ」「じゅわっ」と音がします。その音を聞いた子どもたちは一様に驚きます。その音を聞くように指示してください。静寂と集中の世界になります。


図3:穴があいた濡れぞうきんを見せるTaka先生


図4:化学反応式と実験方法


図5:化学反応式と実験結果(BTB液の色変化)


図6:同上(別クラス)


図7:手順の板書


図8:成功のポイント


図9:手順を詳細に書いたクラスもある(ピンボケごめん!)

水酸化バリウム水溶液を濾過させる
 水酸化バリウムはあまり水に溶けません。できるだけ濃い(飽和水溶液)ものを準備するためには、前日から溶かしておくことが必要になります。


図10:水酸化バリウム水溶液を濾過する様子

 しかし、私は生徒の目の前で水溶液を作ります。薄いものしかできませんが、濃度が均一なら大丈夫です。ただし、溶かしたばかりのものは白濁しているので、図10のように濾過させてください。無色透明の水溶液が得られます。図10が青色になっているのは、BTB液によるものです。きれいでしょ!

 また、前日に作った水酸化バリウム水溶液は、その表面に白い膜ができています。その膜は空気中の二酸化炭素と反応してできた『炭酸バリウム』です。これを除去するためにも、簡易な濾過をさせてみてください。1分〜2分の操作ですが、子どもたちにとっては大きな経験です。

 なお、この操作については別ページ『H2SO4とBa(OH)2の中和3年(2011年)』もご覧ください。


図11:水酸化バリウム水溶液を2mLずつ入れる(試験管12本)


図12:次に、希硫酸を1mLずつ入れていく


図13:同上


図14:完成!

 図14はできたばかりです。左から順に、水溶液の量が増えていることがわかります。水酸化バリウム水溶液の量は同じですが、希硫酸の量を増やしていったからです。

 水溶液の色については、左が青(アルカリ性、水酸化バリウム水溶液の性質)、中央が緑(中性)、右が黄色(酸性、硫酸の性質)であることがわかります。

 また、水溶液は透明でなければ、水溶液と言いません。図14を見ると、左端1本をのぞいて白濁しています。これは、中によってできた硫酸バリウム(水に溶けない沈殿物)が水溶液中をただよっているからです。しばらく放置すると沈殿し、すべて透明な水溶液になります。図15を見てください。


図15:1日放置したもの

 図15の観察ポイントは、沈殿量です。左から順に増えていますが、緑色以降は同じになります。・・・はずです。はずです、というのは、図15に『→』を2箇所入れましたが、本来はここになるべきですが・・・原因不明。緑色以降はうまくできています。

 この授業のまとめとして、図15のような結果(沈殿量)になる理由を考え、対話し、まとめます。


図16:限定要因についてまとめた板書

===


図17:完成作品
 この学級では授業時間の関係で、同じ実験を2回行いました。2回目は、各班で水溶液の濃度を調節させました。初回は試験管5〜7本目で中和するように調整したものを配布しましたが、今回はやや濃いものを配布しました。そして、12本の試験管に入れていく前に、2つの水溶液の濃度を同じにするように指示しました。そしてできたものが、図17です。

 濃度調節のため、水溶液はどんどん薄くなっていくので、図17は私がBTBを追加しました(図18)。


図18:試験管12本にBTBを手早く入れる様子


授業を終えて
(1)駒込付きピペットの操作を楽しんでいました。長い人生ですが、この道具を使うことはこれで最後かも知れません。(2)きれいにできた班の喜びはひとしおのようでした。
(3)学習成績の限定要因については、意味深長。
(4)次の時間はいろいろな中和、塩をつくります。
(5)楽しみだなあ。

関連ページ
H2SO4とBa(OH)2の中和3年(2011年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

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