このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 3年(2018年度)です |
第75時
宇宙とは何か
太陽とは何か2018 11 29(木)、30(金)
普通教室はじめに
今日から天文分野です。はじめに、「宇宙とは何か」問いかけます。子どもたちが抱いている多様なイメージや知識を言葉にし、みんなで話し合います。そして、広く一般に認められていること、まだわかっていないことなどを確認します。この活動を通して、宇宙に対する興味関心が高まることを期待します。自然科学と哲学の関係についても触れます。次に、「太陽とは何か」問いかけます。宇宙と同じように、子どもたちの知っている知識を発表、それについて再考します。そして、私たち人類や地球が小さな存在であることに気づき、これから始まる天体の学習にロマンを感じられるように頑張りたいと思います。
参考・関連ページ
図1:A組で発表された宇宙
本時の目標
・宇宙や太陽について、知っていることを発表する
・みんなの発表について話し合い、考察する
・宇宙や太陽の基礎知識をまとめる
・これから始まる天文分野に胸を膨らませる準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 本日の学習プリント(1 /人)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)宇宙とは何か (15分〜25分)
宇宙に関する各自の知識を発表し、持ち寄り、それについて話し合います。賛成したり、反対したり、あるいは、その理由を言ったり、付け加えたり。そうしているうちに、どんどん宇宙に関する考えが深くなっていきます。
図1:宇宙について、自らの考えを板書して語るA君
図2:図1のA君に続いて登場したB君
図3:A君とB君の学級の板書(クリックすると拡大します)
図3(A君とB君の学級)のポイント
考えが深まった意見、着目したい意見を紹介ます。以下の番号は図3の番号に対応しています。(3)重力がないもの
この意見に対する賛成者は0人、反対者は多数でした。反対者にその理由をたずねたところ、(ア)地球は宇宙の一部であり、その地球には重力があるから、(イ)光はブラックホールの大きな重力によって曲がるから、(ウ)万有引力があるから、などが出ました。たくさんの反対理由が出て考えが深まった、という点において(3)は非常に良い意見だったと思います。(5)ビッグバンで生まれたもの
ビッグバン(大爆発)はほとんどの科学者が認めています。それは今から138億年前のことですが、3年前の授業では137億年前として教えて教えていました。1億年かわった理由は、宇宙の起源がより詳しくわかってきたからです。子どもたちは、過去の時間が正確に求めれていることについて、興味をもったようでした。宇宙には「過去と現在」という時間があるのです。(6)音がないもの
私は「宇宙に音がないとするなら、音とは何か」と問いかけてみました。すると、3人の子どもが答えました。(1)空気の振動、(2)物体の振動、(3)水中でも伝わるもの、です。私は、光も振動と同じ性質があることを確認・紹介しました。そして、宇宙には振動、物質、光があることを確認しました。(10)同じものが2つ以上あるもの
宇宙はとても広大なので、同じものが2つ存在する、という意見です。もう1人、まったく同じ自分が存在するという考えです。この意見が発表されてから、子どもたち一人ひとりの考えが大きく飛躍していきました。(12)男のロマン
宇宙は男のロマン! と答えた男子生徒がいました。この学級の宇宙が花開いたようです。実際、最新の自然科学や天文学は、哲学と深く結びついているのです。私は「女のロマン」についても問いかけました。
その後、A君(図1)やB君(図2)が自主的に前に出てきて、宇宙図を書いて自分のひらめきを発表することになりました。
図1:A君
図2:B君(15)138億年前は無だった
(15)は、私が紹介したものです。現在、ほとんどの科学者は「ビッグバン以前は無だった」と考えています。子どもたちは「ビッグバンは納得できても、無であったことは理解できない」と言います。
私はついで、君たちが理解している『重力、音、光、空間、時間、それら全てが宇宙である』ことを紹介しました。そして、学習すればするほど、調べれば調べるほど宇宙は広がることを伝えました。
「重力、空間、時間って何?」ともう一度発問することで、子どもたちはそれらを十分に理解できていないこと、学習や研究成果とともに宇宙に関する視点が豊かになっていくことを理解してくれたようです。その子が生まれる前、その子はいませんでした。これは科学的な事実です。そして、その子が世界を知ることで世界=宇宙が広がっていきます。やがて、望遠鏡や数式を使い、理解できる範囲、=宇宙がどんどん広がります。それと同時に、わからないことも増えていきます。
最後に、「無=人智ではかり知れないこと」を紹介します。138億年という時間は、私たちの時間や時計で測定できますが、それ以前は不可能です。将来、新しい時計(時間に対する考え方)ができれば、それによって測ることはできますが、今、私たちが定義した時間や時計は、現在から138億年前までしか利用できないのです。なお、現在、宇宙誕生から38万年後、3分後、0.000001秒後、10-43秒後の様子について議論されています。
図4:P組での板書(クリックすると拡大します)
図4(P組)のポイント
現在の宇宙に存在するものを挙げさせました。リンゴ、時間、○○君、空間、重力、光、英語、数学、1+1=2という数式、などが出ました。英語や数学は、思考するための道具です。1+1=2という数式も、同じように思考するための道具です。人類は、道具によって世界を広げてきました。その他、エネルギー、光物質、温度などもありますが、「エネルギーとは何か?」「光とは何か?」「物質とは何か?」という問いは、とても難しく、それだけで1つの学問ができてしまうほどです。
図5:Z組で行った宇宙に関する特別補欠授業(3)太陽とは何か (15分〜20分)
宇宙と同じように、太陽についても発表させてみましょう。面白い意見が飛び出すはずです。また、何人かの子どもは学習塾で学習済みです。教科書にある知識を披露してくれることと思います。有り難く頂戴しましょう。一般的な内容については2004年度の実践『観察1 太 陽3年(2004年)』をご覧ください。
図6:太陽に関する板書
図7:同上(別学級)
太陽まで8分
太陽と地球の距離は、1.5億万kmです。ピンと来ないと思いますが、とても離れています。どれだけ離れているかというと、光の速さで進んだとしても8分もかかってしまうというのですから驚きです。驚き、といっても驚かないと思うので、次のように問いかけてください。「太陽まで光速で8分、って何を意味している?」
答えは、「私たちは8分前の太陽を見ている」「私たちは現在の太陽を知ることはできない。常に、8分過去の太陽を見ている」です。もしかしたら、現在、太陽は消滅しているかもしれないのです。驚きましたか?
この考えを膨らませれば、私たちが見ている太陽、月、星はすべて過去のものです。私たちは現在の宇宙を知ることはできないのです。
(4)太陽の自転(5分〜7分)
太陽が自転していることは、黒点の観察から推測できます。
図8:太陽の黒点の動き
黒点の観測結果 推測されること
左から右へ動く → 半時計回りに自転している 周辺部では扁平になる → 円(平面)ではなくて球(立体) 26.9日で元の位置へ戻る → 自転速度は1回/26.9日
図9:別学級での板書(6)本時の感想、考察 (5分)
授業を終えて
楽しい1時間でした! 次の時間は、宇宙から見た地球について学習します。関連ページ
観察1 太 陽3年(2004年)実践ビジュアル教科書『中学理科の地学』
第74時 ←
2学期期末テスト
返 却
→ 第76時
観測2 宇宙から見た
地球の動き↑ TOP
[→home]
(C) 2018 Fukuchi Takahiro